なんかついてくる
「へぇー。あんたらさっき会ったばかりなのー?てっきりデキてたりすんのかと思ったよぉ。」
「で、でででデキてるなんてどうみたらそう見えんのさ!!」
「うーん。美男美女だし?」
「意味が分かんないんだけど!!」
なぜか私たちはカイも入れて食堂で休憩している。私が入っていかなくても会話が勝手に進んでいく。ゼラルは動揺しまくって素になってる。やはりカイは軽いし見た目も少しチャラいけど最低限のラインを守って会話している。実はわざとゼラルの素を出させたのではないかという見事な誘導の仕方もしていた。
「あ、そういえば思ったんだけどさー。」
「なんだよ!!」
「ゼラルくんそっちが素なのかなーって。」
「何でみんな分かるのーーー!!!」
「それはゼラルが分かりやすすぎるのよ。今日だけで二人にバレているのだから一年後には全校にバレてたりしてね。」
「俺もそう思うわー。」
「どうすればいいんだよー!」
「あなたは感情の起伏が激しいのよ。もうちょっと落ち着きなさい。」
「うん、分かった。」
「で、結局ゼラルくんとルミアちゃんはデキてんの?」
「デキてないってば!!」
「そういうところよ、ゼラル。」
「あっはっはっはっは!!」
カイはお腹を抱えて笑った。私も少し笑ってしまったけど。
「・・・頑張るよ、僕。」
「はぁー。こいつおもしろいなー。てことで俺とも友達になってよ!」
「話がつながってないわよ。あなた友達いたことある?」
「ルミアちゃんに言われたくないけど、これでも友達はいるんだなぁー。」
「・・・なんか負けた気がするわ。」
「・・・僕も。」
そんな感じの話をしているとあっという間に面接開始時間の十分前になった。私たちは三人で面接会場に向かった。そこには既に四百人ほどの人が集まっていた。確か合格するのは百二十人だったな。面接はよっぽど変なことをしないかぎりは原点がない。逆に言うと、よっぽどのことがないと加点もない。
「そういえばさー。これって何の順番で呼ばれんだっけ。」
「確か受験番号順よ。私は1222だからだいぶ後半のはずよ。」
「結構後だね。僕は237だからこの人数じゃ真ん中くらいかな?」
「げっ。俺1なんだけど。」
「すごいわね。頑張ってきなさい。」
「なんかテキトーだな。俺もなんで1なのか分かんねーけど。」
みんなが近くの者と話したりしていると、前にさきほどの学院長が出てきた。
「ちゅうううううもぉおおおおおく!!」
その声で広い会場内が一気に静かになる。それを確認してから学院長は話し始めた。
「最後は面接試験だ!大したものではない!落ち着いて取り組むように!これは受験番号順に行われるので、呼ばれた番号の者は待機列に並ぶように!終わった者から帰って良いが、この会場にはもう一度は入れない!以上だ!」
そう言って学院長は奥の扉に入っていった。その後に若い教師が出てきた。
「では、番号を呼びますので呼ばれた番号の人から並んで下さーい!1番!18番!19番!39番!100番!」
どうやら一人が面接で四人が待機らしい。
「おー。呼ばれた。じゃ、行ってくるわ。」
「頑張ってね。」
「変なことするなよ。」
そう言うとカイは、手をひらひらと振りながら部屋に向かって行った。
「この調子だと僕も呼ばれるの早そうだなぁ。」
「そうね。あなたは動揺しなければ問題はないわ。」
「難しいなぁ・・・」
そう言ってゼラルは顎に手を当てて悩んでいた。そうだよ。その悩んでいるときの顔ならたぶん受かるよ。