ゼラルの秘密
遅れてすみません。最近の話はもう恋愛要素ないですね、はい。(っていうかもともとあんまりない!?)今回も設定がごっちゃごちゃになっていると思いますが、生暖かい目で見てやってください。
「実は・・・僕の家の先祖に”祓い屋ジン”っていう人がいるんだけど、知ってる?」
「え?えええええ!!??」
え、あの!?ジンと言えば昔、魔族が人間の世界にあふれかえった時に魔族を倒してまわり、混乱を収めた伝説の祓い屋じゃないの・・・こどもの読み聞かせのための絵本にもなっているのよ。でも実在していたとはね。っていうかこの世界がどんな設定なのか分からなくなってきたわ。
「まあ僕も信じてなかったよ。だってこの世界は魔物とかはいるけど自我がある魔族とかはいるとは思わなかったんだよ。」
「何があったの?」
「そうだな...ルミア、僕に水魔法を触らせて。」
「?分かったわ。」
私はゼラルに言われた通りに小さめの水の玉を出す。ゼラルがそこに手を入れると、水は蒸発していく。
「!?どうなっているの?」
「これが僕の一族の力。魔法が効かないんだ。これがジンの祓い屋の由来。でもジンと比べて効力が下がってるから一部の魔法は無効化できない。」
なるほど。話聞いててなんで風魔法で一緒に移動できたか疑問だったけどそういうことだったのね。
「じゃあゼラルの火魔法があんなにヒョロヒョロしてたのって...」
「うん、まあこのせいなんだけど、やっぱりヒョロいかなぁ...」
「あ、ごめんなさい。」
「まあいいんだ。この能力もたまに使えるし。あともう1つ能力があるんだ。」
「まだあるの!?」
ゼラルも苦笑いしている。自分でも思うところがあるのだろう。
「ジンの職業柄、魔族の気配を敏感に感じ取るんだよね。」
「魔族ってまだいるの?」
「うん、いるよ。実際に見たこともある。」
少し昔のことを思い出しているのだろうか。私が転生で喜んでいる間にゼラルは大変な人生を歩んでいたのだろう。なんか申し訳ないなぁ。
「だから僕には君を嫌う魔法も効かない。でも...」
「でも?」
「あの教室には魔族の気配が残ってた。誰かが魔族に操られてるかも。」
マジデスカ...前世の知識的に勝てる気がしないし、まずそんな近くにいてほしくないよ。
「...どうするの?」
「魔族を倒すには光魔法の使い手が必要なんだけど、光魔法の使い手なんか数百年に一人いるかどうかだしなぁ。でもほっとくわけにもいかないし...」
ん?心当たりがあるんですけど・・・
「ゼラル、話の続きはまた放課後。私の部屋に行くわよ。」
「え!?ええ!?え、ま、まあ、うん、いいの?」
あ、そうだ。この世界では恋人じゃない人を部屋には招かないんだったわ。まあもう人が住んでるんだけどね。
「緊急事態だからね。なんならゼラル女装でもする?」
「え、ああ。あ!?しないよ!??」
「そっか。似合うと思うのに。」
「・・・嬉しくないよ?」
でもゼラル小柄で美形だからかわいいのになぁ。見てみたいわ一回。・・・ってそんな状況じゃないわね。ゼラルのお陰ですっかり心が和んじゃったよ。
「じゃあそろそ教室に戻ろうよ。」
そう言ってゼラルは立ち上がる。
「ゼラル。」
私はその背中を呼び止める。
「どうしたの?」
「ありがとう。あなたがいてくれて本当に良かったわ。これからもよろしくね?」
そう言って笑いかけると、ゼラルは耳まで赤くなる。やっぱりお互い初めてできた友達だもんね。私もゼラルにそう言われたら嬉しいわ。
「・・・君って、天然?」
「何のことかしら?」
少なくともあなたよりしっかりしてるわよ。




