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女子の闇

 私はカイと一緒に教室に入る。


「おはよう。」


「おはよう、ルミア。・・・とカイ!?」


「おはようございます!今日は早いんですね!」


「・・・おはようございます。」


「おはよぉ。そんなに俺が早く来ること珍しい?」


「それはそうでしょうね。いつも予鈴と一緒に入ってくるじゃない。」


「うん。遅刻しないのが不思議だよ。」


 カイは少し目線を逸らしてから、またこっちを見て、自分の席に着いた。

 

 それを見て私も自分の席に着く。そのとき窓側から鋭い視線を感じた気がした。まあ、気のせいだろう。


「おはよう!ルミア!お前結構来るの遅い方なんだな。」


「おはよう、ダリーシャ。そうね。朝は弱いのよ。」


「そっか。」


 それだけ言うとダリーシャは前を向く。この人のキャラがいまいちつかめない。


 しばらくすると予鈴が鳴り、メルイア先生が入ってくる。


「みんなおはよう。今日は全員そろっているな。そういえばこの間の魔法訓練の結果が出た。順位は廊下に掲載されているから見たい者は見なさい。リーダーの名前がグループ名になっている。またこの訓練は成績にも関わるからな。以上だ。何か言いたいことがあるやつはいるか?____いないようだな。じゃあホームルーム終了だ。」


 先生がそう言って教壇を降りると、生徒が一気に廊下に出た。ここまで一気に出るとは思わなかったので、私たちのグループは少し遅れて外に出ることにした。


「そういえば俺っていなかったからノーカン・・・?成績なし・・・?」


 ダリーシャが少し暗くなりかけていた。


「大丈夫よ、ダリーシャ。確かあなたはフーニアという子がリーダーのグループに入っていたわ。少しは下がるかもしれないけど無し、とはならないわ。」


「・・・良かった。」


 割と真面目なのねこの子。



「見て、ルミア!僕たちが一位だよ。」


「やったわね。」


「・・・良かったです。」


「ゼラルくんは遠く見て黄昏てただけだけどねぇ。」


「そうでしたよね、まったく。」


「なんで僕非難されてんの・・・?」


 順位表にはゼラル、フーニア、カストロ・・・と名前が続いていた。なんだかんだ言ってカストロも優秀だったのね。


「フーニア様!惜しかったですね・・・」


「・・・どうせあの公爵家の女は周りに権力を集めているだけよ。周りに全て任せているのでしょう。平民や下級貴族も入れて自分は権力に興味はありませんっていうアピールをしているのがその証拠ね。」


「さっすがフーニア様!天才ですわ!」


「ふふっ、当たり前じゃない。」


「・・・なあ、本人のいないところで悪口言うやつもどうかと思うぜ?しかも確証もないのに、決めつけだろ?」


 ダリーシャはフーニアたちを睨む。フーニアの近くにいた三人の女子はまるで蛇に睨まれた蛙のように動かなくなったが、フーニアは物怖じせずに真っすぐダリーシャを見る。


「あら?あなたもあの男たらしに騙されていますの?少し容姿が良いからってあれは調子に乗り過ぎよね。それに、あなたを入れてあげたのも私たちよ?あいつらはいないやつの分まで気が回らないのよ。」


「・・・そーかよ。これだから女の僻みは嫌いなんだよなぁ。」


「なっ!?僻みですって!?ちょっと、どういうことよ!」


 ダリーシャは振り向かずに教室に戻っていった。


「フーニア様・・・」


「・・ええ、あの女。私を怒らせたらどうなるのか覚えておきなさい・・・」




「・・・女って、怖いんですね。」


「ん?何か言った?エレナ。」


「・・・なんでもありません。」

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