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決着!

 ___そう、私は前世で両親の虐待から逃げるために、祖父がやっている剣道を一緒に習っていたのだ。幼稚園の頃から始めたので、中学生のときには全国に行けるレベルには達していた。優勝は一回だけしたことがある。祖父や周りの人にも、「お前は才能がある。」と言われて嬉しかったので続けられた。学校でのいじめがあっても、剣道をやると忘れられた。


 なのでこの世界にはない竹刀を作ったので、変な形、と思われたのだろうし、動きもおかしいとは思う。もちろん剣道はあくまで競技なので、実戦では通用しないとは思う。


「ダリーシャ選手、攻めまくるぅ!!だがルミア選手は攻撃をいなしていく!!五分五分の戦いに見えますが、反撃ができていないところを見ると、ダリーシャ選手のが有利かぁ!?」


 確かに反撃ができていない。やはり平和に生きてきた世界の人間の技なんてこんなものなんだろう。


 ____だが私がなぜ土魔法(・ ・ ・)で竹刀を作ったのか、疑問に思わないだろうか。


「お!?よく見るとルミア選手の土の剣が少しずつ崩れていってます!!やはり魔剣には敵わないか!?」


 そう、これが狙いだ。こうして攻撃をいなしている間にも、竹刀は少しずつ小さくなっていく。だがこの竹刀は普通の物より大きく作ってある。なぜなら・・・


 カキーン!っと大きな音が鳴った後に、私の剣が限界を迎え、細かい砂となってポロポロと崩れる。その隙をついてダリーシャは私の横腹に剣を入れる。___衝撃が来て少しバランスを崩すが、私に訪れるはずの痛みが来ない。それもそのはず。


「ルミア選手の剣が崩れました!!これはダリーシャ選手の勝利か!?・・・待ってください。な、なんとぉ!!!ルミア選手の剣の土が、ダリーシャ選手の魔剣の炎を消しました!!魔剣はまとった属性のオーラが消えてしまうとしばらく使えなくなります!つまりこれは・・・両者引き分けだぁ!!!」


 実況がそう言うと、観覧席からは私が引き分けにまで持ち込めたことを称賛する声と、延長を主張する声が聞こえた。だがダリーシャは私の前に立ち、手を差し伸べる。これは試合後の握手だ。私もダリーシャの手をとり握手に応じる。そしてダリーシャは退場していった。




 私も退場した後、ゼラルたちが駆け寄ってくる。


「すごいねルミア!!あんなに剣が使えるなんて!!・・・でもあんなの初めてみたなぁ。」


「確かに変わった型だったけどぉ、結局ルミアちゃんの頭脳が勝ったねぇ。」


「ルミア様すごかったです!」


「すごかった。」


「みんなありがとう。」


「でもあの剣の量の砂でよく魔剣の火が消せたね。」


 ゼラルのその言葉に私は口角を上げる。


「あんなのじゃ消せるわけないじゃない。少し工夫したのよ。」


「工夫って?」


「ひ・み・つ・よ。」

 

 そう言って人差し指を立てて口元に持って行き、あざとく笑うとゼラルは赤くなる。怒らせちゃったわ。でもゼラルは赤面症ではないだろうか。


 そうやって話しているとダリーシャが寄ってきた。


「ルミア・ルノワール。さきほどはありがとう。まさかあんな手があったとはな。」


「我ながらずるい方法をとったと思いました。ただ一つ言わせてもらいたいことがあって・・・」


「なんだ?」


 ダリーシャは首を傾げる。


「魔法試験のときにあなたに怪我を負わせたのはたぶん私です。申し訳ございませんでした。」

 

 頭を下げながら謝罪する。


「顔を上げて。」


 私は言われた通り、顔を上げる。


「知ってた。知ってたから決闘を申し込んだし、試した。もしそこまでして謝らないようなやつだったら全力で嫌ってやろうと思ってな。でも剣を合わせてみたら、君は人を故意的に傷つけるような人じゃないって分かったから。だから・・・」


「だから・・・?」


「友人になってくれ。」


 友達が増えましたわ!!

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