決闘!
「さあ、始まりました!本日噂で持ち切りとなった決闘!実況は私、生徒会次期会長、リリーフが務めさせていただきます!!一年主席の美少女vs悪人面の剣士!!試合のルールはなんと、魔法禁止の剣のみの試合となっています!!決めたのはダリーシャ選手と、ルミア選手に不利な状況と見られますが・・・!?」
観覧席から声が飛んでくる。
「ダリーシャ!!それでも剣士か!?」
「正々堂々勝負しろよ!!」
・・・なぜ実況がいる。と、ルミアとゼラルは離れていても同じことを思った。思っていたより事態は大きくなっていたらしく、生徒はほぼ全員いそうだし、学院長まで見に来ている。
さすがに人見知りはしなくなったとはいえ、これは緊張する。この世界の人たちはみんな暇なのかしら?
そんなことを思っていると、決闘の時間になる。
「おっと!!決闘の時間になりましたぁ!!両者とも準備はよろしいでしょうか!?」
私は反対側の入り口に立っているダリーシャが歩き始めたのを見てから闘技場に足を踏み出した。
「さあ!両選手とも入場しましたぁ!!ダリーシャ選手の手にはあの炎をまとった魔剣があります!!一方ルミア選手は!?・・・な、なんと!手ぶらです!どうやって戦うのでしょうか!!」
私たちは真ん中の決められた位置に立つと、一礼をする。決闘のマナーだ。そこで私は拡声魔法を使いながら話す。
「試合前に申し訳ございませんが、一つお願いしたいことがあります。」
「なんだ?」
ダリーシャは嫌な顔はしなかった。ちょっとだけ安心した。
「魔法を一つだけ許可させていただきたいのです。」
「何の魔法だ?」
「土魔法です。私は今まであまり剣をふるったことはありません。もちろん剣もありません。学院にあるものをお借りしようと思いましたが、あなたの魔剣には及ばないでしょうし、壊してしまったら申し訳ないです。なので土魔法で”剣もどき”を作れないかと。」
「そんな物で魔剣に対抗できると?」
「全力で魔力を込めればワイバーンの皮膚にかすり傷くらいならつけられますわ。」
試したことがあるのだ。でも思いきり切り込みに行ったら折れた。そもそもワイバーンの皮膚はダイヤ並と言われているのだ。
「なんと!ルミア選手のトンデモ発言!!さすがルノワール家!魔力量がおかしい!ダリーシャ選手はどうするのだぁ!?」
ダリーシャは悩む素振りも見せずに言う。
「そうか。なら良い。剣の性能が劣ったとしても技術では劣らないからな。」
「ありがとうございます。」
「ダリーシャ選手、ルミア選手のお願いを許可したぁ!!これはダリーシャ、相当自信があるようだ!!」
私は土魔法で剣・・・みたいなものを作る。
「ルミア選手、剣を生成しました!!・・・が!なんなんだあの形は!私、あの形の剣は初めて見ましたぁ!!」
ダリーシャが訝し気な目でそれを見る。
「・・・なんだ?その剣は。」
「さあ、なんでしょうね。」
私がそれを構えると、ダリーシャも魔剣を構える。
「準備が整ったようなので、試合を開始いたします!」
そう言うと大きな鐘が一回鳴る。それを合図にダリーシャは動きだす。私を切ろうとしたダリーシャの剣を、いなした。
不思議な戦い方にダリーシャは驚いた顔をした。だってこの世界には剣道はありませんものね。




