夢見心地
「_____ラル、___ゼラル___」
誰かが僕を呼ぶ声が聞こえる。
「ゼラル!!起きて!」
「___んー?」
ぼんやりとした視界に映ったのは先ほど見た天使だった。____だが一つ違う点は・・・
「!?ち、近い!!」
そう言ってがばっと起きると、視界がグルっと回った。フラッとしてまた同じ場所に寝ると、先ほどは気付かなかった柔らかい感触に気づいた。・・・ルミアが近くにいた理由も分かった。
「まあまあ、ゼラル、あなた木の下に落ちたときに眠り粉を撒く植物に頭から突っ込んでいったのよ。」
「そ、そうだったんだ・・・」
なんか普通に会話が始まったけど、この体勢は膝枕だ。女の子特有の甘い香りが鼻腔をくすぐる。自然と鼓動が速くなる。
「・・・ねえ。」
「何かしら?」
彼女は微笑む。最初はこの笑顔に動揺したけど、今では少し落ち着いて対応できるようになった。でもやっぱ少しドキドキする。
「なんでこの体勢なの?」
「あなたを地面に寝かせるわけにはいけないでしょう?私を助けようとして一緒に落ちてくれたのだから。」
そう言って彼女はいたずらっぽく笑う。彼女はたまにこういうことを言うから困る。
「あとここどこ。」
「さあ。でもあなたが起きればもう問題ないわ。もう体調は落ち着いたかしら?」
僕はゆっくりと身を起こす。さきほどのような眩暈はない。
「うん、大丈夫。」
「そう。じゃあ・・・」
彼女はスッと立ち上がる。
「どうやって戻るの?」
「まあ見てなさい。」
彼女は真上の少し窪んでいる部分に手を向け、雷魔法を飛ばす。大きな音と同時に大きな穴も開いた。やっぱりデタラメな威力だ。真上なのでいろいろと落ちてきたが、ルミアが風魔法で飛ばす。
「行くわよ。」
「・・・うん。」
彼女だけは敵にしたくないな。
ゼラルと一緒に風魔法で地上に上がると、エレナに会う。どうやら私たちを探していたみたい。大きな音を私が《・ ・》出したので、二人もそのうち来るだろう。
「おー良かったぁ。無事だったんだねぇ。」
「ご無事で何よりです!」
「でもあれ何だったのぉ?」
「あれは多分魔物の冬眠の巣よ。あの大きさだったら結構強力なやつだと思うわ。良かったわ。今が冬ではなくて。」
「そ、そうだったんだ。」
まあ私なら倒せるのだけれど。最近ではだんだん公爵令嬢の皮がはがれている気がする。まあ心の中はいつも前世テンションだからね。・・・でもゼラルが手を掴んでくれた時は嬉しかったし、なんか鼓動が速くなるのよね。なぜかしら。
「そういえば、今って何時なの?」
「あ、そういえばあと二十分しかありません。」
「そぉなんだー。でももう十分じゃない?」
「そうね、ゆっくり歩きながら帰ればいいわよ。」
「そうだね。」
そして帰る途中になんとワイバーンもどきを見つけた。これはワイバーンの下位互換の魔物でワイバーンよりは弱いが、ゴブリンロードよりも強い。それに好戦的だ。まあ、私は余裕ね。でもなんでそんな強力な魔物がいるのかしら。
「あれ、ワイバーンもどき・・・?」
「そうよ。」
「あんなの倒せるのかなぁ。」
「分かりませんね。」
「でも戦ってみたいです・・・!」
「みんなで力を合わせれば倒せない敵でもないと思うわ。」
そう言った後は早かった。やっぱりすぐに決着が着いてしまった。この子たちやっぱり優秀ね。
「・・・なんで僕この班入っちゃったんだろう。」
「安心なさい。あなたにも魔法教えてあげるから。」
「聞こえてたの!?」
逆にそんな大きい独り言ってなかなかないわよ。




