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私の弟

 私には双子の弟がいる。名はノア・ルノワール。双子なのに私とはあまり似ていなかった。紫色の髪に、金色の瞳。顔はやはり整っている。これはこれで夜空に星が浮かんでいるみたいで素敵と私は小さいころ言ったのだが、私の銀髪と深い紫色の瞳の方が幻想的で綺麗だと言ってくれた。たぶんこいつはモテるなって小さいころに確信した。


 ところが十歳の誕生日を控えた冬、事件は起こった。ノアが倒れたのだ。ノアには私なんか比べ物にならないほどの膨大な魔力があった。でもノアは私と違って戦闘狂なんかじゃない。だからある日、魔力をため込んで起きてしまう、魔力過多という病気になってしまった。今では少しずつ魔力を放出していっているらしいが、ノアの魔力回復速度が速いので、それでは間に合わない。いつしかノアは自分の部屋で寝たきりの生活を送ることになった。


 私はときどき遊びに行ってたが、魔力過多になると体から少しずつ魔力が放出されるのだ。しかも他人の魔力は毒になるのだ。双子の私は魔力の波長が似ていたのでまだあまり影響は無かったが、食事を運びに来る侍女たちは具合を悪くして部屋を出てくる。


 ・・・このままじゃノアは成人の二十歳を迎える前に死んでしまう。だから解決策を探すためにこの学院に入ったのだ。ここは一流の魔術師や、伝説の勇者も輩出している。だから解決方法もあるのではないかと。




 リュカが突然無言になった私を不思議そうに見ている。


「ルミア?大丈夫?」


「ええ、大丈夫よ。少し考え事をしていたの・・・」


 本当なら二人で一緒に勉強をしたかった。ノアは本当に優秀だったのだ。転生した私はそれはもちろん他の子より優秀なのだが、ノアはそんな私と常に並んでいた。すごいと思った。だから私だけ学院生活を楽しむのは背徳感があったのだが、ノアが「僕の分まで友達作ってきてね。」というから友達百人というバカらしい目標をミランと共に立てたのだ。


「僕・・・あまりできることはないけど、話くらいなら聞けるからね。」


「ありがと、リュカ。」


「うん!」


 なんか動物になつかれた気分だ。そういえばお腹が空いてきた。時計を見るともうお昼だ。


「そろそろお昼にするわ。何か食べたいものあるかしら?」


「うーん。ルミアの好きなものが食べたい!!」


「そう。分かったわ。」

 

 私の好物・・・それはオムライスだ。切れ目を入れたときにとろっとなるあの卵がおいしい。あと私は玉ねぎが好きなので、多めに入れるのだ。でもこの世界にはもともとない料理なのだ。私が頑張って作り方を研究した。


 よく作っているので、三十分ほどで二人分を作り終えた。


「できたわ。」


「いい匂い!!・・・?なにこれ。」


「これはオムライスというの。おいしいのよ。」


「そうなんだ!じゃあいただきます!」


 そう言うとリュカは恐る恐るオムライスを口に運んだ。そして口に入れ、食べる。オムライスを飲み込んだ後、リュカは目を輝かせる。


「おいしい!!なにこれ!?」


「珍しいわよね。卵料理だから。」


 そう、この世界では卵料理なんてプロくらいしかしないのだ。なぜか分からないけど。


「へぇ、これが卵料理なんだ。毎日食べたいくらいだよぉ。」


「そう、でもバランスのいい食事をとってもらうわよ。」


「はぁい。」


 そう言うと、リュカはオムライスを一心不乱に食べる。よっぽどお腹が空いていたのね。

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