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作戦会議

 一日の授業を終えた私たちは、五人で食堂に行った。ここは放課後にも開放されるため、勉強したり、友達と談笑したりする生徒が多い。何よりここは五階にあるので景色が良かったりする。さっそく私はお気に入りの紅茶とクッキーを頼む。クッキーはおいしいと評判なのだ。まあミランの作るのには敵わないけどね。


「わあ!相変わらずここのクッキーはおいしいですよねぇ!!」


「うん。おいしい。」


「どんどん食べていいわよ。」


「ありがとね、ルミア。」


 実はクッキーは多めのをいつも私が買って、みんなでつまみながら談笑するのだ。本当はいつもお小遣いが足りなくなる、と少し暗い顔をしながら食堂に向かうエレナとベルのために買ったんだけどね。カイとゼラルはお金あるはず・・・


 最初は遠慮してたエレナとベルだけど、今では遠慮の”え”の字もない。かわいいけどね。


「そういえば、来週の作戦どうする?」


「二手に分かれたらいいんじゃないかしら。」


「いや、それだと訓練にならないんじゃないかな。」


「そうね。」


「じゃあ、ルミアちゃんが風魔法でみんなを運びながら援護すればいいんじゃない?」


「それにしよっか。」


「でもグループでやるならグループらしい戦術もしたいわね。」


「あ、じゃあ私が水魔法を魔物の群れに放ってから誰かに雷魔法を撃ってもらうとか・・・」


「いいねぇそれ。おもしろそうだし俺がやるよぉ。」


 そこでエレナがスッと手を挙げる。


「・・・あの、空中戦ってことですよね?」


「うん。」


「私は遠距離の攻撃手段を持っていません。」


「「「「あ・・・」」」」


「じゃあエレナちゃんは風魔法で速度を上げて打撃するのとかどぉ?」


「いいね、それ。それはカイに任せよう。」


「おっけー。」


「まあだいたいこのくらいでいいんじゃないかしら。」


「じゃあ作戦会議終了!なんか話すネタないの??」


「うーん、じゃあ、さっきルミアちゃんが使ったあの威力がおかしい火魔法のせいでぇ、ルミアちゃんがダリーシャに怪我をさせたんじゃないか、っていう噂が出てるんだよぉ。知ってたぁ?」


 私は一瞬ポカーンとしてしまった。やばいんじゃないっすかこれ。


「そ、そうなの。知らなかったわ。」


「で、実際のところどうなのぉ?」


 私は縋るようにゼラルを見た。だがゼラルは諦めろという顔をしていた。ま、まあわざとじゃないしね。


「・・・たぶん私よ。ゴブリンロードに使った魔法の出力、間違えてしまったの。半径五百メートル内にいたらたぶん怪我はしてるわ。」


「やっぱりね。まあ、あいつは丈夫だからへーきだよぉ。ただちょっと面倒なだけ。」


 その面倒、のところについて詳しくお伺いしたかった。


「ルミア様、すごい!ちょっとダリーシャ様には恨みがあったのでちょっとスカッとしたんですよ~。」


 そういえばベルが敬語(?)に戻ってる。あとこの子、可愛い顔して言うことえげつなかったりする。


「そ、そう。それは良かったわ?」


「いや、良くないから!ルミア、ダリーシャが来たらちゃんと謝ってね!!」


「はい、お母さん。」


「誰がお母さんだ!!」


「ゼラルは口うるさいです。」


「なぜルミアは様付なのに僕は呼び捨て・・・?まあいいけど。」


「まあまあ、落ち着いてよぉ、お母さぁん。」


「だ・か・ら!誰がお母さんだ!!」


「ちょっと君。」


 ゼラルが振り返ると食堂の管理人さんが立っていた。


「君、何度も言ってるよね?もうちょっと静かにしてくれって。ここには勉強しに来てる子もいるんだよ。分かっているかい?」


「はい、すみません。以後気を付けます。」


「それ、何度目だと思っているんだい。私にも限度があるよ?」


「はい、すみませんでした。」


 この光景ももう見慣れたものだ。さっきまで勢いよく突っ込みを入れていたゼラルが急にシュンとなるので私とカイは笑い声を出さない様に笑っているし、エレナとベルは口を全力で抑えて笑いをこらえている。


 まあ管理人さんがいなくなるとゼラルは顔を真っ赤にして私たちを睨んでくるのよ。そのパターンが続いてて、それがおもしろくてたまらない。これぞ青春、だなぁ・・・



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