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皆の実力

 メルイア先生はいつも通り教壇に立つ。


「みんな、おはよう。今日は来週の魔法訓練のグループ作りの期限だ。欠席のダリーシャとカストロ以外のグループは決まったと思うから、今日の三、四時限目にはメンバーの能力を知るために闘技場で訓練を行う。以上だ。」


 闘技場はありとあらゆる衝撃を受けても傷がつかない特殊な作りをしている。観覧席もついていて、決闘や、クラス対抗戦に使われたりする。


 ホームルームが終わってからまたあの五人で集まった。


「そういえば君たちの得意魔法とか聞いてなかったね。まあ僕はほぼ全部使えないんだけど。」


「私は基本的に全部が同じくらいに使えるわ。しいて言うなら火魔法が得意ね。」


「俺は風魔法かなぁ。威力も結構自信あるよ。」


「風魔法を使えるんですか!?あ、わ、私は水魔法が得意です!」


「私は平民だからあんま魔法使えないです。身体強化魔法は得意です。」


 風魔法自体使うのはそんなに難しくはないのだが、攻撃手段としては高度な技術と適性がいる。そう考えるとカイはやっぱり優秀なのだ。水魔法は使い方によっては強くなる。だが気になるのはエレナだ。身体強化魔法だけじゃ魔物は倒せない。


「うーん。僕としてはルミアとカイがいれば魔法訓練ぐらいすぐ終わっちゃうと思うんだけどね。でもそれじゃ訓練にならないからなぁ。」


「じゃあ俺とルミアちゃんはぎりぎりまで手を出さなきゃいいんじゃないの。」


「そうしましょう。詳しくはまた後でね。」


「「「「はーい。」」」」




 そして私たちは今闘技場にいる。闘技場には魔法を当てる用の的が用意されていた。先生の話を聞いた後はグループごと自由にしていいことになる。


「じゃあ魔法の威力を見たいから順番にあの的に得意魔法を撃ってー。」


「じゃあ私から行きます!!」


 そう言ってベルは的に手をかざした。この世界には前世でよくあった設定の、呪文というものは存在しない。もしあったら中二病に片足を突っ込みかけてた私が両足で勢いよくダイブすることになってた。


 ベルの水魔法の威力はそこそこ高かった。魔物を倒すのにそこまで苦労はしなさそうだ。


「うん、これならいい戦力になるね。」


「あ、ありがとうございます!」


「別に敬語なんか堅苦しいもの使わなくていいんだよぉ?学院では皆平等でしょお?」


「じゃあそうする!」


「あ、エレナちゃんもだよぉ?」


「あ、私にはまだ難易度が高いので・・・」


「まあまあ人には人のペースがあるのよ。・・・エレナはどうやってあの的に攻撃するの?」


「基本的に魔物と戦うときは身体強化魔法をして殴る感じでしたから・・・」


「「「「え?」」」」


「え?」


「だ、だって、魔物には魔法しか効かないんだよ!?」


 ゼラルの素が出てる。


「あ、さすがにそこまでごり押しはしてないです。」


「あーだよねぇ。」


「でも拳や足に属性魔法を少しまとって殴る蹴るはしてました。父が武道家だったので。」


「「「「・・・」」」」


 この子、魔法がない世界なら強いのでは?ここにいた皆が思った。確かにカイとゼラルが全力で開けようとして開かなかったビンの蓋を笑顔のまま一瞬で開けたことはあったが。


「・・・ならあの的も吹っ飛んじゃいそうだから一番最後にしとく?」


「そうした方がいいわね。」


「そういえばゼラルくんってどの程度は使えるのぉ?」


「え・・・それはもう人にはお店できないくらい・・・」


「やってみてよぉ。」


「ええ・・・しょーがないなぁ。でも本当にひどいからな。」


「ハイハイ。」


 そうしてゼラルは的に向かって手をかざした。すると試験のときにも見たあのひょろい火の玉が出てきた。


「「「「・・・」」」」


 しばらくするとその火の玉は的に届く前にシュッと消えてしまった。


「・・・ほら言っただろ?」


「ゼラルくん、大丈夫。魔法だけが全てじゃないよ。」


「慰めないで。」


「ゼラル様、私だって身体強化魔法くらいしか使えないですし・・・ね?」


「同情しないで。」


「大丈夫よゼラル。最悪私が守ってあげるわ。」


「それ男女逆のセリフだよね・・・」


 だってゼラルが尻尾を垂らした子犬みたいな雰囲気を出しているものだから皆何か言わなきゃだめだってなるわよ。そりゃあ。





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