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グループ作り

 先生が出て行くと教室内がにぎやかになる。もう友達を作っている子もいる。誰にでも話しかけられる人って本当、尊敬する。私は後ろを振り返った。ゼラルも人見知りがあるようだ。


「あ、ルミア。魔法訓練僕と同じグループになってくれない?僕は魔法なんてほぼ使えないし、君がいれば安心だよ。」


「そうね。ゼラルには参謀役にでもなってもらいましょう。」


 ゼラルの魔法試験でのポイントはあまり高くない。それでも次席なのだ。つまり学力テストは満点か、満点に近かったのだろう。さすがだ。


「君ならごり押しすればいけるんじゃない?」


「私を何だと思っているのよ。」


「うーん。意思があって人型の魔物?」


「それもう魔王じゃないの。」


 そう言って二人で笑った。友達ができた実感が沸いてくる。そんなときに割り込んでくる奴がいる。


「お二人さーん。魔法訓練いっしょに組もぉー?」


 案の定カイだった。まあもう友達だし、魔法が得意なカイがいるなら安全性が高まっていいと思う。断る理由もない。


「いいわよ。ね、ゼラル。」


「まあ断る理由もないしね。」


「ありがとー。でさ、聞きたかったんだけどー。」


「何を?」


「ルミアちゃんいったい魔法試験何ポイント稼いだのー?俺はだいたい300ポイント稼いだから学力テストは低かったけど次席程度にはなってるかと思ってたんだけど。ゼラルくんは学力テスト満点だから勝てないしぃー。」


 やっぱゼラルは学力テスト満点だったのね。私は500ポイントだけど、なんかめんどくさそうだから言わないでおこう。毎年、平均は50くらいなのだ。


「私も学力テスト、満点だったのよ。」


「へー。頭いいんだねー。」


 カイも頭は良いと思ってたんだけど。もしかしてIQが高いのかもしれない。そうじゃないとあんな強力な魔法は使えない。


「ところで今三人集まったけどあと二人どうすんの?」


「アテがないわね。」 


 そんな感じでクラスを見回していると気分が悪くなるものを見てしまった。


「こっちに来るな!!薄汚い平民ごときが!僕は侯爵家の者だぞ!」


 そう言ってその男子は一人の女の子を蹴飛ばした。このクラスにも平民の子が見た感じ六人ほどいる。五人一組だからどうしても一人が余ってしまう。だからあの子は自ら抜け、他のグループに入れてもらおうとしたのだろう。だが基本的に貴族は平民を軽蔑している。私は前世の記憶があるから皆平等と思えるけどそう思える人はだいぶ少ない。ここで助けに行ったりなんかすると貴族の名誉に関わる危険性もある。私が生徒会に入りたいと考えるのも卒業後に権力を持って平民の差別をなくしたいと思ったからだ。


 そんなことを考えていると、さきほど先生に質問をしていた女の子が話しかけてきた。


「あのー、できれば私を入れてもらえませんか?友達とかいなくて困ってたんです。」


 この子の実力は知らないが、席的に七番目に優秀ということになる。優秀かどうかで判断するのもどうかと思うが、安全第一で行きたかった。


「いいわ。私はルミア・ルノワールよ。」


「僕はゼラル・ミルシュアだよ。」


「俺はカイ・スチュアートだよぉー。よろしくなー。」


 私たちの名前を聞くと女の子は驚いたような顔をした。


「えっ!?あ、わ、私は男爵家のベル・ヴェレッカです。ま、まさか公爵家の方と宰相様のご子息と魔法師団長様のご子息だったなんて!おこがましいことを言ってしまって申し訳ございません!どうかお許しください!」


 その女の子の土下座しそうな勢いに今度はこちらが驚いた。でも冷静に考えると確かに私たちは権力の集まりって感じになっているのよね。それにさっきの女の子が大声で私たちのことを言ったせいで私たちに注目が集まっている。面倒くさいことになりそうだ。


「僕たちはそんなこと気にしないよ。立場なんて友達になれば関係ないでしょ?」


 そう言ってゼラルがほほ笑むとそれを見ていた後ろの女の子数名が黄色い声をあげていた。このイケメンめ。そんな顔を間近で見ていたベルの顔は真っ赤だ。


「そうよ、ゼラルの言う通りよ。私たちも人が足りなくて困っていたの。だから私たちのグループに入ってほしいの。入ってくださる?」


「も、もちろんです!これからよろしくお願いします!」


 そうするとベルの後ろから先ほど女の子を蹴飛ばした男子がさきほどの形相とは打って変わってにこやかでわざとらしい笑みを携えてこちらに来た。


「初めまして、ルミア様、ゼラル様、カイ様。僕は侯爵家のカストロ・ローレンスです。見たところ、グループの人数が一人足りていないようですね。できれば僕を入れていただけませんか?」


 こいつの態度の変わりように不快感を覚えた。ゼラルも感じたらしい。顔をしかめている。ていうか私たちの名前を知っているということは権力がある家の者の名前を覚えているのだろう。私とゼラルが断り方を考えていると、まさかのカイが動いた。


「へー。俺たちの名前覚えてるんだね。」


「貴族として当然ですよ、カイ様。」


「あーそういうのいいから。ていうか君つまんなさそうだからもう関わんないでくれる?顔を見るのも嫌になったからー。」


「なっ!?ど、どうしてですか!?私の何が悪かったのです___」


「うっせーよ。つべこべ言ってないで早く失せろよ。」


「ひっ!し、ししし失礼します!!」


 そう言ってカストロは自分の席に戻っていった。ちょっとスッキリした。


「これで邪魔者は消えたよぉー。でー、どうすんのー?」


 ・・・こいつ、いつもはゆっくり喋ってるけどガチトーンで喋ると威圧感ヤバいな。身長も大きいし。


カストロのあだ名はカスだったりする。


この世界にはカスという言葉はないという設定なのでこのあだ名が使われるとルミアは内心めちゃくちゃ笑う。

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