青春への第一歩!
私は入学式があるまでの二日の間に、教材を一通り読んだり、新入生代表のあいさつの原稿を書いたりした。あと、寮生活の準備をしたりした。私はこの時のために小さいころから料理長の手伝いをしていた。おかげで前世では全くなかった料理スキルも得ることができた。何より楽しみなのは、友達とお泊りとかいうイベントだったりする。私には女子の友達まだいないけどね。
_____そして、入学式当日。私はとってもワクワクしているが、前世ではこの時に死んでしまったのだから少し緊張している。新しい制服に身を包み、青春感を体験していた。可愛い制服というのはやっぱり着ているだけで楽しいものだ。
私は朝食を済ませ、いつものようにミランの手を取り、馬車に乗り込んだ。しばらくこの馬車にと乗れないし、ミランにも会えなくなるだろう。
「お嬢様、制服とても似合っています!可愛いです!」
「ふふっ。ありがとう。」
前世の私目線で見ると、制服に身を包んだ私はまるでアニメやゲームのヒロインのように可愛かった。最近は忘れかけているが、本当におじいさんには感謝だ。
学院に着くと、ミランばしばらく目を潤ませながら私の手を握っていた。
「お嬢様ぁ!どうか、ご無事でいてくださいねぇ。お友達も百人作れるように頑張ってください!!あ、あとちゃんと戸締りを...」
「分かったわ。落ち着きなさい、ミラン。目立っているわよ。」
私の馬車は公爵家のものなので、ただでさえ豪華で目立つのに、そこの侍女が令嬢の手を握って泣いているのだから目立つだろう。
やっとミランが落ち着いて、馬車は来た道を帰って行った。私は入学式を行うために、体育館に向かった。クラスは一学年で四クラスあり、成績順に分けられ、A、B、C、Dクラスがある。私はAクラスなので、一番左の列だ。
入学式が始まるまで、あと二十分もある。早く来すぎてしまったようだ。することがなく、新入生代表のあいさつを頭の中で思い浮かべていた。
「やあ、ルミア。久しぶりだね。」
声のした方を見ると、ぜラルがいた。女子と少し似ているグレーのブレザーに、青のチェックのズボンを履いている。ぜラルはもともと髪色や瞳の色が青系なので、よく似合っていた。こうして見ると、ゼラルは性格が少し残念だが、イケメンなんだと思わされる。その証拠に、周りの女子が頬を少し紅くしながらチラチラとぜラルを見ている。まあ私の精神年齢的に恋するような感じではない。でもこの世界でもう一度子供として扱かわれたので精神年齢は中学生程度で止まっているんだけどね。
「ゼラル。久しぶりね。あと、花束をいただいたわね。ありがとう。とても素敵だったわ。」
あの花束は本当に綺麗だった。前世ではあんなのもらったこともないけど、選んだ人は相当センスが良いと思った。
「そんな、君が居なかったら受かってなかったんだから当たり前でしょ!感謝の気持ちも込めて僕があれ選んだんだー。あ、隣座っていい?」
あれゼラルが選んだのね。十二歳なのにすごいと思うわ。
「ええ、もちろんよ。でも宰相様からふくろう便が届いたときはさすがに家族も執事も慌てていたわ。」
「・・・あぁ。だよね。僕もそう思ったからふくろう便はやめた方がいいんじゃなかってお父様に言ったんだけどこういうのは早く送った方がいいって聞かなくてね・・・」
「まあ、そうよね。」
そんな話をしているうちに入学式まであと五分という時間になった。
「ねぇ、ゼラル。」
「なに?」
「カイは来ないのかしら?」
「・・・確かにいないな。あいつのことだからなんとなく合格してる気はしてたんだけど。」
「私もそう思っているわ。しぶとそうだしね。」
「君、結構毒舌だよね。」
「そうかしら?」
開始まであと一分。教師が体育館の扉を閉めようとしたとき、ものすごい速さで風を纏った何かが入ってきた。そしてその何かは私たちの近くに来た。私たちは吹いてきた風に目を細めていた。そして風が止み、それが来た方を見るとさきほどまでは空いていた椅子にカイが座っていた。カイは私たちが自分を見ていることに気づいたのか、二っと笑って、
「滑り込みセーフだろ?」
と言った。いや、まあそうだけどさ・・・
「そういうことじゃないから!!」
ゼラルが私たちの気持ちを代弁してくれた。




