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人の王、魔の王  作者: 金色の沼
2.新米冒険者編
16/17

2-7.ピルラビット討伐!



主人あるじさま、あれがピルラビットじゃ…」

「あれが…」


ぼくとルシフェルは草の陰に隠れて、10メートルほど前にいるピルラビットを捉えていた。

今回のクエストの目標はピルラビットの討伐。

そして獲物はすぐ目の前。


(主人あるじさま、此奴は音に敏感じゃ。

これからは念で会話するぞ。)

(あぁ、分かった。

でもこの念会話、魔物であるピルラビットにも伝わってしまってるんじゃないのか?)

(いや、わらわが魔力で制御してる故、わらわ主人あるじさまにしか聞こえて居らぬはずじゃ。)

(なるほど)


ピルラビットは呑気に草を食べている。

前に本で読んだのだが、魔物は基本的に魔素を食べることで生きているのだが、魔素の結晶をそのまま食べるのでなく、草や他の魔物を通して体内に取り込む種類もいるようだ。

むしろ結晶をそのまま食べるのは消化に悪いため、後者の方が多いらしい。

前にルシフェルが魔素の食べ過ぎで腹を壊していたが、どうやらこれが理由だったようだ。


パキッ


落ちていた枯れ枝を踏んでしまった。

ピルラビットはその長い耳をピクッと動かし、辺りを警戒した。

音に敏感だというのは本当らしい。


(主人あるじさま、気を付けい!)

(申し訳ない…!)


ぼくらは周りを見渡し、他に魔物がいないことを確認した。

近くにいるのは、今目の前にいるピルラビット一羽だけ。


(ルシフェル。)

(はいな、主人あるじさま。)


ルシフェルはサッと立ち上がったかと思うと、次の瞬間にはピルラビットの首を刈っていた。

相変わらず目にも留まらぬ速さ、鮮やかな切れ味。

ピシャッと先ほどまで首が付いていた部分から血が吹き出し、ルシフェルの身体にかかった。


「ぬぅぅ、主人あるじさまぁ…。

キモい、キモいのじゃ〜…。」

「…帰ったらすぐ風呂に入ろう。」

「うむ、そうさせてもらうぅ…。」


ルシフェルはそう言うと、ピルラビットの眉間にある石を手際よく取り出した。


「これが魔石といって、ギルドに持って帰ると討伐したことを認めて貰えるのじゃ。

まぁ言わば、首級のようなものじゃな。」

「これが魔石か…」

「そうじゃ。

ちなみに、魔石や魔物の体はギルドで買い取ってくれるぞ。

まぁピルラビット程度じゃ買取価格はたかが知れてるじゃろうがの。」


それでも、ぼくらの初めての成果だ。

しっかりと生活の糧にさせていただこう。


「ちなみにピルラビットは焼いて食えば美味いらしいぞ。

わらわはいらぬが、主人あるじさま食うか?」

「いや、大丈夫。

ギルドで換金しよう。

今は少しでもお金を稼ぐべきだと思う。」

「賛成じゃな。

今のままじゃ、今日の宿代すらままならぬからの。」


そして、要領を掴んだぼくらはこの後ピルラビットを20羽ほど狩った。

陽が落ちる頃、狩りを切り上げ、再び『ギルド・シャルム』の館へと帰ったのである。

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