カサハラ
彼は右手の甲にハンドクリームを出す。
白くて細長い形。
彼は左の手のひらでそのクリームを潰す。
ローズの心地よい香り。
私はゆったりとしたBGMのなかで紅茶をすすり優雅に時を刻む。
喫茶店で癒されている私の斜め前のテーブルにいる彼が私の心をざわつかす。
彼が勢いよく手を擦り合わせながらクリームを擦り込む音は私の癒しを引き裂く。
カサカサという音が長く響き続き不快感が生まれ出す。
公共の場であること、強く擦らなくても効果があること、肌は自分が思っている以上にカサカサしていることなどを認識してもらいたい。
彼のカサカサハラスメントによって、私、笠原麻香の気分は最悪。