4 情報収集
「エインさん!ちょっと良いかな?聞きたい事があるんですけど。」
「何だ?また何かやらかしたのか?」
翌日、さっそく診療所でエインさんに色々聞いてみようと声を掛けたらいつもの如く茶化された。
「もー!今回はまだ何もしてませんよ!今から仕掛けるんです!」
「仕掛けるって?なんか面白そうだな。何が聞きたいんだ?おーい!ハンナも来いよ。」
「な〜に?クオルフって事はまた何か面白い事があったのね?」
エインさんに呼ばれてやって来たハンナ姉も、これまたからかうように笑う。夫婦は似るって言うけど本当ね。私のいじり方がそっくりだ。超微笑ましいぜまったく!
「面白いかどうかは微妙だけどね。エインさんもエルーは知ってるでしょ?赤ちゃんだった妹を連れてスラムに来たんだけどね、妹はその時孤児院に入れて今は離れ離れに暮らしてるの。その二人が一緒に生活出来るように色々考えてるんだ。」
「あぁ、知ってるぞ。その話も前に聞いた気がするな。」
「ココ、元気に暮らしてるかしら?」
「今度とりあえず様子を見に行こうと思うんだけど、エインさん。孤児院に入ったら住民票って新しく貰えるんだよね?」
「住民票か…孤児院の事はそんなに知ってるわけじゃ無いが、多分そうじゃ無いか?孤児院の子どもは成人する前に、教会に残って修道士や修道女になるか、外に出て働き先を見つけるか選ぶんだ。残るならともかく、外に出て働くなら住民票は必要だろ。」
おお、さっそく新しい情報が出て来たよ。とにかくココが住民票を貰えないっていう最悪の展開じゃ無いみたいで良かったよ。
「そっか。その住民票ってどんな物なの?」
「どんな物って言われてもな…結婚や子どもが生まれた時に必要で、それを元に徴税もされるな。住民票自体はそれぞれの街や村で管理されてるし、新しく子どもが生まれたり結婚したり誰か死んだりしたらそこに届け出る。」
「じゃあ形有る物では無いんだね。紙切れとかを親が持ってるって言うんなら対処は簡単だったんだけどなー。」
いや、泥棒は犯罪だけどね。今更感強いし。まあ元々エルーとココの物って言えばそうなんだけどね。この時代だと家父長制みたいなのが結構強いから、子どもって蔑ろにされがちなんだよなー(遠い目)
「仕方無いから穏便に住民票を手に入れるとしたらどうすれば良いと思う?それもその後親に干渉されない形で。」
「エインさんはスラムに来た時に、親の住民票から離れて新しい自分の住民票を持ったんでしょう?独立って形になるから血の繋がりは無くならないけど、結婚とかそういう面で干渉はされなくなるって言ってたわよね?」
ハンナ姉からナイスな情報が!エインさんももっと早く言えば良いのに!
「ホントに?詳しく聞かせて!」
「成人したら法的にはそうやって独立出来る事になってるんだよ。ただそれも親の許可が必要だからな。俺の場合は勘当された時に向こうからそうしろって言って来たんだがな。」
「この国の成人って何歳だっけ?」
「十五だよ。結婚は十二からだがな!」
ちょ、そんなムキにならなくてもハンナ姉との事をどうこう思ってたりしないってば。
「てことは今エルーは十一歳?だからあと四年したら独立出来るわけだ。親の許可さえ取れればだけど。」
「そういう事だな。解決したか?」
「うん!聞きたい事は大体聞けたかな。エインさん、ハンナ姉、ありがとう!」
という事は、そこまで焦る必要は無いんだね。四年でエルーが両親を説得して、それでも駄目ならちょいと脅して独立の許可を貰う。その間にココと仲良くなりつつ孤児院から引き取る許可を得る。そしたら新しいエルーの住民票にココを入れられるようにまた両親と交渉だね。
順を追ってやっていけば何とかなるでしょ。




