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ケッペキショーの珍道中  作者: 朱華
もっと知ろうよスラム街
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2 職場訪問



そのままナサラにエルーの働いている所まで案内して貰って、そこの人にエルーへの伝言をお願いした。仕事終わりにエルーは伝言を聞いて指定した場所に来てくれるだろう。


それまでにゼムとジンの所にも行っておこう。ジンは土方の見習い、ゼムはあんちゃんの下で麻薬のブローカーをしてる。


ジンは帰宅時間帯がエルーと被るだろうから今回は会うのは諦めて、食べ物と食器のお土産だけ置いておこう。


ゼムに会いに行くのはちょっと勇気がいるんだけど、スラムの中でも少々治安悪めの裏稼業の人達の巣窟へと足を踏み入れる。あんちゃんが拠点にしてる建物の部屋の一つを使わせて貰っているみたい。


本来なら良いカモな新品の綺麗な服装といかにもお嬢様な金髪碧眼でも、ここ数年は【四つのギャングに守られし存在】として誰にも狙われなくて済んでいる。エインさんとハンナ姉も含め、診療所の者に手を出すとギャングからの報復措置が恐ろしいからだ。


拠点に着いて、まずはあんちゃん達が普段よくいる部屋の扉をノックした。


「あんちゃん、ゼム、いますか?クオルフだよ。」


「あぁ、来たのか?今開ける!」


ゼムは周りを警戒しながら扉を少しだけ開けて、私の顔を確認するとすぐに中に入れてくれた。鍵を再び掛け終わったゼムが緊張を解いて表情を綻ばせた。


「大変そうだね〜。」


「まあ、なにかと恨まれやすい仕事だからな。それより今日はどうしたんだ?」


「おい、ゼム!客が来たらまず始めに椅子を勧めるんだろうが。一応こいつも客だぞ。」


私の髪の毛をぐしゃぐしゃ掻き回して指し示すあたり、あんちゃんは絶対私の事をまともに客扱いしてはいないと思うんだけど、ゼムはあんちゃんの一喝にビシッと表情を引き締めて背筋を正した。


「はいっ!すみません。どうぞ座ってください。」


「はーい。今日はあんちゃんとゼム二人に会いに来たんだよ。二人ともいてくれて丁度良かったよ。」


「俺に何の用だ?嫁にして欲しいなら歓迎するぞ。」


「前から言おうと思ってたけど、私とマリーって二歳くらいしか違わないんだよ!?何か思うところは無いの?」


普通の顔で冗談ばっかり言うから最近は呆れてきてるんだけど、あんちゃんはちょっとばかり思案して真面目に返答して来た。


「……駄目か?娘より年下はともかく、お前くらいならセーフじゃないか?」


「あーもうそれで良いですよ。とにかくマリーより年下のには手を出さないでくださいね!さすがに軽蔑しますよっ!」


「分かった分かった。で、用って何だ?」


「あんちゃんにはマリーが元気にやってるっていう報告とお土産。」


あんちゃんは美味しい物いくらでも手に入れられるだろうから、食器だけ渡しておく。食器ももっと良い物持ってるから、使うかどうかは分からないけどね。


「おう。貰っとくな。これ、マリーに渡してやってくれ。どっちかお前にやるから。」


「リボン?どうしたのこんなの。ああ、私に服買ってくれてるんだから、婦人服のお店は知ってるのか。」


一人で勝手に納得しつつ眺めると、ピンクと水色のリボンだった。


「マリーはピンクの方が似合いそうね。ありがとう。」


ぺこりと頭を下げて、二つとも綺麗に纏めて鞄の中にしまう。


「ゼム、今日はもう良いから部屋でゆっくり話せ。」


「ありがとうございます!行こうクオルフ!」


「うん!ねえ、あんちゃん。たまにはマリーに会った方が良いよ。お母さんと離れてやっぱり心細いだろうからさ。パパからのプレゼントも喜ぶよ。」


「俺がパパってガラかよ?それに俺の娘だって知られたら狙われる。」


「その点でかなり安全性の高い所があるよ。診療所に昼休みの時間に来てくれたら他に誰もいないし、あそこはスラム1安全な場所だから。」


「…まあ考えとく。ほら、とっとと行け。」


「はーい。じゃあまた。」


今日はこんなところで勘弁してやろう。デレさせようの会は何も私に対してのデレだけでは無く、ちょっとしたおせっかいくらいは焼くのだ!



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