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21 決意



「はあ〜〜っ!もうヤダー!ハンナ姉慰めて〜!」


階下に降りてすぐにハンナ姉を見つけると、抱き着いてぎゅーっとする。ハンナ姉は優しく受け止めてポンポンと背中を叩いてくれた。


「あらあら、どうしたの?ギャングの皆さんとお話してたみたいだけど、何かあったのかしら?」


「そ~なのよ!ほんと、カトレアのバカっ!言いたい事があるなら直接言えば良いのに!」


と、ハンナ姉の腕の中でまたもや憤慨しているとハンナ姉が何かを思いついた様な、それでいて戸惑う様な不思議な顔をして呟いた。


「カトレア…?もしかして前に行ってた相部屋の子?」


「うん!そうだよ。結構仲良くやってたのにさ…私がスラムの住人だって分かった途端に口聞いてくれなくなったの。何か言いたそうなんだけど、黙ってないで話してくれればこっちもちゃんと返せるのにさ。」


「………ちょっと待ってね。エインさん!クオルフの話を聞いてあげてくれない?」


私がハンナ姉の様子を不思議に思いながら経緯を軽く説明すると、ハンナ姉は少し考え込んだ後で奥にいるエインさんを呼んだ。


「ん?どうした。まさかまた背が伸びたって言うんじゃないだろうな?白衣ならしばらく新しいの買ってやらねーぞ!」


特注は高いんだ…とボヤきながらエインさんはやって来た。私が、違いますよ。と苦笑と共に返す間にもハンナ姉はウズウズとした様子で、すぐに私が今話した内容をエインさんに説明した。


「……それは、なあ…クオルフ。お前のその友達は確か医者の娘だったな?カトレアという名で間違い無いのか?」


「…?カトレアで合ってますよ。確か地方の医者の子で、だから寮に入ったんだって言ってたと思うけど。」


なんでそんな深刻そうな顔で聞いてくるのかと思って答えたら…


「クオルフ……そいつは、カトレアは俺の妹だ。」


「……え?今、なんて?」


「俺はカトレアの兄なんだよ。」


「って!?……ええええええーーーーーっ!?」


予想外過ぎるんだけど!え?え?え?


でもちょっと待てよ。そうと分かって思い返してみると伏線は張られていたような…


…だからカトレアが微妙な反応だったの!?


「っていう事は、カトレアにエインさんがスラムにいる事は伝えてあるの?」


「ああ。ここで働く事になった時にカトレアや他の兄弟には知らせた。それ以来連絡を取っていなかったが…まさかお前と友達になっていたとはな。」


エインさんが連絡を取らなかったのはやっぱりスラムもギャングも危険な存在ではあるから、万が一にも兄弟を巻き込みたく無かったんだろう。


それにしてもなんていう偶然だろうか…私を助手にする事を条件にスラムの診療所に来たエインさんと、たまたまというか入試の順位が近かったから相部屋になった私とカトレア。


「……奇跡ね。」


思わずといった調子でハンナ姉が呟いた。エインさんはそれに深く頷いて話し始めた。


「…カトレアは末の妹で、本来家を継ぐ筈だった俺が禁忌を犯した事で、急にその役割が回って来てしまったんだ…他の兄弟は既に嫁いでいたり養子に行っていたりと他の道を歩んでいるからな。だから申し訳無く思うと共に、無理していないかずっと心配していたんだ。クオルフ…お前の口から色々と話が聞けて良かった。妹と友達になってくれてありがとう。」


エインさんはいつになく真剣な、痛切さも混じる表情で話し終わると、深々と頭を下げた。私はエインさんの腕を掴んで、顔を上げたエインさんに自分の思いをぶつける事にした。


「……カトレアは、私の事嫌いになったんじゃ無いかな?嘘ついたり、誤魔化したりするのやめたら、ちゃんと話聞いてくれるかな?仲直りしたいんだ…」


「あいつは人を出自や生い立ちで判断して、避けたりするような奴じゃない。だから多分、俺の事があってどう話したらいいか分からなくなったんだろう。しばらく連絡を取らなかった事で、スラムにいる事を心配もさせているのかもしれない。」


「だったら…!私、ちゃんとカトレアに伝えるよ!スラムで何をしてるのか、どうやって生きてきたのか、何で今まで嘘ついてたのかも含めて!それでちゃんと謝る!」


言葉に出して宣言したら、なんで悩んでたのか分かんなくなっちゃった!初めからウジウジしてないでそうすれば良かったんだよ!最初に私が嘘ついたんだからそもそも私が悪い!それをスラム出身だって分かったからだ〜なんて嘆いたり憤ってた自分が恥ずかしいよ!


そうと決まれば今日の夕方。帰ったらさっそくカトレアと話そう!



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