19 急展開
とりあえずお母様にいつ会うかはもうちょっとゆっくり考えるとして、その翌日普通に学園に行ったら貴族たちにまで噂が広がってて面倒な視線がたくさん刺さって来た。
「うわっ!本当におとこ女がいる!あんな髪で恥ずかしくないのか?」
おい、そんな明け透けっていうか聞えよがしに言うんじゃねーよ!他の人は一応気ぃ使ってヒソヒソ陰口叩くだけにしてんだろ!……って、それはそれで嫌なんだけどね。
「髪なんざその内伸びる!…まあ、伸びたらまた切るけども。てか、貴方誰ですか?失礼な人ですね。」
「俺様はマーヌッケ・ダドレフ。侯爵家嫡男だぞ!俺様に気安く話しかけるなどお前の方が失礼だろうが!」
…………は?ダドレフって!まさかのこいつが私のいとこですか?んなアホな。
俺様って!こいつかなりの大間抜けだな?
「あーはいはい。それは失礼しました。それでは。」
ちょっと、30分程度で1センエルはもったいないなんて言ってる場合じゃないな。今日の放課後、急いで昼ご飯食べて図書室に行って来よう。こないだはお母様の情報を調べるので精一杯だったからな…
って事でやって来ました二度目の図書室!イエーイパフパフヒュー!って、んな事やってる場合じゃないや。
貴族名鑑の上級貴族が載る上巻を開き、ダドレフ家のページを見るとありました!お父様の横並びに女の人の名前、この人がお父様の異母姉だろう。その下にマーヌッケの名前が。マーヌッケは11歳で今は二年生らしい。
あー、ついでにっていうか、お母様の嫁ぎ先のマクミラン子爵家についても調べよう。
マクミラン子爵は37歳、前の奥様との間に9歳になる男の子がいる。ほんとにマクミラン子爵の横にお母様の名前があるよ…そんで二人の下に六歳の男の子と四歳の女の子の名前が…うっひゃー!ほんまにおるやん。
まあお母様は32歳のハズだから五歳差なら年齢差はそんなもんじゃない?落ち着いて考えると、それなりに領地も肥沃な土地のようだし、子爵本人も温厚で有能っていうんなら結構な良縁なんじゃない?
次の日、何故か私がスラムの住人である噂というか事実が広まっていた。
え?いきなりなんで?と思って情報を集めたところ、どうやらマーヌッケが興味本位?で侯爵の権力を使って調べさせたら、私がスラムに消え、スラムから寮に戻る姿が確認されたのだとか。
うげー!なんつー余計な事してくれたんだ!
クラスの子達もよそよそしくなっちゃってさ!友達だと思ってたのはこっちだけかコラー!あとさ、何気に辛いのがカトレアまで何か物言いたげな視線を寄越す割に喋ってくれなくなったのよ。キースなんかは普通に接してくれるんだけどね。そういやぁ、髪切った時もそうだったなー
表立って何か言われたところで本当の事だから何も言えないしなー。
噂を聞いた担任に事情聴取されてしまったよ。
どーしようかなこれ。
「今流れている噂は本当なのか?お前がスラムに通ってるだとか、スラムに住んでいただとか、まことしやかに囁かれてるぞ。面倒だから本当の事を言ってくれ。」
「………そうですね。すべて事実だと言ったらどうなりますか?」
あー!こんな事聞く時点で認めてるようなものなんだけどね。
「そうだなー。その場合、とりあえず俺の手には余るから、上に報告して会議になるかな。場合によっちゃあ退学になるかもな。」
「あー、そうですか…えっとじゃあ噂は間違いデス。ほんと全く心当たりがありませんです、ハイ。」
「おい!白々し過ぎるぞ。いい加減諦めろ。ほら全部吐いちまえ。」
「うっ!……私はスラムの住人です。毎日仕事の為にスラムに通ってます…」
あーあーあー!どうしましょー
「そうか。ちなみにスラムに住み着いた経緯は?親もスラムの住人か?」
「いえ、俗に言う捨て子ですね。多分、わざわざスラムの前に捨てたって事は死んで欲しかったんじゃないですか?だから働かないと生きてけないんで、それくらいは見逃して欲しいところですけどね。」
まあ、その働き先が問題っちゃあ問題なんだけどね。なんせギャング運営の診療所ですから。
「今問題になってるのは働いてる事じゃなくて、スラムの住人であった事と、今もスラムに通ってる事だからな。やっぱ貴族の坊っちゃん嬢ちゃんが通う所だから、そこを心配すんだろな、上は。俺は別にどうでもいいが、積極的に手助けするつもりもねぇ。面倒だしな。自分でなんとかしろ。」
「ですよねー!しゃあないか!会議までに作戦練っときます。」
あー!面倒くせ〜!とりあえずギャングの皆さんに報告だな。




