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17 ナニー



次の日、丁度お休みの日だったので、スラム学校の方はお昼までで終わりにして、ナニーの家に向かう事にした。あ、ちゃんと手紙で今日行く事は伝えてあるよ。


門番にも話がちゃんと通っているようで、要件を告げるとすぐに中に通されて、応接室に案内された。お茶とお菓子を出されて、本当に久しぶりの再会に緊張しながらナニーを待つ。


「……!お嬢様……本当に良かった。お元気そうなお姿が見られて、本当に嬉しいです。」


すぐにやって来たナニーは、私の姿に目を留めると同時にポロポロと涙を流して駆け寄ってきた。


「うん…私も会えて嬉しい。ナニーも元気にしてた?」


「ええ!私は旦那様が亡くなって、お暇を頂いた後はこの屋敷でお嬢様の心配をする事しかできず…申し訳ありません。お嬢様は今までどうされていたのですか?辛い目になど、遭われませんでしたしたか?」


ナニー…やっぱりあの後、解雇されてたんだね。私の事を心配してナニーの方が辛そうな顔をしているので、安心させようとぎゅうーっと抱きしめた。


「ナニー!大丈夫だから。私はそんなに酷い目には遭わなかったよ!今だって学園に通う事も出来てる。私はとっても幸運に恵まれてるの!だから安心して。泣かないで…ね?」


不幸だったのはお母様と離れて、お父様を亡くしてしまった事だけ。他の事は、まあまあ辛い事があってもなんやかんやと色々なものに恵まれて、助けられて問題無く生きていけてる。


「そうですね…すみません。私の方が慰めて頂いて。お嬢様は、今は学園におられるのでしたね。どこかの貴族の後見でもお受けになって?」


「貴族では無いけれど、自警団をやっている人達に後見人になって貰って、学費は特待生になったから無料で通ってるんだ。だから今は庶民として生活してるよ。」


「……それは…お辛かったでしょう…何か不自由している事はありませんか?私も奥様もお嬢様をお助けしたいのです。」


あらまあ、せっかく止まった涙がまた目尻に浮かんで来ちゃってるよ。


「大丈夫!ほんと、周りの人に良くして貰ってるんだ。気持ちだけ受け取っておくね!友達も結構いるのよ?…それより、お母様の事が知りたいな。酷い目に遭ったりしてないか心配なの。」


「……その事ですが、まずお伝えしますね。奥様はお元気に、穏やかにお過ごしになっています。」


「そう!良かった…良かったよ!」


「ええ…ただ、お嬢様にはお伝えし難いのですが、奥様は離縁されたニ年後にマクミラン子爵と再婚なさっています。

 マクミラン子爵は前の奥様を亡くされて、再婚相手にと紹介されたのが奥様だったようです。前の奥様との間に跡継ぎとなられるお子様がいらっしゃいますが、その若様とも良好な関係を保てているようです。

 子爵様御本人も温厚で有能な方のようで、その点では何の問題もございません。」


そっか…良かったよ。ナニー、そんなに心配しなくても私は大丈夫だよ。お母様が再婚した事は分かっていたし、良いお相手だと言うなら何の問題も無いじゃない。


まあその前妻との子というのは仲がこじれないか少し心配だけど、そのおかげでお母様はもう前のように跡継ぎを産まなきゃっていう重圧は無くなったんだから。良かったよ。


「そっか…ホッとしたよ。…ところで、その点ではって事は、何か他に問題があったりするの?」


「いえ…問題といいますか……実は既に奥様は子爵様との間に、二人のお子様を授かっていらっしゃいます。現在六歳のご令息と四歳のご令嬢です。それと、お腹にもお子様がいらっしゃいます。」


わたしの……きょうだい?


知らない間に兄弟が三人も出来ていたっていうの!?


………ナニーが言い渋ってたのはこれかぁ…


「…良かったね!お母様におめでとうって伝えておいてくれる?あぁ…でも迷惑かもしれないね!今さら気狂いの娘が現れてもお母様も困るよね。私、もう帰るね。今日はありがとうございました!もう私の事は気にしなくて良いから!本当に今までありがとう!それじゃあ…」


衝撃の事実にみっともなく混乱して、立ち上がって部屋を出ようとしたら慌てたナニーに腕を掴んで止められた。


「お嬢様!落ち着いて下さい!奥様に他にお子様が出来ても、お嬢様が奥様の大切なお子様であるという事は変わらないのですよ!」


「ごめん…ナニー。…取り乱した。」


「いえ…良いのです。私こそ、もっと考えてお伝えするべきでした。」


「ナニーは悪く無いよ。ただ私が怖くなっちゃっただけで。なんていうか、お母様の幸せに水を差しちゃいけないかなとか、私はもう用済みだなとか余計な事色々考えちゃってさ。」


それと、もっと早くお母様の願いが叶っていて、お父様との間に男の子が生まれていたら、お母様とお父様と仲良く暮らせてたのかな。とかさ。


あぁ、でもその場合、お父様が事故で亡くなったらお母様は未亡人になって、今のような幸せは望めなかったんだろうな。だってあのお祖父様の事だから、良い方向には転がらなかったんだと思う。


「お嬢様…もう少し子どもらしくなさっても良いのですよ?このナニーの前で我慢する必要なんて無いんです。悲しい時は思いっ切り泣いてください。私がちゃんと受け止めますから。」


「う…うん、うん…ううぅ〜〜っ!なぁにぃ〜っ!」


本当に久しぶりに泣いて、泣いて、泣いて。ナニーの胸に縋ってハンカチ代わりにしてしまった…



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