13 共同組合立 スラム学校
共同組合=ギャングです。
翌日、学園が休みの日。朝から生徒を集めて診療所を取り囲んで入学式と開校式もどきを行っております。
「初めまして!一部の方はお久しぶりです!この度、四つの共同組合による合同授業を開く事になりました。
要はギャングの創った学校ですね。とはいえ、何か物騒な事を教えようというのでは無いのです。
私は教師として、皆さんにスラムで生きる上で必要不可欠な事、重要な事、興味があればさらにその他の事も教えて行きたいと思っています。皆さん、これからよろしくお願いします。」
「「よろしくお願いします!」」
お、リサやユリア、それに新顔の一部も拍手と共に挨拶を返してくれたぞ。
「お前ら、ここで俺らの目に留まれば、ギャングの見習いとして取り立ててやる。張り切ってやれよ!」
ギャングの皆さんが各々の縄張りの子ども達を好条件の就職先という褒美で釣って、やる気を出させている。
「皆さん、この学校ではギャングよりお昼に一人一つ、パンの給食が出ます。毎回一人、成績優秀者には蒸かした芋も出しますから、出来るだけ毎回学校には来て下さいね。」
そう。共同組合立にした理由はこれだ。
ほんとなら私一人が責任持って教えてる形の方が色々とやりやすいんだけど、異なる縄張りの生徒合同でやる場合、何か問題が起こった時に組合立の方がそれを収めやすいし、私も仲裁役として口を出しやすいというのと、パンを給食として出してくれると言われたからだった。
成績優秀者に栄養価の高いじゃがいもを出すというのは私が提案した。学園の試験で奨学金があると言われていなければ、私は一位になるほど頑張らなかったと思うから。
人数が増えてあちこちに教えに行かなくてはならなくて、最初は大変だったんだけど、既に何年も前から先に勉強しているリサ達に先生役を任せて、彼女達にも分からない事があれば教えに行くというスタイルにしたらとっても楽になった。
彼女達も、教えるのがこんなに楽しいと思わなかった。と言って積極的に手伝ってくれる。
なんか、この光景を見てると、スラムに縛られるのも悪く無いなぁ。と思ってしまうのだった。
ちなみに学校が終わって、ギャングの皆さんに昨日の生徒会長の話をしてみたら、思いもよらぬ事実が明かされた。
「そりゃあ、警戒が必要だな…国に目付けられちまってるってこったろ?」
「あぁ。フィランダーといえば王子だからな。どうなるにせよ、厄介じゃぞ。」
王子ってマジですかー!王族ってだけでヤバいと思ってたんだけどな。
「邪魔な奴は暗殺する…でも、王族は難しい。」
セオさん…ちょっと怖いです。可愛くないモードのギャングセオさんだね。
「よく分からんが、いざとなれば俺らの中の誰かの養子にしちまえばいいだろ?そしたら貴族とは何の関係も無くなる。」
ヘッドは別の意味で恐ろしい提案をしてるよ。ギャングの頭の娘って、それはそれでヤバくない?
「では儂の孫娘というのはどうじゃ?」
「じーさん子どもなんていたのかよ?子どもがいなきゃ孫は出来ないんだぞ?」
「ふぉっふぉ!そのくらいおるわい!まあ、認知はしておらんがな。」
そういえば、髭じいの代では世襲制を無くすって言ってたな。まだ小さい頃に突然親を失って、その上ギャングの長という重責まで担わされたドンやセオやヘッドを近くで見ての決断だそうだ。
だから子どもがいても認知出来ないんだろう。正当な継承者がいれば、いくら髭じいが世襲制はやめると言っても、どうしても揉めるもんね。
「そうか…いーや!やっぱ、嬢ちゃんは俺が貰う!俺の縄張りのガキなんだから俺に優先権があんだろ?面白いガキは一人居ると楽しくて良い!」
「ちょ、待てぃ!まずはこっちの意思を確認しやがれ!私にゃあ、ギャングの長の娘なんて無理だ!血を見る度に震えてるんじゃどうせ役に立たないよ!」
「あーー、俺らが嬢ちゃんに求めてるのはそういうんじゃ無いんだよな?」
「……癒し、のような。」
「笑えるかどうかだろ?」
「無垢な心よな。」
「……なんか恥ずかしいわっ!」
良く分からんけども、どうやら国やフィランダーに何か言われても大丈夫な事が分かりました。




