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12 踊る先に待つものは。



今日は算学、国語、マナー、ダンスと。


ダンスの時間になって、今日も見学かと思っていたら、わざわざ私のダンス相手として助っ人が来ていた。…例の、図書室で案内してくれた生徒会長のフィランダーだ。


「また会えましたね。先日のお探し物は見つかりましたか?今日はよろしくお願いしますね。」


「あの時はありがとうございました。おかげさまで見つかりました。今日もお世話になります。よろしくお願いします。」


さすが最上級生という慣れた動作でリードされ、基本的なステップを習得する事が出来た。途中何度か足を踏んだのはご愛嬌という事で許して欲しい。


…とはいえ、三年生よりも上の学年という事はやっぱり貴族なんだろうなー。その割には特に怒ったり、睨んで来たりもせず、実に穏やかにダンスのパートナーを務めてくれた。


ちなみに五歳差の彼で、ダンスには丁度良い10センチの身長差です。…うん。キレちゃったキースくんは悪くない。


「君はとても面白い人だね。」


「…面白いですかね?」


その彼が、授業終わりにふと、そう呟くので聞いてみた。


「どうしてそれほどの能力があるのに驕らないの?侯爵の娘が、これまでどうやって一人で生きて来られたのかな。」


「…ど、どうしてそれを?」


全部筒抜けじゃんか。


「僕はこれでも王族でね。政治の中枢に食い込むダドレフ家の現当主には注目しているんだよ。その周りも含めてね。だから、悪いけれど調べさせて貰ったよ。」


わーお!だから近付いて来てたのね。何の魂胆があるのかと思ったら、そういう事か。あと、王族って!?


「現当主というと、お祖父様ですか…ちなみに、私は気が狂って静養中って事になってますよね?」


「あぁ。今は君の父親の異母姉の長男を跡取りとして教育しているようだよ。」


私のいとこにあたるのかな?そういえば捨てられる時にそんなような事を言っていた気がするな。


「そうですか…先ほどの答えですが、案外私は驕ってますよ?上級貴族の子であり、クォーターエルフだったからこれまで生き延びられたのだから。そりゃあいい気にもなりますもん。」


「くくっ…!そういう物か。君は本来の身分に戻りたいとは思わないのか?何不自由無く生活し、見下される庶民から、庶民を顎で使う存在にと。少しでも何か思った事は無いのか?」


「さあ?正直そんな事を考えていられるような余裕はありませんでしたし、人を顎で使った所で別に楽しく無いですよね?餓死したり、凍死したりしないのは良いなぁ、とは思いますけどね。」


「それだ!君がどこでどうやって生活して来たのか、その情報だけは一向に出て来ない。教えてはくれないか?」


「もちろん!…秘密です!」


多分そこは、ギャングの皆さんが守り通してくれたんだろうからなぁ。簡単に教えちゃったらゲンコツ食らうだろうなー。


「そうか…とにかく、君ほどの人材が無為に消し去られ無くて良かった。君も貴族の一員として国に貢献する事を忘れないように。」


「…は?何を馬鹿な事を言ってるんですか?そんなの無理に決まってるじゃないですか。四歳の時に捨てられてから、存在すら認知されていないんですよ?もはや何の義理もないですよ。税金で育ったわけでも無いんですから。四歳までの分はお父様の私財があるハズだから必要ならそこから出して下さいね。…それでは。」


勝手な言い分にちょいとむしゃくしゃして、つい言い切ってしまった。あー!学園の奨学金打ち切られたりしたらどうしよう!


というか、私は国なんかよりも、住居やスラムの知識を与えてくれた子どもの家と、仕事を与えてくれたギャングの皆さんに恩返しをしなきゃいけないんだ。


まったく、貴族やら王族なんて生き物は勝手過ぎる。自分の意見が100%通ると思ってんだろ。



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