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9 図書室に行こう!



次の日は算学、国語、マナー、ダンスだった。


マナーの方は地球のとそう変わりは無いし、貴族だった時に一通り覚えたから問題無い。…おかげで相変わらず貴族の隠し子疑惑は晴れないけどね!


でもわざと間違えようにも、お父様に厳しく指導されたから、それを思い出してしまうとなかなか間違えるのも難しい。ほんと、冷や汗が出るよ…


問題はダンスだよ…男女二人一組になって練習するんだけど、お相手が見つからないのよね…


別にハブられてるわけでも無いし、そもそも先生がペアを決めたんだけど、二十五名のクラスだと奇数で一人余るんだ。……それが私になってしまった。


何で私かって?エルフの特徴受け継いで高身長だからだよ!周りの子より頭一つ分高いのだ…


「本来ダンスは、男性が女性より10センチ高いくらいが踊りやすいのですが、皆さんの年齢だと女性の方が背が高いですから、気にする事はありませんよ。」


って先生に慰められつつ見学してました。…普通に人数が余っただけなら時々誰かにペアを代わって貰えば良いだけなんだけどね。



まあとりあえずその日の授業を終えて、翌朝。


やっと図書室に行けるお休みの日なので朝早くから行動する。図書室の司書に保証金十マンエルと利用料一センエル支払って図書室に入った。


中に入るとそこにはたくさんの書籍が並んでいた。普段診療所のカルテなどには安価なパピルス紙を使っているけど、ここにある本は全て丈夫な羊皮紙で出来ているみたいだ。


とりあえず本棚を全て周って、目に付くものが無いか確認。


見当たらないので、さてどうしようかと迷っていたら、目の前を颯爽と歩いて来た少年に声をかけられた。


年齢は十五歳くらいで、見た目も貴族らしい整った容姿と服装をしている。


「どうしたんだい?何かお困りかな?」


「……えーっと、ちょっと本を探していて。」


いや、図書室にいるんだから本を探してるのは当たり前だとは思うけど…この少年、どっかで見た事あるのよね〜


「どんな本かな?一緒に探してあげるよ。」


「いえ!そんな、申し訳ないです。」


ていうか、平民に何の魂胆があって近付こうとするのか分からない。はっきり行って怪しんでます。


「そんな事は無いよ。上級生として下級生を助けるのは当然の事だ。それに僕は生徒会に所属する者でもあるしね。」


なるほど、それなら納得出来るのか?


「では……歴史書と…貴族に関連する本の場所をご存知ですか?」


「もちろん。歴史書はこちらです。」


「…ありがとうございます。」


案内されたその書架にはずらりと大量の書物が並べられている。これは探すのに一苦労しそうだ。


「それから、貴族の事を知りたいのであれば、こちらに貴族名鑑が。全ての貴族家とその系譜が載っていますよ。貴族の歴史や自伝などもこちらに並んでいるよ」


彼の一言で目的があっという間に達せられた事に、思わずポカーンとしてしまった。


「……あ、りがとうございました。」


「いえ。お役に立てたようで良かった。それでは」


なんとかお礼の言葉をひねり出して、あっさりと去って行った少年を呆然と眺める。……そして今更ながら思い出した。


彼は、入学式の時に在校生代表で挨拶してた生徒会長のフィランダーだ!


もうさっぱり分からないんだけど…とりあえず彼の事は置いておいて、ゴクリと喉を鳴らす。


本棚から目的の本を取り出し、分厚い上下二巻となった本の上級貴族の載る上巻のページを捲くる。


ダドレフ家…ダドレフ家。


あった…!


なんとまあ、ほんとにダドレフ家は上級貴族だったよ……っていうか、侯爵だし!公爵は王族に与えられる爵位だから、実質貴族の中では一番上の爵位だよね?


まじかよ…信じらんないわ。


家系図を辿って行くと、何度か王家の姫が降嫁した程の家柄だった。お父様の所まで行くと、お父様の母親の所は空欄になっていて、どうやら妾の子などは皆こうなっているようだった。


そして、私の所を見ると、ちゃんとクオルフと名前があった。もしかしたら存在自体が抹消されている可能性も覚悟していただけに拍子抜けだ。


お父様の名前の横、私の名前の上にお母様の名前はあった。…ただし、離縁された者として、他の者のように枠で囲われてはいない。


それに、お父様には既に亡くなった者として、斜線が引かれていた。……お父様。


一旦上巻を片付け、ナニーのハウスル家が載っているかもしれない下巻を取り出そうとして気が付いた。この二つの貴族名鑑には発行年が書いてあり、どうやら毎年更新されている物のようだった。


ならば最新の情報が得られるだろうと安堵して、下巻を開く。


ハウスル家…ハウスル家…ハウスル家。


下級貴族は数が多くて大変だ。その分、家系図は何代か前の物までしか無く、それでページ数を抑えているようだ。


ハウスル家…あった!


ナニーの嫁ぎ先の家は子爵家らしい。ナニー、意外とというか子沢山だった。私の面倒を見ている間は子ども達の世話はどうしていたんだろうか…少し申し訳なくなってしまった。


ハウスル家は地方貴族だけど王都邸を持っているらしい。それなら会いに行く事も可能だろう。


貴族は社交シーズンになると王都に集まってくる。王都に屋敷を持っていればそこに、無ければ親類の家や高級ホテルなどに宿泊するらしい。さすがに親類の家やホテルには訪ねて行けないけれど、王都邸があるならば好都合だ。


とりあえずお母様もナニーも生存確認は出来たので、次はお母様の今の居所を探す。


お母様もきっと上級貴族家から嫁いで来たのだろうから、今も実家に居るのであれば上巻を探せば良い。もし再婚しているならば、探す範囲が広がってしまう。


ひとまず数の少ない上級貴族の中から探し始める。


お昼どきになりお腹が空いてきた頃、ようやく見つける事が出来た。お母様の実家だ。これまた上級貴族の伯爵家で、お母様はそこの当主の三番目の娘だった。


そして、これまた枠からは外されていて、他の家系図を見るにどうやら嫁いだ娘は実家の家系図には残るけれど、枠の中には入れないらしい。


しかし、嫁ぎ先が書かれていないので、どこへ嫁いで行ったのか分からない。離縁されて疎まれている実家に無理矢理再婚させられて、辛い思いをしているんじゃないか…それを思うと心配で、空腹も忘れて、その日一日中、嫁ぎ先にあるハズのお母様の名を探した。


結局、上級貴族の中からは見つからず、その日は心配を抱えたまま寮に帰る事となってしまった。



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