7 クオルフの由来
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ようやく泣きやんだ私は、お父様にハンカチを回収されて少し寂しくなったけれど、お父様の服の裾を掴んでうるうるの上目遣いで悩殺攻撃。もっと私の事を愛すがいい!お母様の分も…
「お父様、肝心の質問、まだ出来てない。」
「…そうだったな。何だ?」
「親和性ってどういう事?…強の上って、すごく高いみたいだけど。」
「…あぁ。それには私も驚いた。魔力親和性とは、魔力と肉体との馴染みのことで、これが高いほど体に魔力が良く馴染み、魔力を動かしやすいし、使いやすい。
魔力だけ多くても馴染んでいないと、扱いにくく本来の魔法の技量が発揮できない。」
「…なるほど。」
私の場合多分、転生の時に体をいじったから、精神と体を馴染ませるときに一緒に魔力も馴染んだんだろうなぁ。これって何気にチートかも。
「お前の場合、魔力も多く伸びしろもある上に、親和性まで最高値だ。勉強すればかなり優秀な魔術師になれるぞ。」
「…勉強しなかったら?どうなるの?」
「ただの、たくさん扱いやすい魔力を持ってるだけの魔法使いになるだけだ。無駄だな。」
「…がんばって勉強します。」
無駄を嫌う、そういうところは変わらないんだね。
と、いうか。
「それは分かりましたけど、お父様。いい加減に私の事、お前って言うのやめてくれませんか。私にはきちんとお母様がつけてくださった名前があります。まさか、忘れたわけじゃあありませんよね?」
ギロリと睨みをきかせてやると、少したじろいだ様な、気まずそうな感じで口を開く。
「クオルフ…だろ?…あいつらしい名前だ。」
お父様は懐かしむ様な眼差しになって、私の名前を言う。
ちゃんと、覚えていた事にも密かな愛を感じる。
私は頭でも打ってしまったんじゃないだろうか。
「しかし、きちんとした名前か…
少し勘違いしているようだな。」
その一言で、全身がカッと熱くなる。
「何ですって?お母様を侮辱するのは許さないわよっ!」
「いや!違うんだ。聞いてくれ、彼女はネーミングセンスが破壊的に無くてな。それでクオルフが産まれたすぐに口論になったんだ。彼女に名前は私がつけるから、先につけるなと言っておいたのに、クオルフだなんてつけてしまっていたから、ついキツく言ってしまったんだ。」
「そんなに…私の名前っておかしいの!?でも、ナニーは何も言わなかったわ!」
響きが可愛くて気に入っていた名前が、口論になるほどの残念さだったなんて、びっくりしてつい声が大きくなる。
「そりゃあ、ナニーはお前を可愛がってるから、貴女の名前は変ですよ。なんて言わないだろ。」
「…へ、…ん………」
ガーン、今世で初めて言われた言葉に固まってしまった。
「……クオルフはな。…クォーターエルフの略なんだよ。
…あいつが考えた中で、一番いい名前だと思ったらしい…」
お父様はショックを受ける私に憐れみの視線を向ける。
やめて、そんな目で見ないで。
さらに、ダメージが増すじゃない。
「そん、な。お母様がそれほどネーミングセンスが無いなんて!何でもっとちゃんと止めてくれなかったの!」
「だから止めようとして喧嘩になった。それ以上は聞き入れてもらえなかった…」
「そんなぁ…ねえ、これってよその人には分からないよね!
そうだと言って!」
「そこは安心していい。さすがに他の者が見てすぐに分かるような名前なら、もっと強く止めた。」
「うぅ…できれば、クオルフも止めて欲しかった…」
「フッ!母親からの大事な最初の贈り物なんだから大事にしろよ。」
「くっ!もっ、もちろんよ。例え人にも分かる変な名前でもお母様から貰った宝物だもの!大事にするわ!
…だから、これからも私の事クオルフって呼んでね?」
「…!ああ、もちろんだ。クオルフ。」
「ふふっ。お父様。できればお部屋までエスコートしてくださらない?」
「!…喜んで。小さな姫君。」
あぁ、この時が母様が居なくなってから一番幸せな一時かもしれない。
私は夢心地でそう思った。




