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3 自己紹介



夕食後は部屋に戻って来て、順番にお風呂に入る事になった。久しぶりのお風呂に密かに感動しながら浸かって、湯上がりのほかほかしたままの状態で、持って来た荷物の整理の続きを始めた。


クローゼットに制服や持って来た服を放り込み、下着は引き出しに入れる。この下着、ついに新しいのを買いました。流石に4歳の頃のを履き続けるのはいくらなんでも限界があったし、あんちゃんも流石に下着は買ってくれないので、せっかくだから自分で新品を買いました。今のところ子どもの家の貯金を借りずに済んでいる。


「すごかったわね!話には聞いてたけどお風呂のお湯が蛇口から出るだなんてびっくりするよね?」


続いてお風呂から上がって来たカトレアが何故か興奮した様子で語る。


「えーっと、うん。そうだね。」


え!?蛇口って普通じゃないの!?貧民街やスラムには無いだろうけど、一般的な物だと思ってたよ?


待てよ…そういえば私がお風呂を見た事あるのは、ここ以外だと我が家だけだな、貴族の。


なるほど、カルチャーショックだ。


今までスラムには風呂なんて無いので、お風呂に入るっていっても、私が魔法で出したお湯を湯船の形にして入ってただけだからな…


「教会のお風呂は蛇口からなの?…あ、ごめんなさい。」


カトレアはまずい事を言ったとばかりに口を抑えている。やっぱ孤児院出身だと思われてるな。


「いいのよ。ちょっと出自が普通じゃないから。色々と世間知らずなの。分からない事とかあったら教えてね。」


「ええ!ちなみに普通の家庭のお風呂の水は川や井戸から汲んで来て沸かすのよ。魔力が使えて水が出せるなら良いけど、そうじゃないと労力がかかるから、普通はたまにしか入らない物なの。お風呂自体が無い家も多いわね。」


「そうなんだ。教えてくれてありがとね!」


よし、いい感じに誤魔化せたかな。


カトレアも荷物の整理を始めて、私も紙やペン、インクのほとんどを自分の机の中にしまった。学校ですぐに使いそうな量だけは鞄の中に入れて、鞄は自分のクローゼットの中に置く。傘は置き場に迷ったけど、とりあえずクローゼットの側面に立てかけておいた。そして猫のぬいぐるみはベッドの上に。とっても可愛い黒猫だ。


慣れない事で疲れたのでその後はすぐに眠り、翌朝気持ちよく目覚めた。ふかふかでとても寝心地の良いベッドだとその時気づいた。思えばこの五年、ずっと硬い床の上で寝ていたのだ。なんとなく疲れが取れた気がする。


朝ご飯を食べてカトレアと学園の校舎に向かった。


校舎の入り口にはクラス分けの紙が貼り出されていて、一年生のを見ると推薦入学生が二組、一般入学生が二組の合計四組になっているようだった。貴族は苗字があるのですぐに分かる。


一般入学生の中で自分の名前を探し、すぐに発見した。三組の一番上に名前が乗っている。どうやらこれも成績順のようだ。カトレアはその横に名前が乗っていた。


「クラスも一緒だね!よろしく!」


「よろしくね!」


近くの案内図を見て教室を探し、教室に入ると既に何人かの生徒が席に座っていた。どうやら席は自由に選んでいいらしい。


カトレアと適当な所に並んで座り、残りの生徒と先生の到着を待つ。間もなく制服の上着を羽織った生徒がぞろぞろと教室に入って来て、先生も現れた。


「…全員いるな?それじゃあ自己紹介から始めよう。俺はデリック。今日から一年間このクラスの担任をする。気付いてるだろうが、一般入学のクラス分けは成績順だ。来年も同じメンバーとは限らないから頑張れよ!それじゃあ一位の奴から順番に自己紹介をするように。」


なんか気だるげな先生だな…年齢は30歳くらいかな。


「はい!私はクオルフです。医療学校を目指しています。趣味は甘い物を食べる事です!皆さんよろしくお願いします!」


一番最初が肝心なので張り切って自己紹介してみた。


「私はカトレアです。医者の子で、同じく医療学校を目指しています。趣味は手芸です。可愛い小物を作るのが好きです。皆さんよろしくお願いします。」


カトレアの挨拶が終わって、次は三位の男の子の挨拶になった。


「僕はキース。商人の子で商経専門学校に行く。特技は運動だ。よろしく。」


あんまり愛想の無い子だね。っていうか、さっきからキースの鋭い視線が飛んで来てるんだけど、私なんかしたっけ?


四位の男の子は役人の子で、五位の女の子は地方の名士の家の子らしい。その後も自己紹介は続き、全て終わると学園の説明が始まった。


「朝二刻から昼一刻の前まで授業があり、その後は自由だ。一般入学生の授業は主に、国語、算学、歴史、魔法学、魔法実技があり、選択授業として剣術、馬術、外国語、マナー、ダンス、神学などがある。

 ひとまずは全ての選択授業を受けて選ぶ参考にしろ。今日の教科は国語、算学、魔法学、魔法実技だ。魔法学はこの教室で行われるが、魔法実技は魔法鍛錬場で一年生合同で行われる。初日だから説明や簡単な物がほとんどだから緊張せずに頑張れ。」


説明と激励を終えると先生は教室を出て行った。


「ねえねえ、神学って何やるか分かる?」


「神学だから、神様の事について学ぶんじゃない?」


やっぱり?一応神様に転生させられた身だから気になっちゃってさ。


「そっか。カトレアは何の授業に一番興味ある?」


「うーん…やっぱり魔法学と魔法実技かな?医者は治療に魔法も使うから、たくさん魔法を使って慣れておきたいんだ。」


「そうだよね!私は魔法っておもしろいなって思って!色んな応用が利くでしょ?だから医療への応用も出来るんじゃないかと、ちょっと考えてるんだ。」


「……それは…いえ、何でもないわ。」


んん?なんか変な空気になったぞ?どういうこった



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