51 三年の月日
数ヶ月後、ゼムは10歳、ジンは9歳、エルーは8歳、ナサラは7歳、タユタは5歳になった。
タユタはもう一人で家に置いておいても大丈夫だろう。という事でこれまで代わりばんこで働きに出ていたジンとナサラが二人とも働きに行けるようになって稼ぎが増えた。エルーも働いてくれてるしね。
おかげで余裕を持って生活も貯金もできている。
七歳になった日。
あんちゃんはちゃんと去年の約束を守ってくれた。スラム街の外にある庶民街の子洒落た食堂でコース料理を頂いた。川魚だけど魚も肉も食べられて、とっても満足いたしました。
「あんちゃんあざっす!」
八歳の誕生日には、身長が伸びて買って貰った服が小さくなったので、新しくあんちゃんに二着買って貰った。
「あんちゃんめんご!二年くらいしたらまたよろしく!」
エインさんは特注で白衣を買ってくれて、とっても驚きました。あんちゃんがもう着れなくなったのかよ…ってボヤいてるのを見て胸を撫で下ろして「大きめのを注文しといて良かった…」と安堵してました。
貰ったその日からちょっとぶかっとした白衣を、あんちゃんに新しく買って貰った服の上から羽織って助手のお仕事を邁進しております。
そんで着られなくなった藍色と枯れ草色の服を、私以外で子どもの家唯一の女の子、ナサラに回した。
そしてその後、兄弟が増えた。
エルーの妹ココが貰い乳をした高級娼婦の子で四歳の女の子と二歳の男の子で、母親が下級貴族に身請けされるため手放さざるを得なくなったのだ。
その二人の養育費として一日五センエル貰える事になったから、働きに行けない年齢の子が二人増えても余裕があるくらいでかなりありがたい。
人数も増えた事だし、金の心配もいらないなら俺もそろそろ家を出る。と言ってゼムも家を出て行った。あんちゃんの所で働く事にしたらしい。
新しく共同管理人となったジンも半年後には体重の関係で家に居られなくなり、土方の仕事を見つけて来て家を去って行った。
そしてエルーが最年長になったけど、今度は本人の希望で共同管理人とはならず、初めて私が単独で管理人になる事になった。エルーもそろそろ家を出て自分一人の稼ぎを得たいらしい。そうしないとココと一緒には生活できないもんね。
この一年は本当に慌ただしく色々な出来事があった年だった。
九歳の誕生日の前にあんちゃんが一人の女の子を連れて来てビックリしていると、「少し早いが誕生日プレゼントだ」と言って押し付けられた。
聞けばこの子はあんちゃんが父親である可能性の高い子で、今まで育てていた母親がトンズラしたので引き取る事にしたが、女の子の扱いが分からずに泣かれたから、付き合いのある同じ女性の私に預ける事を思いついたと。
あんちゃんにはお世話になりっ放しなので快く了承したが、面倒くさがって育てるのを諦めた節があるので、養育費は先に預けられた二人よりも割増請求しておいた。
先に預けられた子達は、二人で一日五センエルの養育費を貰ってる所、あんちゃんの子は一人で五センエル。まあちゃんと子ども達の為に使うから許してちょ。
今子どもの家のメンバーは、私、エルー、ナサラ、タユタ、コノハとラタ、マリーで、女の子四人男の子三人の七人兄弟だ。マリーが入った事で私がいる間では初めて女の子の方が多くなってかなり嬉しかった。
ただ私もだいぶ身長が伸びてきて、バッチリエルフの高身長の特徴を受け継いで年上の男の子のエルーよりもけっこう高いので、体重はともかくしょっちゅう頭をぶつけて困ってるからそろそろどうするか考えなきゃなとは思ってる。
今家を出るとして、収入はなんとか切り詰めればコノハとラタ、マリーの三人の預かり賃で食べては行けるだろうし、次の管理人をナサラにして、タユタも働いてるし、エルーや私がいる間にマリーに外での仕事を教えられればその分の収入で充分に暮らして行けるだろう。
心配ならちょくちょく様子を見に行けば良い。体重に関してもエルフの特徴を受け継いでスリムだからまだ床が抜ける事は無いだろう。ただ天井が低くて頭をぶつけるだけで。




