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ケッペキショーの珍道中  作者: 朱華
初めましてスラム街
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50 エイン先生



翌日になって、エインさんがやっぱりやめたと言うのを少し警戒してたけど、エインさんは律儀に診療所の外に出て来てくれた。


そこでみんなのように地べたに座って、私が勉強を教える様子を見る事にしたようだ。みんなからの視線にはもう慣れたけど、その中に大人が混じってて、しかも自分より遥かに博識なお医者さんが相手だなんて少し緊張する。


それと今日はハンナ姉も来てくれている。今度から働いてるお店が休みの日やお昼休憩の時に余裕があったら来てくれるらしい。



という訳で大盛況の中で一時限目の授業が始まりました。


ハンナ姉や新おチビ三人組のエルー、ナサラ、タユタには私が基礎の読み書き計算を教えて、他の子達にはちょいと難しい問題のクイズを数問出しておいて話しあいながら答えを出してもらう。


最近はリサやユリア達には役に立つ読み書き、計算、知識などはだいたい教え終わったので、そんなに日常では使わない物も教え始めている。特にすぐに役立つとかでも無いのに何の文句も出ないのは、ひとえにこうやって同年代で集まって交流できる場所が他に無く、その交流が思ったより楽しいからだろう。


「ねえねえ、クオルフ!さっきの問題の答えは賄賂を渡す。で合ってる?それか川を泳いで渡るくらいしか思いつかないんだけど…」


今回は有名なとんちを問題に出してみました。一休さんの「このはしわたるべからず」で、橋を渡りたいのに看板が立っていてそこには橋を渡るなと書かれている。さてどうすれば橋のむこうに渡れる?って聞いたら、みんなで相談して色々考えた結果そういう結論に至ったらしい。


「そうね。それもありよ!この問題にこれと決まった答えは無い!ようは渡れれば良いんだからね。ただ川を泳いで渡ると服が濡れるでしょ?それに賄賂を渡して通してもらうのには時間がかかるじゃない。すぐに渡ろうと思ったらその看板を壊しちゃえば良いのよ。初めから渡っちゃいけない橋じゃ無かった事にしちゃいましょう。」


どちらせにせよ実にスラムらしい考え方だけどな!


ちなみに本来の一休さんのとんちだと、端を渡るべからず。と捉えて、堂々と橋の真ん中を通ったんどけどね。この国の言葉の橋と端は発音が一緒じゃ無いからね。


「なるほど…そうすればいいのね。色んな答えがある問題なんておもしろいわ。」


「そうだよね!じゃあ今度はエイン先生の医学講座のお時間です。みんなー拍手!」


パチパチパチパチと全員がノリ良く応えてくれてエインさんを拍手で追い立てる。


「しゃあねーな!じゃあ応急手当の方法でも教えっか。」


「それはもうクオルフに習ってます!怪我して傷口にゴミが入ったら水で洗い流す。骨折したら添え木して診療所に。鼻血は鼻をつまんで下を向いてしばらくそのままでいる。でしょ?」


「なんだ、俺いらないじゃねぇか。じゃああれだな。人体の構造でも教えるか。なかなかおもしれぇぞ。」


エインさんはそう言うと慣れた手つきで木枝と地面を使って人体解剖図みたいなのを書き始めた。けっこうリアルだな。


「これが心臓、ここに手をあてるとドクドク動いてるだろ?血液を送る役割の臓器だ。魔力も心臓から全身に巡っていて皮膚の目に見えないくらい小さな穴から放出して魔法を使う。ここは肺。空気を吸ったり吐いたりして体の中に酸素を取り込んでる。人間はこの空気が無いと生きていけない。それから…」


そういえばそうだったね。魔法を使う時普段は特に意識してないけど、慣れてない頃なんかは皮膚、特に体の先端からが血液の流れに沿って魔力を出しやすいから、手から魔力を出すイメージで魔法使ってたな…


エインさんは興味津々の子ども達、それも女の子ばかりに囲まれて尊敬されながら教える事にはまったらしい。それからたまに教えに来てくれるようになった。



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