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ケッペキショーの珍道中  作者: 朱華
初めましてスラム街
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41 冬の脅威

少々残酷です。お気をつけを。



厳しい冬も終わる頃、私達子どもの家の住人は私の休みの日に合わせて総出で外に出ていた。これは毎年の恒例行事というか、お仕事として子どもの家に任されている事らしい。ちなみに私は今年で二度目だ。


「うっ…なあ、これみんなそうかよ?」


「そうよ。冬の間の餓死者や凍死者を集めて燃やすのは私達の仕事なんだ。放って置くと、暖かくなったら腐敗して病気が発生するからね。南のギャングからお金が出るんだ。」


この光景を見るのは初めてのエルーが、どんどん運ばれて来て増えていく死体の山に顔を顰めている。


「子どもばっかじゃねえか……」


「そうだよ。ヤク中とかの大人はともかく、他はほとんど家もお金も無い子どもね。だからココの事売られた方が良かった、なんて言っちゃったんだ…」


「そうだったのか…そういえば、貧民街にも冬になる前に食料が足りなくなりそうで口減らしにあう子どももいたな…」


「そうやってスラムに来て人知れず死んでいく子は多いよ……さ、私達もやろう!今日は終わったらお風呂に入れるよ!お清めと死体から病気を貰わないためだって。」


いつまでも沈んでてもしょうがないので、気を取り直して動き出す。


「おう。そっち持ってくれ。」


二人で見つけたご遺体を上半身と下半身を持って、死体置き場に運んで行く。


その中には途中で立ち止まってついまじまじと見てしまうような酷い遺体もあったりする。


「この子は……女の子かな。重度の栄養不良で腕や足はガリガリなのにお腹がぽっこり膨れてる。」


「こっちは凍死か。まつ毛が凍ってる。かわいそうに…二人とも辛かっただろうな…」


「でも、冬場だからウジが湧いたり虫がたかったりしないだけマシね。夏に人通りの無い所で死んでた遺体を見た事あるんだけど、酷いものだったわ。この子達はまだ綺麗な体であの世に送ってあげられる。」


遺体を運んで、その後も粛々と作業を続ける。あらかた手分けして回り終わって、最後に一番体力のあるハンス兄が走って確認しに行って、うず高く積まれた遺体を燃やす。


その前に遺体が身につけている服や靴などは脱がせて、再利用させて貰う。不謹慎かもしれないが、これを他の孤児に分け与えれば次の冬の凍死者を減らせるし、余った分は売り払いお金にして遺体の焼却費用に使う。骨になるまで燃やすにはそれなりに薪も必要だ。


「ハンナ姉…その子は…」


ハンナ姉が最後に運んで来た二つの遺体を見て驚いた。その子は丸まって寝ているようにも見える穏やかな死に顔をしていて、傍らには犬の遺体があった。


「ええ…抱き合うようにして亡くなっていたの。ふたりとも、同じような痩せ方をしているから、食べ物を分け合って死んでいったんじゃないかな…」


「そう……天国できっと、一緒に幸せに暮らせるよ。死ぬ時にこんなに穏やかな顔で逝けたんだから…」


犬の方も安らかな顔をしている。…ちょっと、涙が堪えられない。


「……クオルフ、燃やしてやろう。それが俺達に出来るせめてもの弔いだ。」


「…うん。みんな、おやすみなさい…」


お別れの挨拶をして、私の火魔法であの世に送る。ごうごうと燃えて熱で歪んだ体が動く。たくさんの人の燃える臭いが充満する。


私は、それを眺めながらお父様の事を思い出して少し悲しくなってしまった。



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