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ケッペキショーの珍道中  作者: 朱華
初めましてスラム街
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38 シビアな現実

カニバリズム表現に注意してね。あと食事中の方も。



「はい、ミルク買って来たよー。ヤギのお乳だからギフトかけとくね。」


「…悪いな」


除菌・除去ギフトをかけて少年に渡す。…いい加減少年っていうのも言いにくいな。


「ねぇ、君の名前が知りたいな。」


「……エルー。俺の名前はエルーだ。妹はココ。俺が名付けた。」


「それって…」


「ああそうだよ!俺の名前の由来はエル、金から来てるんだ。早く大きくなって金を稼げってよく言われてたよ!ココは売られる予定だったから名前も無かったんだ…」


「そうだったの…売られた方が良かったなんて、言ってごめんね。ココは誰にどういう目的で売られるハズだったの?」


「分からない…仲介人がいて、色んな要望に応じて売り渡すって言ってた。親は仲介人にココを渡した時点でお金が貰えるんだと。でも、噂では赤ん坊に欲情する変態や、怪しげな儀式の生贄に使われたり…人肉として食われたりするんだって…幸運な場合は赤ん坊が死んだ事を隠すために入れ替える為に買われる事もあるけど、そんなのはごく一握りだって。」


「なるほど…赤ん坊にもそういう需要があるのね。」


嫌だなぁ、と思って若干吐き気を覚えながら顔を顰めていると、ハンス兄から待ったがかかる。


「話の途中で悪いが、飯食うぞ。」


ま、今考えたってしょうがないか。たーべよ。今日のメニューもいつも通りパン一個に野菜のスープと茹でた豆だ。スープは具だくさんとは言えないまでも少なくは無いくらいの分量を毎日食べられる。お腹空いてしょうがないという事はもう無くなった。


「なんだこれ…」


「少ないかもだけど、スラムでは家はかなりたくさん食べられてる方だからね。我慢してね。」


エルーが愕然としているのでそう言ったら、違う。と首を振られた。


「俺ん家は貧民街にあったけど、こんないいもん出てこなかった。スープなんて塩が高いから週に一度くらいだったし、具も少なかった。豆は茹でずに食べてた。かーちゃんは面倒くさがりだったしな…だからびっくりしちまってよ。」


「そうだな…家もクオルフが来るまでは似たり寄ったりの生活だったさ。稼ぎ頭がいないと生活していけないからな。そのクオルフが連れて来たんだ、俺とハンナは春になったらここを出るつもりだから、お前一人くらいなら受け入れるのに問題は無い。」


…この子どもの家には人数制限があるもんね。人数って言うよりは、家の床 兼 下の家の屋根をぶち抜かないための重量制限だけど。


「そういえば、エルーは何歳なの?確か子どもの家(ここ)は年齢制限もあったよね?」


「そうだな。男子は一応新加入は五歳までだけど、実際はその時のメンバーによって変わるんだよな。いつでも必ず稼ぎ頭の年長者がいるように調節して入れてるんだ。」


「俺は7歳だったと思う…はっきりとは親も覚えてねぇから分からねぇが。」


「そうか。それなら問題は無いな。それと、男子は最長でも12歳までしかここにはいられない。体重が増えるとさらに早く出てかなきゃならなくなる。さらに健康で怪我もしてない、いずれ働ける奴しか入れてない。そこは大丈夫か?」


残念だけど病気や怪我の子を受け入れるほどの余裕は無いんだ。みんなで働いて何とかやり繰りしてるから。


「ああ。毎日親の仕事手伝わされてるからな。」


「それと、何があっても二度と盗みはするな。それは他の孤児の領分を侵す事になるし、バレたら信頼を失って仕事が回って来なくなる。そうなったらこの家はお終いだ。

 この子どもの家は先輩が繋いでくれた代々の伝手や信用をもとに働いて成り立ってるんだ。もしここに入るならくれぐれもそこだけは頼むよ。」


「…分かった。」


エルーが今後の事を考えている様子なので切り上げて、みんなで夜ご飯の後片付けをして毛布を被った。エルーはさすがに床に敷いた絨毯で寝るのは初めてだったようで戸惑っていたけど、赤ちゃんが蹴っ飛ばされ無いようにちゃっかり端っこを確保して毛布を畳んで赤ちゃんの下に布団代わりに敷いていた。


「…ココはまだ小さいから三時間おきくらいに起きて泣くと思う。悪いけど、一日だけだから我慢してくれないか。」


すっかり保護者してるなぁ。エルーは普段は気を張って強がって見えるけど、それは全部妹のためなんだな。


「いいぜー。ナサラもタユタも来たばっかの頃はびぃびぃ泣いてうるさかったもんな。」


「それはジンもでしょ!」


「言われてやんの!俺はちょっと大っきくなってから来たから泣かなかったけどな!」


あははっ、と笑ってジンとハンナ姉とゼムのやり取りを聞く。騒がしくしてたらココが泣き出したのでみんなで突っついたりしてあやす。


「ん?…なんか臭くね?」


「ほんとだー!くさーい」


「どれどれ、ふひひ。大っきなうんちしてあるわ。除菌・除去!」


ギフトでおむつとお尻ごと綺麗にしてまたおむつを履かせた。一応前世で親戚の子守の経験があるからお茶のこさいさいよ!…なんなら自分が赤ちゃんの時もしてたよ!人に下の世話をして貰うとかどんな羞恥プレイだ、老人でもあるまいし。…赤ん坊か。


という事でたまに夜泣きに起こされながらも夜は更けていった。



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