表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ケッペキショーの珍道中  作者: 朱華
初めましてスラム街
45/142

33 学校

26 診療再開 を見るとスラムの仕組みは分かりやすいかもです。



三日後、今日は朝に抜糸をして、様子を見る為に診療所に一日居て貰う日だ。


「今日はどうする?名前の練習続けるか、他の字書いてみる?」


「それもいいな!」


「じゃあ…とりあえず数字でも覚えようか。ちゃんと計算も出来るようになると騙され無くて済むしね。」


身を切り売りして稼いだお金を誤魔化されたりしたらたまったもんじゃないでしょ。


「そりゃいい!教えてくれよ!」


「オッケー!まずはこれ数字ね。そんなに複雑じゃないからとりあえず書いてみよう。」


1から10までの数字を書き、読み方を教える。


リサは楽しそうに鼻歌を歌いながら全ての数字を五回ずつくらい書き終えた。


「うっしゃ、できたぞ!」


「うん!じゃ、計算してみよっか。まずは絵で分かりやすくやってみよう。」


楽しくなってニコニコしながらりんごの絵を書いてこれが+、これが−と教える。


「りんごが一個ある所に、りんごを一個を足すといくつになる?」


「二つだな!」


「じゃあ、今度はりんごが三つ。そこから一つ取ると?」


「二つだな!」


「よし!じゃあ今度は数字で計算してみよう。頭の中でりんごを思い浮かべたりしてね。」


いくつか足し算や引き算の式を書いて渡す。


「おう!」


「…それにしても、あれね。スラムにも学校とかあればいいのにね。」


リサが楽しそうに勉強する姿を見ているといつも思う。無料で通える学校があれば、孤児にとって役に立つに違いないのに。…まあ、通える余裕のある子どもはひと握りだろうけど。例え無料でもその時間働けず、稼げないなら来れない子の方が多い。


「学校って、なんだ?」


って、このレベルの認識だからね。


「学校はね、今の私達みたいに勉強をする所だよ。勉強を教えてくれる先生がいて、大勢の子どもが一緒に勉強するの。」


「へー、でも、金がかかるんじゃねえの?それに、アタシは夜稼ぐからいいが、他の奴らは大概昼の仕事だろ?」


「そうね、それが問題ね。ほんとは給食でも出せれば皆来てくれるんだろうけどね。」


「んな、お人好しいんのか?大人でも自分が食ってくのに精一杯だろ。だから捨て子がいるわけで。」


「うん。…だからリサみたいに昼来れる子だけでも教えて上げたいと思うんだけどな。」


「うーん。じゃあ、とりあえず仲間に声かけてみるか?二、三人は集まると思うが。」


「…お願いできる?そしたら私は家の子連れてくるよ。」


そういえば兄弟達に教えるの忘れてたな。私は五歳児の体だし、皆も言うまでもなく仕事で疲れ切ってるし、家に帰ったらもう夕方で。貴重な蝋燭を使ってまで勉強する余裕も無かったけどね。


「そうなると、多分連れてけるのは二人くらいかな。」


まだ働けないタユタと、日替わりで働きに行ってるナサラとジンのどちらかで二人。


「時間はどうするよ?」


「私が教えられる時じゃないとだから、昼休憩の時くらいしか無いかな。あと、五日に一回の休みの日。」


「いいんじゃねえか?」


「あと、給食に水と豆は出せるよ。お湯で体洗えるってのもどうかな?冬場なんかは重宝すると思うけど。」


さすがに茶葉は高級品だから出せないけどね。豆は私が食べる量減らせばいいだけだから。


「それならもう少し集まりそうだな。アタシもあちこち声かけてみるけど、ハンスにも頼めばもっと集まりそうだな。」


「ハンス兄、顔広いもんね。そしたら場所はどうしようか。」


「うーん、子どもだけで集まっても安全なとこじゃねぇとな。人攫いに狙われちまう。」


「そうなると難しいよね。」


家はこれ以上人数増やすと床が抜けるぐらいだからね。床っていうか下の家の屋根だけど……


「んーーー、ここじゃダメなのか?」


「…ここか~、確かに一番良い場所ではあるのよね。抗争不可侵地帯だし、ギャングが共同所有する場所だからどこの縄張りの住人でも来れるしね。…とはいえ、診療所の中で開くなら許可が必要だしな。外だと縄張り毎に日替わりで授業しなきゃならなくなる。さすがにこれは効率が良くないわ。」


「そっか~、いいと思ったんだけどな~」


ちぇ、とばかりに受付のカウンターに身を乗り出すリサ。私も色々と案を考えてはダメだと唸り、結局諦めてしまった。


「…仕方ないから初めは南の住人だけで学校やろう。それから慣れてきて余裕ができたら他のとこも考える事にしよ。」


「そうだなー、どのみちアタシも声かけられるのは南の住人だけだしな。」


「ギャングが対立し合ってるのはこういう時困るよね。同じスラムの中なのにさ。」


「まあ、この診療所が建ったのさえ奇跡だってみんな言ってるもんな。」


「まぁね。」


リサやギャングでない一般の人には知る由もないが、その件には私もだいぶ噛んでる上に実感も伴っていて、苦笑しながら応える。


それにしても、ただの思いつきからトントン拍子で計画が進んでしまった。まあ、ドンも仕事に支障が出たりしない限りは何も言って来ないっしょ!


………うーん、一応話しは通して置くべきか?




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ