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ケッペキショーの珍道中  作者: 朱華
初めましてスラム街
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26 診療再開

今回ちょい短めです




やっぱり翌日から通常通り診療所を開く事になった。


いつもより多い護衛に送られ、到着早々あの事件の起こった用心棒の待機場所に向かった。


もう大丈夫だと分かっていてもほんの少し緊張しながら扉をゆっくりと開ける。


―――そこには事件前の平常な空間が広がっていた―――


死体はもちろん、私が出した大量の水も、殺し屋に投げつけた石も、血溜まりも綺麗さっぱり無くなっている(もっとも血溜まりはギフトの水を出した時点で一緒に押し流されてしまったでしょうけど)。


調べを終えた後、昨日一日で急いで掃除や片付けを終わらせたのだろう。


「なんだかこれはこれで滅入るものがあるわねぇ…」


ひとりごちながら、これが自分であったらと考える。一日にして跡形もなく片付けられてしまい、無かった事にされる命とは…なんだか虚しくなったので、さっさと扉を閉めて受付に向かうことにする。


一応カルテを奥から引っ張り出してきたりと準備作業はあるのだ。


とはいえすぐに終わり、診療所のドアに『OPEN』の札を掛けに行く。


ちなみに診療所には玄関が四つあるので、札も四つ掛けなくてはいけない。………面倒だ。


なぜ四つも必要かと言うと、もともと所有権を争っていたギャング同士の縄張りが接地する場所なので、それぞれの縄張りからの入り口が無くては争いになりかねないからという事だ。


さらに不用意に他のギャングの縄張りに立ち入れば、何をされても文句が言えないので、それぞれのギャングの縄張りに住む者達は基本的に他の縄張りに行く事は無い。それなのに診療所に扉が一つしか無ければ一つのギャングの者しか行けず、何の意味も無い事になってしまう。


だから面倒でも毎朝看板をかけ、毎夕看板を回収する。これはもはや習慣と化しているので、心を落ち着けるには最適だ。



今日は昨日休んだ事もあり、普段よりも多くの患者さんが来てくれた。中には突然休んだ事を「大丈夫?体調でも悪くしたの?」と心配してくれる人もいて、ほっこりしながら「もう大丈夫です!ちょっと風邪を引いただけなので!」なぁんて大嘘こいて対応していた。


ちょっぴり罪悪感はあったが、何度も問われる度にもうこうなったらどうとでもなれぇ!と、投げやりな気持ちになっていった。




そんなこんなで日常を取り戻し、もうすっかりいつも通りの日々を送っていた一週間の間に、あの殺し屋の黒幕の正体を突き止め、ギャングの皆さんは殺気立っていた。





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