表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ケッペキショーの珍道中  作者: 朱華
初めましてスラム街
32/142

20 反省…会?

「……その事だが、…良くやった!お前の機転のお陰で誰も診療所に入る事なく、鍵が閉まっていたからやってないと思ってすぐに帰って患者や客には一人のけが人も出さずに済んだ!あの切迫した状況で良くやってくれたな!偉いぞ、頑張ったな!」


ドン…!髪の毛くしゃくしゃになるからわっしゃわっしゃと豪快に撫でないでくらさい…


「そっか…良かった〜!あー!これで一安心できるわ!」


「ああ。大丈夫だからちゃんと椅子に座れ。吐きそうって聞いたが大丈夫か?菓子好きのお前がジュースも飲めねぇとはな。びっくりしたぞ。」


ドンに抱っこされたままいつもの定位置に連れてかれて、ちょこんとぬいぐるみみたいに座らされた。ちょっと恥ずかしい…


「ん、あのね。ドンが来たら安心したからジュースくらいはいけそう、かな?」


「上目遣いすんじゃねぇ!」


うるうるしておねだりしてみたら軽く髪に触れる程度のデコピンされちゃった てへ(๑>؂<๑)


うぅ…優しさが心に染みて痛いよぅ……


「わあったよ、そんな泣きそうな顔すんな!俺がいじめてるみたいだろ!?」


「べー!だ。わたし、りんごジュースがいいな!」


ドンに舌出してわざと明るく振る舞ってみたりする。


ドンが呼んでくれた執事さんがすぐにジュースを持ってきてくれた。執事さんの横顔は心なしかホッとしたように見えた。心配かけてごめんね。


執事さんが下がると、私とドンがジュースとコーヒーを飲む音だけが残る。


「……あのね、ドン。」


「…なんだ?」


ドンはコーヒーを飲む手を止めて話を真面目に聞く姿勢になってくれる。いつもならぐいっと一気に飲み干しちゃうところを、ドンは最初から私に合わせてゆっくり待っていてくれた。とっても優しいドンならば私の話をちゃんと受け止めてくれるだろう。


「…私ね、ドンや他のギャングの皆さんに謝らなきゃいけないの。あれだけ啖呵切っておいて、私は逃げたし、震えて怯える事しか出来なかった。怖くてドンに縋っちゃった。ちゃんと役目を果たせなかったのに…」


ドンは私が話している間、静かに聞いていてくれる。甘い自分にポロッと涙が落ちた。


「……あのな、クオルフ。お前はちゃんと役目を果たしたろ?きちんと俺のとこまで報告したし、あの状況で鍵にまで機転を利かせた。今までの契約の中で一言でも診療所で殺人が起こったら対応するなんて文言があったか?」


「………ない。…けど!」


ギャング経営の診療所の危険性を甘く見てたのは事実だ…


「怯えて震えたって?目の前であんな光景を見りゃあ、誰だってそうなる。ましてお前は女で、まだ子どもだ。そんくらいは俺らだって分かってるんだ。ギャングに所属してる訳でもねぇお前に平気でいろなんて誰も言わねぇよ。」


「そう…かもしれないけど……」


でも、スラムで生きて、診療所で働いて、ギャングの仲裁までするなら。そのくらいは覚悟してなきゃいけなかった。


「覚悟なんて慣れりゃあそのうち出来る!お前は度胸はあるし、俺らギャングの頭とそれなりに渡り合ってるくらいだ!そんなに落ち込まんでもいい!」


「…そうかな。」


「俺にだっていくらでも縋ればいいんだよ!出来る範囲で助けてやるし、お前はそこらへんのさじ加減も分かってるだろ?」


「………ドン…!」


ドンはやっぱり優しい。…甘くはないし、必要なら厳しい事も言うけれど、ちゃんと必ず立ち直れるようにしてくれるし、物凄く頼りになる。


「ありがと、ドンっ!私もっともっとがんばるね!私一人の力でどうにもならなくなったらドンを頼るから!そう思ったら少し肩の力抜いてやれそう!緊張したり焦ったりしてもロクな事ないもんね!」


拳を上げて『おーっ!』て、してみたよ。


「おう!そうだそうだ、その調子!嬢ちゃんは元気に笑ったり怒ったりしてる方が嬢ちゃんらしいからな。」


「ふひ、ふひひひひ。…こんな感じ?」


ついでに、首を傾げて上目遣い攻撃だ!


「ああ、それだ!相変わらず変な笑い方だな!」


「なにおぅ…!ドンのが変だもーん!べーっ!だ。」


「あぁん?んなこたねぇだろ!俺のは、ふつーだ、ふ・つ・う!」


「だーって、あひゃひゃひゃひゃ、ぶぁっふぁっふぁ!なんて笑い方する人、見た事無いですもん!どこにいてもすぐにドンだってバレちゃうよ!」


「ばーか、それは最ッ高に面白かった時だけだよ!」


「えー!よくそうやって笑ってるの見ますけどねー!」


くすくす、って笑ってやったら、ドンは顔がちょっぴり赤くなってる。


「だぁから、それはお前といる時くらいだっての…」


ん?なんかドンがボソッと言っとるな。

なになに?もっと大っきい声で言ってもいいんだよ。私と一緒にいると楽しいってネ!…ぷくくくくっ。


「…ニヤニヤすな!」


「えへっ!すんませーん。にやにや」


「口で言やぁいいってもんじゃ無いんだよ!」


こつん。


「…うわあーーーーん!執事さーん!ドンがいじめたー!!!」


部屋の近くで待機してるはずの執事さんに聞こえるようにバレっバレの泣き真似してみた。


すぐに執事さんが飛んできて、コンコン「失礼します」って、返事も待たずに入ってくる。


「いけませんよ、旦那様。お嬢様をいじめられては。大丈夫でしたか?クオルフお嬢様。」


クスクスって笑ってこっちに合わせてくれる執事さん。さっすがー!臨機応変さが求められる執事って仕事やってるだけあるわ〜!しかも普通のお屋敷勤めじゃなくてギャングのアジトだしねー


「ごつんごつんって、殴られたのー!執事さん助けてー」


「ったく、今度はなーにが始まったんだ?」


やれやれ、ごっこ遊びか?なんて言ってドンも付き合ってくれるらしい。


「俺はペシッとはたいただけだろ?」


「いいえ、旦那様はどかんバキンずっしゃーんとボコボコにしておられました。」


おおー!言うたね〜!ナイス!執事さん。

楽しんでらっしゃるわ。


「そうだよねー!執事さんだーい好き!」


「ああん?よしよしゴシゴシがしがしって頭なでただけだったろ?」


「あー!ドンったらヤキモチやいてるー!」


ふひひひひ。


「だーれが、焼餅なんか焼くか!」


そう言うドンの顔がやっぱりちょっとだけ赤くて、


ぷっ、くくくく。


思わず執事さんと顔見合わせて二人して笑っちゃった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ