2 ギフト
誤字脱字等修正しました。
「こほんっ…それじゃあ、新たなる旅立ちを迎える善良なる子羊に。神様から贈り物をあげましょう。あちらの世界ではギフトと呼ばれるモノです。」
キラキラリーン
と神様の体が全体的に光り始めた。
ま、まぶしい。
「ギフトって…な、なにくれるの?」
突然神様の雰囲気が変わって、こわごわと聞く。
「んー?じゃあなんでも三つあげるよ。君のことは気に入ったから特別サービスだよ。他の人には一つしか上げてないんだから。あ、言っとくけど、世界を滅亡させるとか、そういうのは駄目だよ。ちゃんと、自重してよね。」
貰えるのか…自重って、あんまり無茶なこと言わなきゃいいって事でしょ。
「じゃあ、一つ目は除菌・除去魔法!とにかく、目に見えるものも見えないものも汚い物を消し去る奴!」
「…そんな物が欲しいの?かっこいい炎魔法とかじゃなくて?」
張り切って、目を輝かせ答えた私に、神様は意外だったのかポカーンとしている。
「もちろんよっ!混乱してて忘れてたけど、世界がどうであれ国や種族がどうであれ、私は潔癖症だから!汚い所では生きていけないのよ!汚いのに耐えるくらいなら死んだ方がましよ!」
神様が、絶句している…
そんなにおかしい事言ったかな。こっちは至って本気なのに。
「…わ、分かったよ。でもいくら汚いからって、性犯罪者とかを消し去ったりは出来ないよ?このギフトでは。菌と汚物とヌメヌメとかの汚れと、せいぜいが虫の死骸とかだけだよ?それでもいいの?貴重なギフトだよ?」
なぜだか神様が必死に説得しようとしてくる。
そんなにおかしいか?げせぬ。
「いいんです!それだけできれば充分です!むしろ最高です!あ、そのギフトを使うには魔力が必要で魔力無しで生まれたから使えないとかは無しですよ?」
「あ、あぁ。それはないよ。ギフトには魔力はいらないんだ。だからギフトなんだよ。普通のスキルには多かれ少なかれ魔力が必要だからね。」
「へえ。そうなんだ。それって生まれた時に貰えるんだよね?じゃないと私にとっては意味ないし。」
「もちろん。それもあって神様からの贈り物なんだ。スキルは後から身につけていくものだしね。」
「へえ。分かった。じゃあ残りのギフト決めちゃいましょうか。」
「そうだね。残りのギフトはまともなのを選んでよ。除菌・除去魔法じゃあ生き残れないよ。」
「むぅ。重要な事なのに…いいけどさ。じゃ、水で。好きなだけ水が出せて、いつでも飲み水に困らないやつ。飲んでも安全なくらい綺麗なのにしてよ。カルキとか入れないでね。」
ひどい言われように、少しむくれたツラで言ってみる。
…でもこれも大事なモノだから。
「…うん。今度はまともだね。いやほんと、すっごくまとも。逆にびっくりしたわ。」
「そんなにびっくりせんでもいいやん。」
打って変わってのべた褒めに拗ねてます。
つか、びっくりすんなし、ちょっと腹立つわー
「まあまあ、いいんじゃない?いい選択だよ。次も期待してるね。」
「もう!じゃ、次!………とはいえ、思いつかないなぁ。うーん、やっぱ一つは攻撃手段欲しいか。あ、やっぱ、アイテムボックス欲しい!どう?」
「…ごめん。アイテムボックスはもう売り切れ。なんかやたらと人気でさ。確かに便利なんだけどね」
「あっちゃあ…やっぱチートすぎて、取られちゃってたか。…じゃあ、攻撃手段ね。えーっと、物を大きくしたり小さくしたりできる魔法は?」
「それなら余ってるけど、ニつってのはねぇ。大きくするか小さくするかどっちかにできない?スキル三つもあるんだし、ここは他の人に譲ろうよ。」
「む、要は、スキル三つあげるって言っちゃったけど、ちょっと便利な力持ちすぎだって思ったんでしょ!ニつとも、とっても素敵なスキルだもんね!」
「ニつともっていう所以外は正解だよ。…まったく変わった子だね。」
「ふん!好きに言ってなさい!で、大も小もかねるってのが駄目なら、小さくしてもとのサイズに戻す。ならどう?」
「小さくしてもとに戻す?大きくも小さくも出来るわけじゃなくて、元々の大きさから任意のサイズまで小さくして、その後任意のタイミングで元の大きさに戻すってなら出来るよ。」
「よっしゃ!バッチリ!それで充分よ!」
「あぁ、でも生き物以外でね。」
「ええ!もちろんよ。分かってるわ!
…ね、どのくらいのサイズまで小さくなるの?できれば0,1ミリくらいまでは小さくして欲しいんだけど。」
今の私はきっと目がキラキラ輝いてると思う。いい贈り物がたくさん貰えそうなんだもの。
「…うん。そのくらいまではいけるよ。0,1ミリ刻みで小さくできることにしておくね。」
神様は少し引いている。
「うん!ありがとう!」
「じゃあ、そろそろ送るね。新しい世界を樂しんできて!
運に恵まれますように。」
「ええ!どうも。また会えたら会いましょう!なんだかんだあんたと話してるのは楽しいわ!」
あ、つい興奮して叫んだら、さっきの一つめのギフトの神っぷりで覚めた目がまたとろとろとしてくる。眠い。…寝る
「おやすみなさい…」
「あ、ちなみにこれは、サクサク転生を終わらせるための強制終了タイマーだから、心配しなくてもいいよ。さっきから徐々に眠くなってきてたでしょ?おやすみ。行ってらっしゃい。」
まじか。これ、交渉が早くまとまってなかったら、ちゃんとした説明無しに、何ならギフト無しで異世界送られてたんじゃね?
コワッ!やっぱコイツ怖いわ。
「ふふ、時は金なりだよ。神様は増えすぎた人類の管理に忙しいの。」
あ。
「その事だけど、一つだけ助言。私の国は今少子化で、減らされちゃうと困るわけ。で、人類増加の原因のとこは減ってないわけ。やばいと思わない?これがもしずっと続いてたら少子化の国に人がいなくなって、人口爆発のとこは増えまくって結果大変な事になるよ?バランス崩れまくるよ。
…ま、言いたいことはそれだけ。あとは好きなようにすればいいよ。」
「………マジか、国による違いとかそこまで見てなかったや。あちゃー!ごめんね。せっかく教えてくれたけどここに呼んじゃった時点でもう帰せないや。もう君の遺体は発見されちゃってるしね。」
「あっそ。もういいよ。とっくにあきらめた。ねむいからねるね…」
スゥ
静かな眠りに落ちたその瞬間。彼女は異世界へと送られ、今の肉体は闇と消えた
「…ありがとう。これからはもっとちゃんと色々見るね。俺、もっとがんばるよ。神様業。」
というわけで、神様が張り切っちゃった結果、地球の人口の偏りは改善され、貧困もマシになり、戦争も極端な人口の減りを引き起こすから、辞めさせられましたとさ。
ここで、この世界でのお話はおしまい。
めでたし、めでたし………?