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ケッペキショーの珍道中  作者: 朱華
初めましてスラム街
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16 親知らずのお姉様

翌日、あんちゃんが最初の一歩を踏み出してくれた事により、一般の患者さんがたくさん来てくれた。…たくさんって言っても五人ほどだけど…それでも一人も来ないよりは全然マシだわ!


とはいえ、来るのが遅くて治せ無かった人もいるし、もっともっとここに気軽に来て貰えるようにしなきゃね!


おっと、お客さんだ!


「いらっしゃい!お水ですか?診療ですか?」


これはもはや口癖と化している。

んで、今日は…


「…診療をお願いしたいの。」


この調子でほとんどが診療目的なのだ!いえい!


「はい!調子が悪いのはどこでしょう?取りあえず除菌と除去ギフトサービスしときますね!」


「え、ええ。」


と、昨日今日と診察してみて分かったのだが、殊更ギャング以外の一般の患者はテキトーな説明でも何も言わない。さらにサービスと聞くと尚更だ。だから、ちゃっちゃとギフトかけて治ったら一応症状とか聞いてカルテに書いてすぐに患者は返す。ギフトで治らなかったら一々めんどくさいけどギフトの効果説明して、違ったみたいって言って、普通に診療して薬出すなり手当てするなりしてカルテ書いて返す。


除菌・除去ギフト!

キラキラキラ


そんな感じでこの人の病気の原因は菌だったらしい。


「…あ、何これ?…すごい。」


「あなたの病気の原因は菌でした。今自分でも分かったでしょう?」


「……今菌が消えていく感覚がしたから菌の病気もあったのかもしれないわね。」


あれっ?けっこうドヤ顔で言ったのにこの反応…違うの?


「えっと、診療して欲しい部分を聞かせてください…」


「奥歯がズキズキ痛くて辛いの。」


あ~!間違えてたなんて恥ずかしい!

菌があった場所は口じゃなくてもっと下の部分だから、虫歯の可能性も無いしね!


「奥歯ですか……」


専門外にも程があるわいっ!

除菌・除去ギフトで菌消すか、手当てするか、症状聞いてテキトーに薬出すかしか出来ないのにさ!


「…ダメかしら?」


わぁ、何か本気で困った顔。かなり痛いんだろうな…


「ダメじゃ無いです!治せるかは分かりませんが診ます!大丈夫です、医者が来るまでは治せなかったらお代は頂かない事になってるんで!」


「まぁ、そうなの?それはありがたいわね。」


頬に手を当て首を傾げる患者様。とっても綺麗な人ね。


「はい!…あ、でもさっきの治療費は頂かなきゃいけないんです…効率の為に入り口でやってますけど一応診療なので。」


「あら、そうなの。」


「で、でも、代わりに入り口でかけたギフトのお代は半額なんです!元々薬での治療よりも半額になってるんですが、そこからさらに半額です!かなりお得ですよ!」


少し残念そうな麗しきお姉様に必死にアピールする。こんなとこもう来ない!ってなったら大変!


「ふふ。素敵なお話ね。それならいいわ。」


「ありがとうございます!では、診察室までご案内しますね。」


そして診察室に着いたら椅子に座ってもらい、自分の手にギフトをかけて口の中を見る。美人は口開けててもけっこう美人ね。


「はい、口を大きく開けてくださいねー。…ん……ううーん。

 これはあれですね。多分親知らずですね。…ほら、ここ。出っ張ってますよね。子どもの歯の時は生えてなかったのに、大人になってから突然生えてくるのが親知らずです!ちゃんとまっすぐ生えてくればいいんですが、奥歯に向かって生えてきちゃうと当たって痛いんです。」


雑な診断と説明を終えると、すっと指を抜く。


「…治せますか?」


「うーん、手術が必要だと思いますけど、私じゃできないです。取りあえず痛み止め出しときますね。あと、親知らずは虫歯が出来やすいんで定期的に口の中の除菌しに来てください。今回と同じ値段で良いですから。」


「分かりました。ありがとうございます。あなた凄いのね、そんなに小さいのに。」


「いえ…お役に立てずにすみません…」


「いいのよ、また来るわね。」


「はい!よろしくお願いします!じゃあ、これ薬と、今回の診療費は500エルです!…大丈夫ですか?」


あんまり診療所とかに慣れてなくて持ち合わせの無い人もいたのよねぇ。やっぱ診療前に大体どれくらいか言うべきかしら…


「ええ、もちろん!あ、それとね。」


「はい!何でしょう?」


「さっきの菌があった場所の事、秘密よ?あなたにはまだ分からないかも知れないけど、そこに菌があったって知られたらお客さんが逃げちゃうのよ。」


ニコッて笑って綺麗なお姉様は言う。


「…分かってますよ!大丈夫です。絶対に誰にも言いませんから。」


こっちもニコッて返す。


何でって?

この人多分娼婦よ。で、さっきの菌てのがまあほらね。察してね。私この人に誰にも言わないって約束しちゃったから。


「ありがとう。」


「いえ!お大事に!」


バイバ〜イって見送って一息つく。


…とはいえ、この値段でやってけるのかねぇ。

水一杯を100エルで売ってて、まあスラムだから高めの値段設定だけど、それでも風邪薬と痛み止めが500エルでしょ。この時代で保険も無いからもっと薬って、高いはずなのよね〜


まあ、ちゃんと考えてはいるんでしょうけどね。福祉的な側面もあるみたいだし。


ポリポリ豆かじって次の患者さんを待つ。…とりあえず寝よ。






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