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ケッペキショーの珍道中  作者: 朱華
初めましてスラム街
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9 問題と提案

開業から三ヶ月、報告と今月のお給料を貰いに来たクオルフは約束通りお菓子を貰ってご満悦だ。今日は珍しく洋菓子な感じじゃなくてお団子なのでびっくりしつつも懐かしい味に癒やされている。


「もぐもぐ。…ごくん。それで、普通の患者さんがぜーんぜん来ないんですよ!何とかしてください!毎日毎日怖いお兄さん達ばっかりと顔合わせてるんですよ!刃物の傷口の手当ばっかだし!こないだなんか指詰まされた人が来ましたよ!五歳児に何やらせてくれちゃってるんですか!」


「んぁーっ。それな!ギャング会議でも問題になってんだよ。これじゃ診療所の意味ねえってな。このままじゃまだじーさんには胸張って見せてやれねえよ。…どーしたもんかな。」


私が必死に現状の惨状を訴えると、どうやらドンも悩んでいたようだ。とはいえ今だ打開策を打ち出せていないあたり、相当難しいのかもしれなかった。


「うーん…やっぱり皆さんギャングの抗争を心配して来られないみたいですよ?それに医者がいないのも危険を犯してまで行く気にならない理由の一つですね。私がやるレベルの手当なんて自分で出来る人は多いですから。」


「やっぱりそれなんだよな〜!その二つさえ何かとかなりゃあそれなりに来ると思うんだがな。」


「医者は見つかるまでどうしようも無いとして、取りあえず皆さんの不安を払拭しませんか?」


「ったってどーするよ。俺らが大丈夫だって言っても奴らは信用なんざしねえぞ。」


ドンは机に顎を乗せて「はーーー」と長い息を吐き、もはや諦めの表情だ。

あっ!タバコの灰が落ちた。


「それですね。何か絶対に大丈夫だって確証でも示せればいいんですが…口だけでは駄目でしょう。これまでがこれまでですから。」


「…嬢ちゃんはなんか良い案ねえか?」


「あったらとっくにやってますよ〜」


「だよな〜!うーん…」


納得するドンを最後に互いに考え込み、しばらく静寂が二人を包む。

何か無いのかねぇ…


「…あ、ギャングで不可侵条約を結んで貰って、診療所の中を逆に抗争安全地帯にすればいいんですよ!で、その旨を書いた血判状を診療所の前に張り出して宣伝すればいいんですよ!どうですか?良い案だとは思うんですけどね。」


ギャングにとって血判状はかなり重要性が高い物で、その内容が破られる事はまず無いと聞く。


「…確かに悪かねえが、それを実現しようと思ったらかなり大変だぞ。」


「ドンの言う通りだとは思います。でも、何かはやらなきゃずっとこのままですよ?それでもいいんですか?私は嫌ですよ!」


弱音を吐くドンに苛立ち、勢い余ってドンとテーブルを叩き身を乗り出す。


「そりゃ、いいわきゃねぇだろ!俺だって出来るなら何とかしたいさ。だがなぁ…」


じろり。

まだ、うだうだ言うつもり?


「……ああ!もう、分ぁかったよ!言う通りにやりゃいいんだろ!ったく、ギャング間の調整で苦労すんのは俺なんだぞーっ!」


「ふひひ!分かりゃいいんですよ。分かりゃ!あ~楽しみだなぁ!診療所の中が患者さんでいっぱいになって、暇じゃなくなる上に追加報酬がっぽがっぽ稼ぎまくるんだ!」


「んぁー?そういえばそういう契約だったな。ま、客が来るならそれでいいか。」


「んもーっ!まさか忘れてたんですか!?そうですよ!いっぱい患者さん診てお給料いっぱい貰うんですからね!」


うまいこと事が運んで、ルンルンウキウキしていたら思わぬ所で水を差されちゃった。ちゃんと釘さしておかなきゃ貰いそびれるわね。危ない危ない。



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