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ケッペキショーの珍道中  作者: 朱華
初めましてスラム街
17/142

5 ハンス兄とお話

ハンスはふんすと怒って(笑)こちらを見ている。


「…は、ハンスにいぃぃぃぃ!!!!!ゼ〜ムー!!!」


その姿を見たら急に日常に帰ってきたような気分になり、ドッと涙が溢れる。駆け寄って飛びついてハンス兄の胸にぐしゃぐしゃの顔を押し付ける。…後で綺麗にしなくちゃ。


「ど、どうしたんだ。何かされたのか!?」

「ク、クオルフ〜!ごめん、助けられなくで!ぐおるぶうっ!」


どうしていいか分からずにオロオロするハンス兄。

私にしがみついて泣くゼム。


とあるギャングのアジトの前が、混沌 ーカオスー と化していた。


「どりあえず、おうちに帰ろう!お兄ちゃん。

 お家でぢゃんとせづめいするからぁ〜」


「…わ、分かった。早く帰ろう。」


ヒックヒック


スラムの道に泣きじゃくるクオルフとゼム。

まさに、カオスであった…



「みんな、ただいま〜」


「クオルフ!大丈夫だったの?皆心配してたのよ!」


少し慣れてきて私とも話すようになった、ハンスの妹ハンナ。

ハンスの次に年長の彼女がハンスがいない間皆を抑えていたようだ。


「うん。…ありがと。今の所大丈夫だから。

 ほら、お土産も貰ってきたんだよ!皆で食べてね。」


「わあ!開けていい?開けていい?」

「ケーキだーっ!シフォンケーキ!」

「しふぉん?たべるー!」


ははっ。ジンは返事を聞かない内に開けちゃってるし、ナサラは、やっぱ女の子ね。甘いものにはしゃいでる。タユタはまだ幼いから食べ物だとしか分かっていないみたい。


「ハンナとゼムも食べてね。私とハンス兄はちょっとお話があるから、ハンス兄の分ちゃんと残しとくのよ。」


ハンナとゼムは大丈夫だろうけど、おちびトリオが心配だ

とりあえず、手づかみで食べそうになっていたから、手を除菌・除去しておいた。


「…ハンス聞いてくれる?」


「…分かった。」





そして、あらましを聞いたハンスは頭を痛そうに抑えて、一つ大きなため息を吐く。


「…また、厄介な事に巻き込まれたなぁ…まあ、自分だけで判断せずに持ち帰ってきてくれて良かったよ。結果が変わるわけでも無いのが残念だが。まあ、身売りの話じゃなくてひとまずは良かった。」


「…へ?身売り?この歳で?まだ五歳だよ。」


「世の中には五歳に欲情するクズ野郎もいるんだよ。クオルフは見てくれがいいから、狙われるかもしれないと思ってゼムをそばに置いてたんだが…はぁ。」


そうかぁ…そりゃいるよね。そういうクズ。

女の子が売られたとか、捕まったって話はよく聞くけれど、何となくまだ自分には無縁の話だと思ってた。


他の子は皆髪を短くして男の子みたいに見えるようにしてるけど、私はサラサラの金髪だから売るために伸ばしてるのに、ゴムが無いから紐では滑ってくくれないし、目の色だって自分で鏡を見つめちゃうほどぱっちりとして綺麗なブルーだし。お母様譲りで客観的に見ても可愛いし。


うーむ。気をつけよ。


「…心配かけてごめんなさい。」


「ああ。違う、そういうことが言いたいんじゃないんだ。…とにかく無事で良かった。」


「…うん。ハンス兄、心配してくれてありがと。」


それから、二人でちょっぴりしんみりした後に皆の所へ戻ってハンス兄はケーキを食べた。ハンナとゼムは待っていてくれたらしい。私はもう食べたからって言ったけど、疲れてるでしょって、一口分けてくれた。


優しさがじんわり染みる。

あぁ。私幸せだ。




コンビじゃなくてトリオだった…

誤字脱字修正しました。

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