27 おやつ
お昼寝から起きて来たスペンサーとセシリアとお母様、そしてシミオンとで三時のおやつを食べる事になった。
「母上に呼ばれたから仕方なくだぞ!勘違いするなよ!」
「分かってるよ〜!典型的なツンデレをありがとう」
相変わらずかわいいなーシミオン。と思ってニコニコしてるとお母様に不思議そうな顔をされた。シミオンはお母様の前で怒るに怒れなくて目だけで怒ってる。
「いつの間にそんなに仲良くなったの?二人が打ち解けてくれるか一番心配だったから嬉しいわ」
「母上!何も仲良くなってなどいません!ただクオルフが図々しいからつい釣られてしまうだけです」
「あらそうなの?それでも十分よ。ちゃんと話せてるんだから。ね、クオルフ?」
「はい!お母様の言う通りです。兄弟としてうまくやっていきます。だよね?シミオン」
お母様を悲しませる気か?と、若干の圧力を掛けつつシミオンに尋ねる。シミオンは眉間にシワを寄せて悩んでたけどすぐに私に屈して渋々ながらも頷いてくれた。
「……そのつもりです。お母様の娘である以上大切にしなければいけませんから。お互いに尊重しあえると思います」
シミオンは「お互い」の部分を強調して私を睨みつける。自分だけ屈したりしないっていう意思表示だなこりゃ。シミオンとは意見が合いそうで何よりだ。兄弟というのは時には良きライバルになる物だからね。
「そうね。血は繋がっていなくても姉弟だもの。年も近いし一緒に勉強とか出来たら良いわね」
「一学年上だからね〜。色々教えてあげるよー」
お母様の言葉に同調してニヤニヤしながらシミオンを指でつんつん突つく。シミオン嫌そうだねー。あんまりからかいすぎるとホントに嫌われそうだからほどほどにしとこっ。
「じゃあ明日な!逃げるなよ!」
「あれ?ほんとに?シミオンこそ鬼教官から逃げちゃだめだよー」
シミオンがなんか思いついたみたいな感じで乗ってきたからびっくりした。一体何を目論んでるんだ?てか夏休みまで勉強かーい!良いけどさ〜
「ぼくもいっしょに勉強したい!」
「わたしも!わたしもするの」
「あら、二人にはまだ早いわよ。それにお姉様達のお邪魔になってはいけないでしょう?」
「えー!ぼくもう6つだよ!」
「そうねぇ。じゃあスペンサーは少しだけ参加してみる?」
「はい!兄上も姉上も良いですよね?」
「私は良いと思うけど、シミオンは?」
嫌かな。スペンサーに跡継ぎの座を奪われるかもって心配してたくらいだし。六歳児なんてどうせ途中で飽きてやめると思うんだけどな。
「……良いんじゃないか?ただ邪魔はするなよ」
「しませんよ!もーっ!」
「お母さま、わたしは?」
「セシリアはまだ四つでしょう?さすがにお姉様達についていけないわ。お母様と一緒に刺繍でもしましょう」
「あーっ!良いな!お母様に刺繍教えてもらえるなんて羨ましい。私もセシリアくらいの頃ちょっとだけ教えて貰ったんだよ」
「ほんとに?それならわたしは刺繍してるね」
セシリアを諦めさせるためにわざと子どもっぽく羨んでみたらすぐに乗っかってくれた。さすがに九歳と六歳と四歳で年齢バラバラの子に一気に教えられる自信無いや。