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ケッペキショーの珍道中  作者: 朱華
もっと知ろうよスラム街
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24  お母様





 翌日の夕方にようやくマクミラン子爵領に入り、夜になる前にカントリーハウスに到着した。ようやくお母様に会える。そう思うと落ち着いて座っている事もままならないくらいだった。


 二歳の時に別れて以来、八年ぶりだもん。あれ、そう思うとお母様と離れてからの生活の方が長いんだな。ドンとかの方が付き合い長いのか。でもやっぱりお母様は特別だけどね。私みたいな変わった子を産んで大事に愛して育ててくれて。


「クオルフ嬢?お手をどうぞ」


 おっとっと、物思いに耽ってマクミラン子爵をお待たせしてしまったよ。子爵に差し出された手を取って馬車から下りる。従者が荷物を持ってくれて屋敷に入ると、そこにはお母様が待っていて駆け寄ってきてギュッと抱きしめられた。


「……お母様、苦しい」


「あっ、ごめんなさい。あまりにも嬉しくて。さあクオルフ、よく顔を見せて」


 久しぶりに見たお母様の風貌は少し年月を感じたけど、元気そうで良かった。お腹、結構大きいな。


「……大きくなったわね。あんなに小さかったのに。ちゃんと食べてるの?少し細すぎるように思うけれど」


「大丈夫だよ。今はちゃんと食べてる」


「それなら良いんだけれど。とにかくお部屋でお茶でも飲みましょう。たくさん話を聞かせてくれる?」


「はい。お母様」


「サイラス、クオルフをここまで連れてきてくれて本当にありがとうございます」


「ああ。私も道中楽しかったよ。彼女は面白い子だね。ゆっくり話をすると良い。その間子ども達は私が抑えておこう」


「お願いします。さあクオルフ行きましょう。子ども達に見つかる前に。あの子達に貴方の話をしたら興味津々で、落ち着いて話もできなさそうだから」


 弟妹に会う前から嫌われてるって事は無いみたいで良かった。やんちゃな子達なのかな。応接室で侍女にお茶入れて貰って飲みながら色んな話をした。


「ふふふっ、面白い後見人さんね」


「うん!けっこー可愛がって貰ってるんだ。学園に入ってこうしてお母様に会うことが出来たのもその人達のおかげだし」


「その方達には金銭的な支援は受けていないの?綺麗な髪なのに、短くなってしまって……」


「スラムじゃ女の子も短いのが普通だからそんなに心配される事だと思わなくて。そんなにお金には困ってないんだけど、お小遣い稼ぎに売っちゃっただけだから心配しないで」


 むしろギャングに金銭的支援受ける方が怖いから。それに私はショートカットも可愛いと思うんだけどな。お母様に似て可愛いからどんな髪型でも似合うし!流行らないかな。


「困っていないなら良いけど、もうそんな事はしないで欲しいわ」


「うん。もうしない。お母様に心配かけたくないもん」


「ありがとう。貴女は私の自慢の娘よ。そうだわ。もう着なくなった服やアクセサリーがあるから持って行って頂戴。ほとんど身長も変わらないし、少し直せば使えるはずよ。」


「良いの?実はあんまり服持ってなくて困ってたんだ。嬉しい」


「部屋に来て。一緒に選びましょう」


 案内されたお母様の部屋は、ダドレフ家での部屋とあまり雰囲気が変わっていない落ち着いた色合いのまとまった部屋だった。お母様は侍女が衣裳室から持って来た服を私にあてて、楽しそうに選んでくれた。一緒に服選ぶの母娘っぽいよね。


「これなら流行りに関係なく着れそうよね。これも良いわね。これも……」


「あの、お母様?こんなにたくさん持って帰れないよ」


「大丈夫よ。持てない分はまた後で運ばせるわ」


 お母様に押されてつい頷いちゃったけど、運べても置き場所が無い気がするんだけど……どうしよう。好意を断るのも忍びないし。


「奥様、お食事の用意が出来ました」


「あら、もうそんな時間?分かったわ、行きましょうクオルフ。」


 お母様に連れられてダイニングに行くと、そこには一家全員が揃っていた。正面にマクミラン子爵、左隣にはお母様が座り右隣には男の子。その斜め前に小さな男の子、その前に女の子。で、私が小さな男の子の横の席。


 えーっとつまり、私の横の男の子がスペンサーで、私の斜め前の女の子がセシリア。お母様の前にいるのが前妻の子のシミオンかな?いきなり全員とご対面か!


「シミオン、スペンサー、セシリア。説明した通り、この方がダドレフ侯爵令嬢のクオルフ嬢だ。スペンサーとセシリアの姉に当たる。仲良くしてもらいなさい」


「クオルフと申します。よろしくお願いしますわ」


「姉上!明日遊びましょう!母上の話を聞いてぼく、楽しみにしてたんです」


 マクミラン子爵に似た薄い茶髪に、お母様似の緑色の瞳を輝かせて愛らしい弟。


「ずるい!お兄さまわたしも遊びたい!お姉さま良いでしょう?」


 お母様の金髪と子爵の金色の目を受け継いだ可愛い妹。


「スペンサーもセシリアも私を姉として受け入れてくれて嬉しいわ。一緒に遊びましょう」


 ようやく二人とも私の本当の弟妹だと思った。そして、シミオンは何故あんなに睨んでるの?血の繋がりが無いから?分かんないな。


 シミオンは茶色の髪と目の色をしている。目の色は母親譲りかな?

 



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