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ケッペキショーの珍道中  作者: 朱華
もっと知ろうよスラム街
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21 荷造り




 悶々としたまま夏休み前の抜き打ち小テストも終え、夏休み前日に返って来た結果も概ね良好。国語、算学は百点、歴史96点、魔法学92点、魔法実技100点、神学84点、外国語94点。


 抜き打ちだったとはいえ、ちょいと神学きついね。最近ユリアの件で身が入って無かったからな。来年も特待生一位を維持する為には満点を取り続けるくらいの勢いじゃないとなのに。気を引き締めようか。うん。


 仕事終わり寮に戻って急いで荷造りの確認をする。あれからまた届いた手紙で、明日の早朝にマクミラン子爵が迎えに来て子爵家の馬車で一緒に向かう事になっている。


 えっと、服が二着に寝間着が一着。下着二着に靴下二足。ブラシに歯ブラシ……あとは諸々、細々としたものを。こんなもんかな。


 一週間の滞在で服二着って女子としてどーなのって感じだけど、これ以外持って無いんだもん。しゃーない。あるいは子爵領に着くまでは制服を着ておこうか。それならお母様にはなんとか服の無さを誤魔化せるか?


 髭じいから入学祝いに貰った鞄に制服をぎゅうぎゅう詰め込んで最終確認を終える。


「馬車で二日かぁ、その間ずっと二人きりとか気まずいな」


「大変そうだね。話さなくて良いように何か暇つぶしの道具でも持って行ったら?それか寝ちゃうとか」


 横で同じく里帰りの為の荷造りをしていたカトレアが、私のボソッと呟いたひとり言に応じてくれた。せっかくだからその案採用しちゃおう。


「それ良いね!寝た振りしとこ。子どもだから通るでしょ!あとは聖書でも読んでよっと。神学成績やばいし」


「あっ、じゃあ私も魔法学の勉強するわ。少し苦手なの」


「魔法学かぁ。魔法の歴史とか長い詠唱とか出題されたからねぇ。興味が無いと苦痛だよね。」


 私は歴史は割と好きだし、詠唱は普段使わないけど子どもの頃にお父様に覚えさせられたからね。忘れてなくて良かったよ。


「神学はどんなテストだったの?」


「なんかね、有名な聖書の一説を書き上げたり、信者としての心構えとか、天使や聖人の名前とかを答えるんだ」


 地球の三大宗教の偉人と微妙に似てる名前とかだとうっかり間違えちゃったりもするんだよ。歴史とか魔法学と違ってあんまり興味も持てないからなおさら。


「そうなの。信仰心の強い人じゃないと難しそうね」


「ほんとそうなんだよね。頑張って覚えないとな」


「お互いがんばろうね。離れ離れのクラスは嫌だもの」


 クラスは成績順で、成績上位の一組と下位の二組で一年ごとにクラス替えがあるからね。ちなみに二組だと将来の進学や就職の選択肢が限られるらしい。


「さっすがにそれはちょっとね。特待生外されるのもきついし」


「特待生って便利だものね。寮費も文房具も無料だし、紙もインクも高いから助かるわ」


「勉強し放題だよね。逆にお金無くて成績低いと勉強もロクに出来ないよ」


「お兄ちゃんに心配かけないようにしっかりやらないとね」


「跡継ぎは大変だな〜。やっぱ貴族やめて正解だったね。うんうん」


 あのままお父様が亡くなって捨てられてなかったら、跡継ぎとして婿を取ってさらに跡継ぎを産んでそんな一生を過ごしてたんだろうから。と、一人で勝手に納得した。


 もちろんカトレアのように親の職業を継いで行くのは立派だと思うよ。基本的にはそうやって世の中回ってるからね。むしろその枠から外れるのは異端で、他の人へ迷惑をかける事もある。


 どこかへ嫁ぐはずのカトレアが、エインさんの代わりに突然跡継ぎにされて重荷を背負わされたようにね。カトレアが気にしてないから良いけど、それを考えるといとこのマーヌッケにも少し悪い事したかなと思わなくもなかったりしなくもない。まあ私も好きで捨てられたわけじゃないから許しておくれ。




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