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ケッペキショーの珍道中  作者: 朱華
もっと知ろうよスラム街
110/142

15 会長の思惑

何ヶ月ぶりでしょうか(^_^;)



 「おはよー!」


 翌朝、クラスのみんなに元気に挨拶しながら教室に入ると、なんだかざわついていて、その場の全員が一斉にこちらを振り向いた。びっくりして何があったのかと窺うと、一斉に人垣が割れて騒ぎの原因が姿を現した。


 昨日私の犯行現場を目撃した生徒会長こと王子のフィランダーはにこやかにこちらに歩み寄り、話があると有無を言わさず教室から連れ出した。


「あの……会長?何のご用ですか?」


 昨日の事がバレたんじゃないかと、心臓バクバクで恐る恐る聞いてみた。


「君は確かスラムの診療所で働いていて、医療学校に進むつもりだったよね?だったら貴重な医学書なんかにも興味はあるかな?」


「え……?そうですけど、突然どうしたんですか?そりゃあ興味は無いわけじゃないですけど、今は他にも学ぶべきことがたくさんありますし……」


 やばいやばいやばい!探りを入れられてるよ。何で?あんだけ距離あって顔が見えたのかな?でも完全に私だって分かってるならこんなまどろっこしい事しないでさっさと捕まえるよね?それとも何か魂胆があるのかな。とりあえず誤魔化せてるといいけど。


「いやね、立場上僕なら借りてこられるから興味があるようだったらどうかと思ってね」


「そうでしたか。では衛生学についての本を借りてこられますか?スラムはあまり清潔な環境ではなくて、それが病気に繋がるかもしれないと心配なんです」


 ここで上目遣いを召喚、さらにうるうるおめめを発動。コンボ発生!生徒会長にクリティカルヒット!……ていうのは冗談だけど、とりあえず煙にまけたらしい。フィランダーは近いうちに借りてくるよと言って去って行った。


 まあ手術するにしても清潔じゃないといけないからね。除菌・除去ギフトがあるとはいえ、感染症は怖いからねー。ちゃんとエインさんもそれ考えて除菌、除去魔法とかの本もついでに写して来るように言ってたし、フィランダーからの本がすぐに届かなくても問題ないけど。


「クオルフ!生徒会長からのお話はいったいなんだったの?」


「なんか変な事でも言われたか?」


 カトレアは不安そうに、キースはいつもの調子だけど顔色や足取りを見て聞いてくれる。この辺キースはさり気なくだけどそつなく相手の様子を伺って自分の行動を決めるんだよな。今回もそこまで決定的に深刻な状況じゃないってのは分かってるみたい。感情的に動いちゃうのは実家関連だけだし。


 カトレアは心配が先に立ってまず直接大丈夫か確認したいタイプだな。二人ともいてくれるととても心強いし安心できる。


「なんか珍しい医学書を貸してくれるって。用事はそれだけみたい」


「なんだ……それだけだったの?また何かあったのかと思ったわ。それにしてもいきなりどうしたのかしら?」


「本なんてそうそう貸し借りするもんじゃないからな。それも王族から医学書を孤児になんて。何か思惑があるんじゃないか?」


 キースの言う通りなんだけど、これは探りを入れるためのジャブだなんて言えないから、なんて説明するかな。


「なんだろね?それよりそろそろ授業始まるよ。先生、会長に気使って外で待ってるみたいだし」


 いくら学園の中では王族も貴族も平等とはいえ、先生達もやっぱりどうしても王族には強く出られないからねぇ。ちなみに王族貴族と平民ではきっちり身分で分けられてます!まあ仕方ないけどね。


「そうね、じゃあ詳しい話はまた後で」


「そうしよー」


 よーし、なんとか誤魔化せたかな。さすがにカトレアやキースに犯罪やらかしたなんて言えないからね。ましてやケヴィンに知られるなんてもってのほかだよ。すぐさまナニーに報告されてナニーがお母様に連絡して、スラムにいるから犯罪に手を染めるんだ!って強制的に保護とかされかねない。


 会長がこれ以上変な動きしないと良いな。




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