10 幽閉
お父様を亡くして気が触れてしまった私は、屋敷の防音室へ幽閉。もともと私の部屋だ。という事になったらしい。表向きには回復するまで静養という事になってはいるが、二度と私を外に出す気は無いだろう。
やはり、ナニーは解雇されてしまったようだ。お別れも言えなかった。
日に数度お手洗いに連れ出され、それ以外は三食食事が届くだけでほぼ誰とも会わない日々が続く。
髪飾りとハンカチは奪られないように小さくしてパンツに縫い付けたポケットの中に仕舞い込んである。
毎日自分で、除菌・除去魔法をかけ、パンツだけは頑なに変えない汚い女の子と思われている。
お風呂にも入れてもらえず、冷たい水で浸したタオルが寄越されるだけなのでパンツを替えようが替えまいが、そう変わらないと思うのだが…
まあ、私は魔法で出したお湯で絞り直したタオルで拭き、その後で除菌・除去魔法で綺麗にしている。
何ならお湯を湯船の形で出してお風呂に浸かり、お湯シャワーで洗う事も出来るがさすがにやらない。
一ヶ月ほど経ったある日、突然お祖父様がやって来て、一族から養子を迎える事にした。と告げた。
だから、何?と思った私はどうやらお邪魔虫になったようで、今までは念の為適正もあったので、残されていただけだったから、捨てられる事になったらしい。
ほ。良かった。殺されないんだ。これで自由になれるんだ。
もしかしたら、ナニーやお母様にも会いに行けるかもしれない。そう思うと逆に嬉しかった。
私は、そのまま目隠しをされて使用人に連れて行かれ、馬車に乗せられて随分な距離を進んだ。もう、戻って来れないんじゃないかって心配になるくらいに。
道中、食べ物も与えられず、水もほんの少ししか与えられず、延々七日間ほど。その間、さすがにそれだけでは水が足りなくなり、こっそり口の中に水を出して、渇きとついでに飢えも凌いでいた。
馬車に揺られてついた先で目隠しを外され、突き飛ばされ、すぐに馬車は走り去ってしまう。追いかける元気は無いし、その必要性も無い。
とりあえず、食べ物探さなきゃ。
ここはどこ?とっても賑わっている街から少し外れた寂れて汚くて暗いところ。
……これが、スラム街ってとこか。
これから、私、ここで生きていくんだなぁ。
良かった、ギフト貰っといて。