12 エインさんと密談
ぬおおおおおおおおお!!
風邪引いてるので文書おかしいかもです。あと短いです。
バタッ……(作者は力尽きた)
「エインさん、ちょっと良いですか?」
階下に降りて、診察室にいるエインさんに声をかける。
「お、どうした?友達が来てたんじゃなかったか?」
「それが……ちょっと急ぎでエインさんに相談したい事があるんです。少しだけ良いですか?」
「……お前のその様子を見るに友達に何かあったんだな。よし、急患がいないか確認してすぐに行ってやろう」
どうすれば良いのか不安で心細い私にエインさんはそう言うと、くしゃくしゃっと私の頭を雑に撫でた。そしてすぐに待合室に出るとハンナ姉を呼び止め、今待っている患者さんの状況を聞く。
「ハンナ、少し抜けて上でクオルフ達と話がしたいんだが、すぐに診なきゃならない患者はいるか?」
「いいえ、今いるのは風邪や軽いケガの患者さんと、いつもの薬を貰いに来た人だけよ。エインさん、クオルフをよろしくね。一人でたくさん抱え込んじゃう子だから」
「あぁ。俺も長い付き合いだからな。十分分かってる。クオルフ、俺の嫁にあまり心配かけるなよ。行くぞ!」
「はい!ありがと、ハンナ姉。私は大丈夫だよ。エインさんもありがとうございます」
「解決したらビシバシ働いて貰うからな、覚悟しとけ」
そんな事を言うエインさんの声音はあくまでも優しくて、私を気遣っているとすぐに分かった。
「ユリア、リサ、連れて来たよ。入ってもらって良い?」
「ええ……ごめんなさい、わざわざ忙しいのに来て貰って」
ユリアは部屋に入って来たエインさんを見るなり立ち上がって、いたたまれなさそうに頭を下げた。エインさんはすぐに首を横に振ってユリアをソファに座らせる。
「まずは状況が分からないから話を聞かせてくれ。場合によっては俺に出来る事があるかは分からないがそれでも良いか?」
「はい……それが、数カ月前からその……来なくて。お腹に赤ちゃんがいるかもしれないんです。産めないので堕ろすしかないんだけど、お腹を冷やすか打ち付けるかしか方法を知らなくて、クオルフに相談しに来たんです。クオルフは物知りだから」
「ユリア、ここからは私から説明するね。エインさん。この辺りではその方法しか知られてないようだけどそんなの危険すぎるよね。何か他に安全な方法は無いの?無かったら仕方ないし、治癒魔法で最大限手助けしようと思ってるんだけど」
「そうか……いや、無いわけではないが、この国では基本的に堕胎は違法だから外国由来の物になる。それも闇で密かに行われているくらいで、金もかかるし相当衛生的な環境でやらないと感染症で死ぬからな。貧民街やスラムではお前達が言った方法が主流だ。」
エインさんは難しい顔で真剣に聞き入ってくれて、ユリアの妊娠や堕ろすという意思に一切嫌悪感を見せる事は無かった。人格者でスラムの事情を理解するエインさんのそういう態度はこういう時本当にありがたい。
「やっぱりそうなんだ……ちなみにお金っていくらくらいかかるの?感染症の方は私の除菌ギフトでなんとかなると思うんだけど」
「そうだな、俺も詳しくないからな。比較的安全な方法などは一部の医者が独占しているだろうし、今からそれを探すとなると間に合わないかもしれないな……」
「そっか……とりあえずギャングに頼ってみようかな。何か情報を持ってるかもしれないし」
診療所の医者を探してた時の情報とか、聞けば出てくると思うんだよね。
「……王立図書館の医学会専有書庫。そこにならこの国のあらゆる医学書が置いてある。医学会に所属する者以外近付け無いが、お前なら侵入できるだろう。これはお前のリスクが大きいが、やってみるか?」
「もちろん。出来る事はなんでもするよ!詳しい場所や警備体制、侵入方法、分かるだけ教えて!」
「よし、俺も最大限サポートしよう。クオルフはカトレアが何か知らないか聞き出してくれ。女の患者は女医が診るから、俺より詳しいかもしれない」
「分かった!」
こうして一旦患者を捌いて午後の診療を終わらせてから寮の門限ギリギリまであらゆる作戦が練られていった。