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リサ、ゾンビ退治をする

「死にたい」と、帝都ブリストルで生きる1人の少女の口からこぼれでた。

目の前を歩くのはゾンビの群れ。

腐敗臭と紫色のオーラは禍々しく、目に映る。

ここは地獄だ。迫りくるゾンビたちを自慢の弓と弓矢で破壊していく。

あと何体破壊すればいいのだろう。

誰か助けて・・・。

そう、何度心に思った事だろう。

誰も助けは来ない。

少女の名はイブ・トルン。「はぁはぁはぁ」と、壊れた瓦礫に背を預けて休む。

胸元まである金髪を後ろでくくり、前方を見た。

イブの目に生きた女性の姿が・・・。

「はぁはぁはぁ」と、女性が1人、裏路地でゾンビに追い詰められている。

「おーうぁあ」と、禍々しいオーラと腐敗臭のする男のゾンビが女性に迫る。

助けなきゃ。

イブは弓を構え、弓矢を引き、狙いを定める。

「あっち行って」と、女性は両手を前に突出して、男のゾンビを白い灰にした。

え?何?何あれ・・・。

追いかけて聞いてみよう。イブは走り出した。

「あと何体倒せばいいの?」と、黒髪で赤く光る目をした女性はつぶやく。

「待って。ねぇ、待って」と、イブは声をかける。

「え?人。」と、黒髪の女性はイブを見る。

「黒髪・・・それに赤く光る目・・・あなたはペンタゴラール国の兵士様?」と、イブは言う。

「私はコルシカ。よく分からないの・・・買い物の帰りにゾンビが急に溢れて」と、黒髪の女性、コルシカは地面に置いていた買い物袋を持つ。買い物袋からは腐敗した嫌な匂いが鼻を刺激した。

「ねえ、コルシカさん。記憶を無くしているの?それとも鼻を悪くしているの?」

「え?どういう意味?」

「食べ物を入れているんでしょ。その買い物袋の中には」

「うん。」と、コルシカは買い物袋の中を覗き込む。「うわぁ」と、コルシカは買い物袋を投げ捨てた。

「知らなかったのね」と、イブは言う。

「・・・うそ。そんなに時間が経っているなんて」

「ゾンビが現れ出したのは3日前よ。ギブリ・コマンチ 17日・・・わかる?今の状況」

(コルシカ、コルシカ)

「あっはい。リサ様」

「ちょっと大丈夫?リサって誰?」

(白い光で治しておいたわ・・・記憶障害になっていたみたいね。あなたのおかげでそっちの状況はだいだい理解できたわ。20ファラデー(10分)したらそっちにわたしも行くわ。あまりそれ以上歩かずにそこで待っていてね)

「はい、リサ様。・・・ごめん、イブさん。リサ様は私の大切な人の1人です。その御方がもうすぐここに来られると言われました。イブさん、もう大丈夫です。私たち助かります」と、コルシカはイブの手を握ってほほえむ。

「ちょっと・・・急に何を言っているの?絶望的過ぎて頭おかしくなった?誰も助けになんか来ないわよ。帝国の軍隊さえ来ないじゃない。見捨てられたのよ、私たち」と、イブは目をそらす。

「いいえ。赤き聖女様が来られます。私たちは助かります」と、コルシカは手を握る力を強める。

「痛い、いたいってば。何か根拠があるのね」と、イブはコルシカを見つめる。

「はい!」と、コルシカは大声で叫ぶ。


 イブははっとなって、周囲を見渡した。ゾンビに囲まれている。黒紫のオーラを放つ、夜叉の生まれたてのようなゾンビも混ざっている。鬼が生まれてしまったようだ。

「あぅあー」「おおぅ」「あぐぅ」ゾンビはそれぞれ声をあげながらイブとコルシカに近づいている。

「その前に全滅するわよ」と、イブは弓を構え、弓矢を放つ。狙いを定めず、適当に放つ。

それでも数打てば何とやら。

頭を吹き飛ばし、行動を停止させていく。

コルシカは目をつぶり、何やらぶつぶつ言いながら地面を触る。

(白き光よ)リサの念話と同時に、コルシカとイブを中心に白い光が広まって行く。ゾンビは灰となりて、生まれたばかりの鬼も灰となりて消えて行った。

空間と空間をつなぐ、白い扉が現れる。

「え?空間操作・・・これ、コルシカの術?」と、イブは驚く。

「ううん、リサ様の術よ」と、コルシカは見惚れる。

「それよりもゾンビ・・・一瞬で灰になって消えたけど」

その質問にコルシカが答える前に白い扉は開き、茶髪で三つ編みをした6歳の女の子、リサが現れた。

「リサ様、お会いできた事嬉しく思います。」と、コルシカは跪いて頭を下げた。

「・・・あなたがリサ様なの?」

「コルシカ、この子は誰?」と、リサは聞く。

「はっ。イブさんです。先ほどからゾンビを一緒に倒しています」

「あ、あのよろしく」と、イブは答える。

「ええ、よろしく。さあ、コルシカ、帝都の中心である皇帝の住むお城へ案内して」と、リサは言う。

「はい、リサ様」と、コルシカは立ち上がって歩き出した。

リサはコルシカの後をついて行く。

イブも慌ててついて行った。


リサたちがお城へ向かう頃、国境付近では国王バルザーとバシリウス帝国、皇帝ユノスが会談を始めていた

「われらとしては急ぎ和睦を結びたい」と、国王バルザーは言う。

「ほぉほぉほぉ、それでは無敵の魔導兵士を何人か雇入れたい。今、帝都はいささか問題があるのでな」と、金の冠を被って豪華な皇帝としての衣服を着こなしている。金髪だった髪は今は白く、長い髭も白い。

「もちろん、今まで通りのお値段でお願いします」

「それでは和睦の成立じゃな」と、皇帝ユノスは言う。


和睦の会談が終わった後、皇帝ユノスは早馬に乗り、帝都へ向かった。何やら胸騒ぎがしたからだ。


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