リサ、勝負に出る
<わたしと戦うの?いいわよ・・・わたしの剣は・・・>と、リサはやっと目を開ける。
リサの演奏は終わり、木製の横笛をリサはドラに渡した。
<わたしの剣はドラ・・・あなた、剣になって>
「オデを剣に?」と、ドラは言う。
<わたしを守ってくれるんでしょう>
「ああ、オデ、リサを守る」
<その言葉で契約は成立。ドラ、あなたの魂を預かる・・・わたしの剣・・・サンクトゥス・ドラ>
ドラの身体は青い光に変化していく。
<大丈夫よ、ドラ。あなたの肉体をエネルギーに変換しているだけだから>
青白く光る剣がリサの左手に握られる。柄の部分も青く光っている。
「・・・驚いたな、ドラを剣にするなんて。オレの武器は魔石を埋め込んだ名も無き魔剣だ」と、カルンは剣の先をリサの顔に向けた。
<わたしの剣の師匠はドラでいいわ>
ドラの声がする
※目をつぶるだ、リサ※
リサは言われた通り、目をつぶった。
「目をつぶるとは戦いを諦めたか?いや、本当にドラと同じなのか」と、カルンは動揺する。
灰色の服の女の子、リズが現れる。
「何バカな事やっているのよ、赤い光で動きを止めてやればいいじゃない」と、リズは言う。
リズはリサにしか見えない、聞こえない、認識できない。
<いいの>
※ほら、来るぞ※
※左だ、カルンは左側から攻撃する癖があるで※
リサは右へ一歩動く。
カルンは見事に空振り・・・した。
※そのまま顔に剣をつきつけてやれ※
リサは剣をカルンの顔をめがけて振りぬく。当たる寸前で止めた。
「負けた」と、カルンは言う。
<それじゃあ、預かるわ>と、リサはカルンの魂を預かる。カルンの目が赤く光る。
「「私もお願いします」」と、シャーレとアザランの声が重なる。
<じゃあ、預かるわ>シャーレとアザランも目が赤く光る。
<ドラ、ありがとう>と、青い光からドラへ変換されていく。
元に戻ったドラも目が赤く光っている。
国王バルザーは玉座の間でリサたちの会話を大きな水晶から見ていた。
「くっくっく、どんな策を練ろうと・・・すべてお見通しじゃ。必ず殺してみせるわ」と、バルザーは腕を組む。それからもう1度、術者に命令する。
「すまんが・・・横笛を吹いていたところから始めてくれ」
術者、アイリスはただうなずく。赤く光る目の術者、アイリスはただうなずき、大きな水晶にリサが横笛を吹き始めたところを写した。
「・・・やはり分からん。何度見ても。しゃべっておらん」と、バルザーは首をかしげる。
その情報はそのままリサにも伝わっている。
リサの前に灰色の服の女の子、リズは現れ、話す。
「バルザーは全部知っているよ・・・どうするの?」
<わたしの念話はばれていないよ。ただ周囲の声からわたしの用意しようとするモノはバレている>
「どした、リサ」と、ドラは聞いてくる。
「誰としゃべっているの?」と、シャーレも聞いてくる。
<リズ。わたしにしか見えない女の子・・・>
「そ、そうなの」と、シャーレは辺りを見回す。ドラも周囲を探している。
「首都へ買い物に連れて行ってほしい。わたしの魂を預けるモノを探したいの」と、リサは初めて声を出した。
「お安い御用だ」と、アザランは言う。「剣士として守る」と、カルン。
「いいお店紹介するわよ」と、シャーレ。「オデはリサを守る」と、ドラはガッツポーズを取った。
「ええ、お願いね」と、リサは4人に頭を下げた。
「オレはここにいる。」と、桜王は言う。
「あちしはついて行くでありんすぇ」と、紅露は言う。
国王バルザーは玉座の間で大きく笑った。
「ははは、墓穴を掘りおったわ。見よ、ハッキリと言ったぞ。魂を預けるモノを買うとな!くはははは、この勝負わしの勝ちじゃ!ふはははは」と、バルザーは笑い続ける。
術者、アイリスはそんなバルザーを見て、静かに笑った。
愚かモノはどちらなのかと。