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リサ、火の黒き龍に出会う

ここまでお読みいただき感謝します。次の話で完結予定です。ありがとうございました。

空中に虹色の魔法陣よってリサたちは浮遊している。

「ドラ、黒き炎とは黒き龍なの?」と、リサは聞く。

「そう聞いているだ。オラのばっちゃはそう言っていただ」

「わかったわ・・・レーベ。降りるわよ」と、リサは娘であるレーベを見る。

「はい、母様」と、レーベは頷く。


茶色の髪をした2人の少女が、黒き炎の渦巻く西の最果ての土地へ降りて行く。

熱気が伝わって来る。

「身体を炎に変換しながら降りて行くわよ」と、リサはレーベを再び見る。

「はい、母様」


銀のイブニングドレスと黒のイブニングドレスが灼熱の炎よりも熱い温度にさらされて燃えて行く。

黒い炎に包まれて行く。

全てを燃やすと言われている黒き炎。

いつから存在しているのか世界の崩壊の意思の1つとして燃え続けている。


黒き炎によって、何も無い不毛の大地。


西の最果て、タニアバレットに2人は降りて行く。

<われは崩壊の意思、誰にも求められていない。誰にも振り向いてもらえない。われはただ炎の化身として世界を壊すだけ。そう、それがわれ>


「あなたを認めるわ」


<認める?何を言っている・・・破壊されしモノよ>


黒き炎は集まり、長い蛇のような身体を作り、大きなあぎとを形にして、赤い鋭い目を輝かせて燃えてしまった何かを見た。


それは黒き炎として・・・そう。本来は集まるように命令すれば、集まってくるはずの存在なのだが。


どういうわけか、集まらない。


何度命じても集まらない。

何が起きているのか。

茶色の髪をした2人の少女は裸体で具現化されていく。

裸の身体を包みこむように銀と黒のイブニングドレスが纏われて行く。


「もう一度言うわ。わが分身よ。あなたを認めるわ」

リサの手の平から白き輝きが溢れ出る。

<そは何ぞ?そは・・・わがあるじ様なのか>

「白き輝きが答えを伝えてくれるわ」

白き輝きが、黒き炎の龍を包み込んで行く。

タニアバレットが、大陸が白の輝きに染まっていく。それはひどくゆっくりと時の流れを感じさせて、黒き炎の龍に自ら答えを述べさせた。

<この震える歓喜・・・久しく忘れておりました、あるじよ>

「さあ、わが娘、レーベに宿りなさい。そういう事なんでしょう?未来のわたし」と、リサは言う。

「はい、母様」と、レーベは笑う。

<お、おおおお。あるじ様、あるじ様・・・。われは貴女様のモノ。ご命令従います>

レーベに黒き炎が・・・黒き炎の龍が吸い込まれて行く。

レーベの右の胸に「火」の文字が浮かび上がった。

タニアバレットに静寂が訪れる。



それとは逆に、王宮では

「何じゃこれはーーーーーー」と、国王バルザーは叫ぶ。

「黒き炎が吸収されたようです」と、近衛兵バルコーは冷静に言う。

「そ、そんな事がありえるか。あれは世界の崩壊の意思じゃぞ・・・あれに打ち勝つという事は・・・赤き魔王では無く、赤き聖女だったというのか」と、国王バルザーは手と身体を震わしている。

「そのようです。国王バルザー様」と、バルコーは言う。

「わしたちは・・・間違っていたのか、バルコー?」

「そうかもしれませぬ」

「・・・バルコー、わしはわしはーーーーあの者の父親と母親を殺せと命じて、殺してしまった・・・。どうすれば許してもらえるじゃろうか」と、国王バルザーは下を見ている。

「殺そうとしていた相手に許しを?国家に滅亡をもたらす魔女だったのではないのでしょうか?」と、バルコーは問いかける。

「くく、ふはは・・・はは。笑えぬなぁ・・・おそらく開かずの神殿に選ばれる子が生まれし時、世界の崩壊の意思と関わるからわしの先祖は愚かにも殺せと言い伝えを残したのじゃ。それがどうじゃ。世界の崩壊の意思を吸収してしまいよった。聖女じゃ。救世主じゃ。わしは救世主を殺そうとしておった。目が覚めたのじゃよ、バルコー。」と、顔を上げて、国王バルザーはバルコーを見る。

「その答え。このバルコーも嬉しく思います。国王バルザー様、アイリスに赤き聖女様をお迎えする準備が整ったとお伝えください」と、バルコーは片膝をついて下を向く。

「アイリス・・・今日までよく水晶を見せてくれた。まず礼を言う。そなたのあるじに伝えて欲しいのじゃ。国王バルザーはリサ・ヴァリューを赤き聖女としてお迎えすると」と、国王バルザーは魔導士アイリスに頭を下げた。

「それは・・・リサ様にとっておいてください。いいでしょう、お伝えしましょう。」と、アイリスは目をつぶって(リサ様、国王バルザーはリサ様を聖女としてお迎えすると言っております。)

(ありがとう、アイリス。国王バルザーに伝えて、顔を殴らせろ!って)

(うふふ、はい、リサ様。それはもう間違い無く)

「リサ様は顔を殴らせろと、おおせです。国王バルザー様、よろしいですね」と、アイリスは言う。

「な、お、おおう。よいとも。今までの無礼が許されるなら安いモノじゃ」

水晶球にリサが映る。

「国王様、お久しぶりです、リサです。そちらに着いたらゲームをしましょう。あの日と同じゲームを」

「ほっほ、面白いのぉ。また大金を狙っておるのか?」

「わたしのために用意していた懸賞金・・・だいぶ使ってしまったのかもしれませんけど・・・わたしが勝つなら全額いただきとうございます」

「ほっほ、よかろう。望むところじゃ」

「それでは1時間後ぐらいに王宮に参ります。転移魔法陣で・・・」と、水晶球に映るリサは消えた。



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