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リサ、我が子と戦う

「どうなっているの・・・わたしはリサ・ヴァリューの血縁者というか、母様なの?」と、レーベは開かない扉の神殿の前で座って悩んでいる。


(いやいや、おかしい事言っているわ。リサ・ヴァリューが母様で、わたしは娘・・・。どうしてわたしはここに来たの?何も思い出せないなんて)


レーベの目の前に虹色の転移魔法陣が現れる。

「くっ」と、レーベはリサが現れるのを待つ。

「逃げないでいたわね・・・褒めてあげる。ナイフ持っているかしらん。無いなら貸してあげるわ」と、リサは柄の部分に自分に触れると自分の皮膚の一部に戻る術式を施してからレーベの足元に投げる。


「どういうつもり?これで刺し殺せとでも言うの」と、レーベは言う。


「そうよ・・・やってみなさい。あなたの記憶を取り戻すにせよ、暗殺という目的を達成するにせよ、いちばん手っ取り早いって思わない」と、リサはレーベを見上げる。


「それはそうだけど」と、レーベは足元の地面に刺さったナイフを抜いて拾った。

(名前がわたしの記憶を閉ざしているのかしら。それとも・・・他の何か?キーワード?)


「じれったいわねぇ・・・やらないの?」と、リサはレーベに近づく。

「ええい、こうなったら」と、レーベは右手に持ってリサの心臓を狙って刺し殺すつもりで手を前に出す。

レーベの手は、腕は透明化した。


ナイフはレーベの握られていた右手から落ちる。


「やはり血縁者・・・あなたは未来からやってきたわたしの子どもなのかしら」と、リサは自分と同じ青色の目を見る。

「うう。そうかもしれません。でも、分からないの。どうしてやって来たのか。何を求めて来たのか」と、レーベは膝を地面について泣き出す。

「・・・困った子ね。向こうの世界に何か異変でもあったんじゃないの?」と、リサはレーベの頭を撫でる

「うっ、うっ。あっ」と、レーベは叫ぶ。

<第1プロテクト解除されました>

「・・・わたしがあなたの頭を撫でるのが、最初のプロテクト解除ねぇ・・・。まあ、少し分かって来たわ。それで何か思いだせた?」と、リサは聞く。

「はい、母様。わたしの名前はレイズ・ルカ・ヴァリュー。あだ名はレーベと言います。変わらずレーベとお呼びください。えっとそれでわたしは処女受精で生まれたんです。だから父親はいなくて。で、母様はわたしを産んで1ハイゼンベルク(1年)もしないうちに星の中心部に籠って崩壊の意思を制御されているんです。でも、それがなかなか上手く行かないみたいで。過去に戻って・・・あれ。すみません、ここまでしか思いだせません」と、レーベは言った。

「ええ、今の話だけじゃ全然分からないわ。あら、あなたの額に浮かび上がっている【木】の文字は何?」と、リサは聞く。

「額に浮かび上がる文字を聞かれたら、未来の母様は【もく】。五行陰陽の【もく】だと伝えよ。と、言われていました。」と、レーベは答える。

「・・・」と、リサは少し考えこむ。

<リズ、もくという事は・・・この子は木の崩壊の意思なのかしら・・・。だとすると、残り4つの崩壊の意思が残っているという事に>

<そうとは限らないと私は思うけど>と、リズは言う。

「あの、母様?」と、レーベは聞く。

「レーベ・・・星の中心部にはどうやって行く?」

「開かない扉の神殿から行けます」

「くくく、あははは。ではあと10ハイゼンベルク(10年)何もできないの」

「いいえ。わたしを西に連れて行けばわかる・・・そう未来の母様は言われました」

「・・・西か。」

(西にか・・・よく分からないな。そこに連れて行けば第2プロテクト解除となるのだろうか)

リサは頭を振って、考えるのを止めた。

行けばわかるならそれでいい。

リサたちは西を目指して、西の最果てタニアバレットに転移魔法陣で転移した。


水晶で事の成り行きを見ていた国王バルザーはバルコーを呼んだ。

「ほれ見たことか!よりによって娘だったではないか」と、バルザーはバルコーを怒鳴る。

玉座の間で、近衛兵バルコーは片膝をついて、静かに語る。

「バルザー様。タニアバレットと言えば【触れてはいけない黒き龍の】でございますれば・・・何も問題は無いかと」と、バルコーはまだ赤い絨毯を見ている。

「ほ、そうであったか。そうであった。禁忌の中の禁忌じゃ。世界の崩壊の意思である黒き龍に喰われるがよいわ。ははは、そうであった!奴め、自ら墓穴を掘りおったわ。くくく、あはははははは」と、国王バルザーは高笑いした。

「その世界崩壊の意思である黒き龍に異変がありました。【もくの黒き龍】が消失したとのことです。吉兆なのか、それとも崩壊への前兆なのか」と、バルコーはバルザーに進言する。

「吉兆であろうな。北への警戒がわれわれ人類にとっては解けた事になるからのぉ。そうか、不思議な事もあるものじゃなぁ。」と、国王バルザーは首をかしげる。

「はっ。それではこれで下がらせてもらいます」と、近衛兵バルコーは玉座の間を後にした。

玉座の間の扉を開いて出ると、赤く光る目の術者アイリスと出会う。

「お前か・・・いつもご苦労なことだ」と、バルコーは立ち止まって声をかける。

「バルコーさん、あなた国王バルザーを見限ろうとしているの?」と、アイリスは聞く。

「【もくの黒き龍】は偶然に消えたりはしない。リサの娘の額に浮かび上がった文字はリサの娘に【黒き龍】が宿っているという事。そして私の推測が正しければ、あの娘は【黒き龍】全てを宿せる持ち主であると思える。私が生まれる前からある【世界崩壊の意思、黒き龍】の消失は間違いなく、人間にとって良き知らせ。私も目が曇っていたのかもしれない。王国という地位にこだわって・・・」と、バルコーはアイリスを見て答える。

「わかったわ・・・でもまだあなたを信用できない。それが今の答え。」と、アイリスはそれだけ言うとバルコーの前から消えた。転移魔法陣によって。

消えたアイリスのいた空間を見て、バルコーは「赤き魔王では無く、赤き聖女様か・・・それとも白き聖女様なのか。まあ、どちらでもよい。リサには悪い事をしたか・・・いや、親友だったギュールを私も失っている。お互い様なのかもしれない。さて、どうやってリサに信頼してもらおうか」と、1人歩き出した。


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