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リサ、書き換える。

 赤いベレー帽を被った大学生のように見える男、威泥は、リサの真下に魔法陣を刻んだ魔石を投げこんでいた。夜叉姫当たりに妨害されると予測していたが、夜叉姫は動く気配は無く、跪いて下を向いている。


赤いベレー帽を取ると、2本の白い角が額から見える。

金色の目で、訝しく思いながらも魔法陣を発動させる。


炎に照らされる黒髪。威泥は作戦の成功に口がほころぶ。


眠りについたリサを炎が包みこむ。


灼熱の炎が。


リサの皮膚は炎に変化している。


威泥は不思議に思った。

(何だ?いくら何でも早く燃え上がりすぎじゃないか)

威泥はそれを空中に浮遊しながら見ている。


「ぎょぎょ」と、夜叉姫の左目にいる黒い蛇、ギョロは夜叉姫に告げる。

「上にいるわねぇ・・・逃げ出さないように・・・オオグモ様、どうかお力をお貸しくださいませ」


威泥はだんだんと疑問を感じ出した。イブもコルシカも夜叉姫も跪いて下を向いたままだ。

誰もリサを助けようとしない。


(おいおい、燃えてしまうぜ・・・あっけなさすぎないか・・・何だ?何か見落としているのか)


威泥は周囲を見渡す。へたり込んでしまった神王ガセフがいるだけだ。


異常は無い。魔法陣も自分の妖力ようりょくの色である青色に光っている


いや、魔法陣の1部が炎に入れ替わりつつある。


魔法陣の書き換え。


自分は鬼の中では上位の鬼だ。夜叉姫であろうと、ましてやここにいる人間たちなどに書き換えられるわけが無い。だが、書き換えられている。

「何だ?」威泥の皮膚が炎に包まれて行く。熱いと感じない。

皮膚が炎に変化しているからだ。

(あっけないな・・・だがいい。炎に変化して死ねるならな)


威泥は燃え上がり、いや、炎となりて消えた。


神王ガセフは夜叉姫とコルシカとイブに10ハイゼンベルク(10年後)のリサの誕生日に軍隊を派遣する事を約束させられた。


国王バルザーはそれを水晶で見ていた。

「魔王の中でいちばん強い魔王と契約し、鬼となってわしが・・・リサを打ち取る」

「それは無理です。バルザー様」と、近衛兵バルコーは答える。

「な、なぜじゃ」と、国王バルザーはバルコーを見る。

「下位契約を結んでいた帝国の皇帝が・・・黙って従ったのを忘れておいでですか?」と、バルコーは答える。

「う、うむ。なるほどのぉ。しかしじゃ、上位・・・いや、わしには無理かもしれんのぉ」と、バルザーは天井を見上げる。

「だから、すでに魔王たちと契約している魔導士を見つけました。ただその者は・・・味方というわけでは無く・・・そこが厄介なところではあるのですが」と、バルコーは下を向く。

「どういう事じゃ」

「会ってみてください。おい、入れ」と、近衛兵バルコーは部下に扉を開けさせて、茶髪で肩まであるストレートの女性を招き入れた。リサと同じ青い瞳をしている。影に入ると赤く光る。服は黒のイブニングドレス・・・。

「おい!こいつはリサじゃないのか!バルコー、血迷ったか!」と、バルザーは叫ぶ。

「それが違うのです。おそらく何か関係はあるのかもしれないのですが・・・レーベと本人は名乗っていますので」と、バルコーはバルザーの耳元で話す。

「何をこそこそ話している」と、レーベは聞く。

「いや、レーベよ・・・そなた・・・どこから来たのじゃ」

「分からない・・・そこにいるバルコーはわたしと似た姿をした6歳の少女と戦えばわかると言っている」

「・・・お、お前・・・」

「なんだよ」と、レーベはバルザーを睨む。

「いや、記憶が無いのか」

「ああ、そうみたいだな。わたしは16歳。名前はレーベ・・・それしか分からない。」

「ちょっとバルコーと話してくる」と、バルザーはバルコーを連れて寝室に行く。


「おい、バルコーよ。あれはリサの血縁か何かじゃないのか」と、バルザーは聞く。

「私もそう思います。」

「で、では・・・記憶が戻れば・・・リサの味方になってしまうではないか」

「しかし、その強さは今のリサよりも上です」

「そ、そうなのか・・・」

「はい、リサはまだ3人の魔王としか契約を結んでいないはずです。しかしながらレーベはすでに7人の魔王と契約し、かつ、最上位の魔法陣を使用しています。というか、われわれではその判断がつかない魔法陣を使用していると言った方がいいでしょうか。ただはっきりしているのは我が国の不死の魔法兵士たちが誰も勝てなかったのです」と、バルコーは答える。

「あい、わかった」と、バルザーは悪い笑顔を作り、寝室を飛び出た。


「怪しい奴らだな。それで相談は終わったのか」

「ああ、終わったわい。お主を正式に雇おう。レーベよ、リサ・ヴァリューを倒して来てくれ。なーに、お主なら簡単すぎてつまらんかもしれんがのぉ」と、バルザーは言う。

「ああ、自宅に帰って来て、いつもの遊び場に出かけたところをやっつけてやるよ。簡単な仕事だ。その上、記憶まで戻るなら願ったり叶ったりだね」と、レーベはバルザーに背を向けて出て行った。




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