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リサ、休日に襲われる

「お父様、お母様・・・ただいま戻りました」と、リサは自宅について人形になってしまった父と母に挨拶した。父と母の人形はリサの教えた「「おかえり」」という挨拶だけを言う。

父と母の魂が旅立つのを赤子のリサには止める事は出来なかった。それでも時々、「旅はどうだった?」と、聞いて欲しいと思った。思ったので、命令して実行してみた。

母の人形が「旅はどうだった?リサ」と、口にする。

「うん。魔王と戦ったり、暗殺されかけたりもしたけど・・・夜叉姫、死姫って言う新しい友達が増えてさ。その、あのね!とっても楽しかったよ」と、リサは叫んだ。泣いていた。

自然と泣いていた。椅子を引いて座る。夜叉姫、死姫はリサの横に来ていた。

「リサ様・・・」と、夜叉姫、死姫は声をかける。

「うわぁぁぁぁぁぁぁ」と、リサは夜叉姫の胸に顔を埋める。

夜叉姫、死姫はリサの頭を撫でた。大人ぶってはいても、まだ6歳なのだ。

紅露とイブとシャーレにコルシカも同じ部屋にいる。

「リサ様、スープをおつくりしますわ」と、コルシカが台所に立って作業を始めた。

「あら、私も手伝うわよ」と、シャーレも乗り気だ。

イブは矢じりを磨き始めた。紅露はリサの後ろに立ち、背中をさすっている。

リサはしゃくり上げながら、よだれをたらして泣き声を抑えるためか分からないが、口に手を当てていた。

ドラ、カルン、アザラン、桜王は家のドアの外でリサの泣き声としゃくり上げる音をただ聞いていた。


ただそばにいてくれる。これほどありがたい事は他に無いかもしれない。

その大切さはなかなか分からないモノではあるけれど。


国王バルザーは水晶を見ながら、近衛兵バルコーを呼びだした。

「バルコー・・・3人の暗殺者はどうしている?」

「はっ。今回の森の広場での暗殺には1人しか参加しないと言って来ました」

「何?それでは意味が無いではないか。せっかく3人も集めたのだぞ」

「それがそもそも暗殺とは群れてやるモノでは無いとかたくなに主張されてしまい」

「・・・それはそうだが・・・。まあよい。そちに任せる」

それだけ言うと国王バルザーは寝室へ移動しようとする。

「国王・・・もう少し見ていてください。」

「ほほう」と、国王バルザーは座り直した。

(リサ様、暗殺者がそちらにすでに向かっている可能性が)

アイリスの念話は通じていない。

リサは眠りについていた。泣き疲れたのであろう。

針使いのギルスはリサの家の天井裏にいた。

玄関に仕込んで置いたお香がそろそろ効いて来る頃だ。そうギルスは口元を上げて、表情だけで笑う。

コルシカもイブもシャーレも眠ってしまっている。

紅露も立ったまま眠っている。夜叉姫、死姫も両腕を無くした状態で目をつむっている。

桜王、ドラ、アザラン、カルンも玄関で寝てしまっている。

1枚のふたを開けて、ギルスは降り立つ。遮音魔法も使用している。

赤い髪をかきあげてからゆっくりと近づく。

床に蜘蛛を見つけた。大量の蜘蛛たちを。

「・・・冥府結界・・・くふ、そんな可能性もあるというの。くふ。そうねぇ、1億ジュールの仕事ですもの。ありうるわ。引くとしましょう。少し準備が足りなかったようだわ」と、ギルスは天井裏へ戻って去って行った。


「何じゃ、冥府結界?また分からん事を・・・。バルコー、何か入り用なら手伝ってやれ。あとは頼んだぞ」と、国王バルザーは今度こそ寝室へ移動した。

「はい、国王様」と、近衛兵バルコーも王の間を後にした。


最初に起きたのはドラだった。

「あ、あで」と、ドラは目をこする。飛び起きた。

「リサやん」と、ドラは中へ入る。

「・・・」リサはまだ眠っている。夜叉姫、死姫が代わりに答えた。

「まだ眠らせてあげてください」

「お、おで心配で」

「大丈夫です。私のオオグモ様の力を破れる暗殺者などそうそういるモノではございませんから」

「お、お。わがった」と、ドラは玄関へ戻って行く。


ギルスは魔石に炎の魔法陣を魔力を注ぎながら刻んでいた。

「くふ、冥府結界には炎と相場が決まっていますわ」と、ゆっくりと作っていく。

24マクスウェル(正午)を回った頃、ギルスはエメラルドグリーンの瞳で玄関を見つめる。

全員が起きている。おそらく中も同じだろう。

同じお香は48マクスウェル(24時間後)経たないと効かない。

「ヴァラク・・・」と、ギルスはつぶやく。

赤いフードで顔が隠れている男、ヴァラクは頷く。

「・・・」投げた。短刀を。

ドラとカルンの2人が頭部に喰らい、動けなくなる。

アザラン、桜王がヴァラクを見つけて走って来る。

「任せたわ」と、ギルスは建物の上に移動していた。

アザラン、桜王が遠ざかるのを待って、ギルスはゆっくりと近づく。

ドラとカルンが起き上がる。

「魔導兵士?」と、首をかしげる。

両手には1イリよりも短い(30センチ)先の尖った鉄の棒を持っている。

「おおお」と、カルンが剣を上段から振り下ろしてくる。

「おめは誰だー」と、ドラも突っ込んで来る。

「くふ」と、ギルスは鉄の棒を2人の頭部に当てる。

玄関から堂々と中へ入る。中には誰もいなかった。

「くふ・・・移動した・・・どこへ」と、ギルスは首をかしげる。

後ろからドラとカルンが再び起き上がり、攻撃を開始している。

「くふふ」と、ギルスはまた頭部に鉄の棒を当てる。

「ガストールと合流した方が良さそうね」と、ギルスはその場を去った。

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