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リサ、不利になる。

パルナーラ村、リサの家・・・ガストールはリサの寝室に音消しの魔術を施してからドアを開けた。

リサはまだベッドで眠っている。

リサのベッドの横には1本の角が生えた紅色の髪をした鬼が眠っている。いや、起きているのか。

口元を包帯で巻いているガストールは音消しの魔術を施した短刀を鬼の喉元に突き刺した。

鬼、紅露の悶える音は掻き消される。

ガストールはリサの右腕をつかみ、短刀を振り下ろす。リサの心臓目掛けて。

紅露の首が、首だけとなって、ガストールの振り下ろす右手に嚙みつく。

「ちっ」と、ガストールはリサが目を覚ました事に舌打ちする。

「だが・・・これでわかった。暗殺は可能」と、ガストールは窓ガラスを割って出て行った。

「紅露・・・すまないな。」そう呟きながらリサは紅露の首を元へ戻して白い光で治癒する。

「リサ、どうするでありんす?これで戦いは9割方不利になり申した」

「ボディーガードに紅露と桜王がいてくれる。今はそれで十分・・・もしも向こう側がそれを越える数を用意してきたら・・・その時はわたしの寿命なのかもしれない」と、リサは笑う。

「リサ」紅露はリサを抱きしめた。

人知れず夜明けは来る。

第9の月 キャラミ・コルディア 3日目の朝 

「リサ、忘れ物は無いでありんすかぇ?」と、1本の角が頭から生えている紅露が聞いて来る。

茶髪で三つ編みにしている髪を揺らす。

「ええ、毛布もちゃんと馬車に積んだわ」と、リサは棚の上の物を取りながら話す。

「ちょっとリサ」と、金髪で三角帽子を被ったシャーレが駈けて来た。

「なーに?」と、リサはリンゴの皮を剥き始めた。

「そんな事してる場合じゃないってば。ほら、だって3日後なのよ」

「十分よ」と、リサは答える。

「え?でも・・・東の倭の国まではペンタゴラールから5日かかるのよ。間に合わないからってこんなにのんびりとしていていいの?」

「リサ、こ奴・・・普通に旅をするつもりでおるみたいでありんすえ」と、紅露は言う。

「え???」と、シャーレは不思議な顔をする。

「コルシカ」と、リサは荷造りをしてしゃがんでいたコルシカを呼ぶ。

黒髪で赤く光る目をしたコルシカはローブのホコリを払ってから立ち上がる。

「説明しますわ、シャーレさん。リサ様は白い扉をどこにでも出現させる事ができます。移動時間は実質、2マクスウェル(1時間)あれば十分かと」と、コルシカは言う。

「・・・そ、そう。じゃあ、ゆっくりと私も荷造りをしてここに戻ってくればいいのね」と、シャーレは遠ざかって行った。

「ところでリサ。先に行った桜王とドラ、カルン、アザラン、イブ・・・大丈夫でありんすかぇ」と、紅露はリサを見る。

「水晶を見ている限り、上手くやっているみたいね。」

紅露は明るく振る舞うリサを見て、悲しくなる。

「紅露、そんな顔をしないで。リズ様の守りと・・・まだ見たことのない神さまの守りを信じましょう」

紅露はまたリサを抱きしめた。コルシカはそんな2人を見て、おろおろする。

「コルシカ、リンゴ食べる?」と、リサは剥き終わったリンゴをコルシカに渡す。

「紅露」と、リサは自分を抱きしめてくれる紅露を抱きしめ返した。

たしかに怖い。それでもわたしは生きてやる。そう決意を新たにリサは目をつぶった。


その頃、国王バルザーはで水晶を見ながら頭を悩ませていた。

「バルコーいい案は無いか?」と、バルコーに聞く。

「まさか皇帝が味方になるとは・・・失態と言えば失態です。しかしながら国王様。そんなに問題となるとも思いません。それにガストールからいい知らせが」と、近衛兵、バルコーは言う。

「ふむ。いい知らせじゃと?」

「ええ、よくお聞きください。ガストールは暗殺は可能と報告してきました」

「?」と、国王バルザーは首をかしげる。

「わかりませんか?リサはたしかに赤き光で守られています。それはリサが殺意を認識できる事が重要なのです。赤子の時、殺意剥き出しのギュールは赤き光で逆に命を落としました。しかし・・・殺意を認識できないなら?ましてや気づかないなら?殺す事は可能なのです。それをガストールは証明して見せたのです」と、バルコーは国王バルザーの目を見て話す。

「くくく、ふははははは」と、国王バルザーは笑う。

笑い続ける。

ひとしきり笑った後、

「バルコー、国内、国外を問わず、暗殺者に手紙を出せ。1億ジュールじゃ。最高の報奨金を渡すと伝えよ」と、国王バルザーはバルコーに命じる。

「はは、その通りに」にバルコーは立ち上がり、王の間を退出していく。

「アイリス、そのまま伝えてよいぞ。どう足掻いても結果は変わらんからな」と、国王バルザーは寝室へ去って行った。


(リサ様、暗殺の件・・・本当なのでしょか)

(本当よ。わたしは自分が認識できる殺意からしか自分を守れない。赤き光は守ってくれない。そのためにわたしには強力なボディーガードが必要なの。今は紅露と桜王がいるわ。それと倭の国には夜叉姫がいる。あの子が仲間になってくれたら・・・わたしの寿命も延びるかもしれない)

(リサ様)

(心配しないで。わたしは最後まであらがって見せるわ)

リサはそれだけ念話で伝えると白い扉を開いて倭の国へ向かった。

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