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ヤクザ吸血姫、お勉強を始める

中の設定は現実のものが元となっておりますが、少し違いもあります。

気に入ってくださった方々ありがとうございます。宜しければ評価とブックマークをどうぞ

前回概要:貴方がお弁当箱で、私がボディガード




吸血鬼。


それは太古の昔の怪物に一種であり、その真祖は元々13柱の神だった。


だがその13柱の神が、神々の政争に負けてしまい、追放されることになった。


13柱の神は神界でも強い方であり、追放される前に神界で大暴れして、数の違いで敵わず下界に逃げた。


神々から除名され、懲罰として呪いを掛けられた。


呪いとは、主神が得意とする光属性に対する耐性の大幅減少とデメリットスキル吸血衝動である。


その上、太陽は主神の化身でもあるので、太陽の光に対しても普通の生物より遥かによわい


その13の神は最初の吸血鬼となり、真祖アンティディルヴィアンと呼ばれ恐れられることになる。


彼らは元々神ということもあり、その子も神の血を引いているが、二代目や三代目などと比べて、二桁になってから血も薄くなり、かなり弱くなった。


それでも神の血を引くものだから、人間やドワーフのような種族よりは遥かに強く、捕食者として世界に君臨することになる。


その驕りもあって、弱小な人間と亜人達の連合による掃討で、一気に数が減ってしまう。


双方の戦争で、圧倒的に人間と亜人達の犠牲が多いものの、また先祖と同じ数に押されてしまい、弱点を利用されたため、結局闇に潜めることになった。


「……」


「シルフィ、おやつ食べる?将軍様からもらって来たんだけど」


「……」


「っし!じゃま!」


「え?」


急に頭から廉治の声が響いてくる。少し集中を切らして、後ろを振り返えば、廉治がぐるるるってメーリーさんを威嚇しています。


メーリーさんは光属性魔法を持っていない。光属性魔法をlv2に上げれば、念話ができるようになるらしく、廉治とは無意識にそれを使って対話していたようです。


「なんでしょう、メーリーさん」


「あ、いや、だからおやつ貰って来たから、食べるのかな~って」


「私の分をそこに置いておいてください、後で頂きます」


「了解~」


メーリーさんが饅頭みたいな食物を乗せたトレイを机に置き、私の背後に回り込んだ


「へぇ~吸血鬼の記述ね~お勉強熱心なことで~」


「情報は命です。吸血鬼の後に魔法とこの世界のお勉強があります。時間は有限ですから、メーリーさんが教えてくれないので」


「あれ?拗ねられている?」


別に。魔法のはオールlv4なので、やろうと思えば多分やれる。多分


しかし、吸血鬼は結構スペック高いようです。


前回の吸血鬼掃討戦で、多くの吸血鬼が討ち滅ぼされたものの、その殆どが“平民”と分類される、真祖から二桁の代を離れた下位吸血鬼である。


爵位持ちの中位吸血鬼は多数滅ぼされたが、公爵(2代)、伯爵(3代)などの討伐記録は見当たらない。


恐らく潜伏しているのでしょう。


ちょっと引っかかるのが、人間と亜人の連合軍が如何にして勝利を得たのかって部分である。


朝にて吸血鬼の拠点に襲撃を仕掛けるのが定石とあるけれど、夜に弱い人類種しても夜襲されたらひとたまりもない。


光属性の武具やスキルを使用するにしても、戦闘力の差がそう埋められるものではないと思う。


私は真祖だ、そしてステータスが普通人間の天才レベルの数倍もある。


10も離れれば一方的になるこの世界、数倍のステータス差があればそもそも勝負にならない。


もし真祖の娘がいたとして、血を半分継いだ彼女のステータスを二分の一としても、一体で一個の中隊くらいの戦力をもつはず。


しかも防御を示す抵抗力が私の半分がある場合、筋力もしく魔力が100を越えない攻撃など、光属性でもなければダメージが入らない。


人間の平均ステータスが30、昔が優れていると仮定し、平均が50でも、戦争に勝てるわけがない。


それこそ公爵一体で無双できそうなのだ。


「真祖13柱、そのうち半数が子を成したと計算すれば……」


いや?そもそも、真祖はどこに行った?


慌てて文献を探ってみるも、結局真祖の結末はどこにも確実な記述がなかった。


封印されたとも、神に滅ぼされたとも、身を隠したとも


謎が深まるばかり。一見理に適っているように見えても、推敲していけばボロが溢れてきて、吸血鬼という種族への疑問が深まっていく


真祖の行方、吸血鬼軍団の敗北、今吸血鬼(特に爵位持ち)の居場所と思惑、吸血衝動……そして、存在しない14柱目の真祖である私


「意図的に隠されたものとして、真実へのヒントはあまりにも少ない」


謎解きのピースが集まらず、取り敢えず歴史の本を閉じて、魔物図鑑の中の吸血鬼の生態を読む




種族名称:吸血鬼ヴァンパイア


危険度:C+~SSS


生態:太古から生きてきた古き人型魔物。その祖たる真祖アンティディルヴィアンは別項目に記載される。真祖が直接産みだす吸血鬼は二代目と呼び、二代目の子供は三代目と呼ぶ。二代目は公爵と称され、三代目は伯爵、四代目と五代目は侯爵、六代目と七代目は子爵、八代目と九代目は男爵と呼ばれる。


その後の代の吸血鬼は総じて平民の下位吸血鬼と呼ばれるが、たまに先祖帰りの危険な個体もいる。


普通、真祖に近づけば近づくほど、力が強いと言われる。実際に、公爵と伯爵の討伐例はなく、伝説レベルの魔物として扱われている。


一番真祖の血の薄い吸血鬼でも人類種より遥かに高いステータス(平均60)を持つため、対策なしに戦うのは得策ではない。


弱点は太陽の光と光属性であり、昔聖水と十字架が有効という説もあったが、デマである。遭遇は総じて夜ということもあり、光属性の武具とスキルと主体に戦っていきたい。また回復力が桁外れに高いので、弱点以外の攻撃で心臓や頭を破壊しても、生き返る可能性もあり、急所らしい急所はないと思われる。しかし頭の破壊は相手の思考能力を奪うことができ、隙を作るつもりなら頭を狙うのもいいかもしれない。


攻撃手段として自分の血を使うことがあり、魔力が高く、魔法も得意である。その中特に闇属性の魔法が得意とされ、チャームを使用し催淫してくるため、魅了耐性を鍛えるか、相応のアクセサリーをつけることをおすすめする


特徴とも言える吸血行為は呪いのスキル吸血衝動の効果であり、吸血を行うためにチャームを仕掛け、捕食される側を魅了する。その唾液は治療効果があり、行為を終えた後に噛まれた痕跡が残らない。


吸血行為は対象と吸血鬼自身に強い性的快感を与えるため、その場で行為に及ぶこともままある。その性質から、吸血鬼は淫魔サキュバスとも言われるが、殆どの被害者は血と体液すべて干涸らびてしまうため、生存者はすくない。


生殖は人類種と変わらず、性交渉によって行われる。その他、自分の血を吸わせることによって、他の種を支配することも可能。対象の血を吸いながら、己の血を吸わせることで、対象を自分と同化させ、終いに同じ存在になる。その場合、分体は主体の吸血鬼には逆らえず、下位に成り下がるが、元の人格が消えることはない。その行為は最初の抱擁と呼ばれ、吸血鬼の求愛表現でありながら、得たのは忠誠なる部下という切ない結末となる。



おおおお……道理で初めて血を吸った時耐え切れずにイっちゃったわけですね


因みに朝も勿論頂きました。美味しかったです。


それにチャーム対策のアクセサリーを付けておくように、ジークさんに言っておきましょう。


三回も頂きましたが、吸っている時シークさんの反応も激しいです。


最初こそ頑張って耐えているものの、気づけば大きい両手が既に私のお尻を撫で回しておりました。


私自身も吸血時は高ぶっているので、敢えてされたままですけれど。終わった後基本的に下半身が大変なことになってしまいます。


ジークさんもチラと見れば股間にテントを張っておりましたので、負担かけてたと思います。


今度は濡れてもいいように、食事専門の服装も用意して頂かなければなりません。



今更ですが、十三皇子のお付ということになるので、ジークさんから沢山お洋服頂きました。


中には豪華なドレスも何着混じってました。


生前もたまに着るので、戸惑いはありませんが、護衛扱いの私が着る場合があるのでしょうか。


因みに下着は前世と同じようなブラジャーで、地味なしかありませんでした。


採寸の時、ジークさん付きのメイドから明確な敵意を向けられましたので、少し意地悪して見せつけてみました。


そのメイドさんが真っ赤になって震える様は非常に面白かったです。


時間は有限ですから大切に使いたいですが


いつもお勉強では参ってしまいます。


というわけで


「メイちゃんで遊んできます」


「え?」


メーリーさんに挨拶して、風魔法lv5の浮遊を使い、客室から出た。


「とじゃなく、で?」


残ったのはポカンとしているメーリーさんと、慌てて走って追ってきた廉治だけです







----------------------------------------------------------------------------------



私の名はメイだ。


メイドだからメイで安直すぎやしないかと、よく言われるが。


私を低俗な主から助けてくださった方から承った名だ、一生大切にしようと思う。


どうやら私はこのフランディ帝国の皇子の隠し子らしく、ちょくちょく養子にしようという動きが来るが


生涯ジークフリード殿下に尽くすつもりの私にとっては、結構迷惑な話だった。


ジークフリード殿下に説得され、仕方なく二十歳にて私を解放して皇子の養子にすると譲歩した。


ジークフリード殿下に淡き恋心を抱く私だが、生娘でない上奴隷という身分だ。養子になれば身分は好転するが、今度は姪になる。


どの道不可能だから、今の一日一時を大切にしていきたいと思う。


でもあの日、私はジークフリード殿下に次いで、私の人生を大きく変える人間、いや、魔物に出会えた。


最初は遠目から見て、ただの行動が物騒なエルフにしか思えなかった。


しかし、ジークフリード殿下は彼女が吸血鬼の真祖と言う。


常識ではありえないことだが、ジークフリード殿下は嘘をおっしゃらない。


私たちは彼女のことを自然災害レベルとして対策を練った。SSSランクの古龍と並ぶステータスの持ち主だ。しかもレベルはたったの2。


古龍より上のEXレベルの災害として見なすべきだ。


次の日、ジークフリード殿下が討伐隊を率いて、ご出発されるところに、彼女が苦しそうに自分の左腕をかんでいた。


後になってわかったことだが、彼女は血液を摂取しなかった故、非常に飢えていた。そのまま放置すれば、本能に抗えなくなり、手当たり次第暴れまわり、人間を殺して血を吸うようになるらしい。


ジークフリード殿下はすぐに彼女を庇い、自分の腕を切り裂いて、血を吸うように誘った。


最初は躊躇ったものの、シルフィも遂に耐え切れなくなり、ジークフリード殿下の血を吸った。その後のことは彼女の名誉のためにも黙秘とさせて頂く。敢えて一言だけ。


けしからん!!!!


ごほん。後は流れによって、シルフィはジークフリード殿下と契約を結んだ。早速とジークフリード殿下の首筋に噛み付いたシルフィに呆れながら、私は退室した。


シルフィの服、生活用品。そしてジークフリード殿下に特製品の抗魅了アンチチャームアクセサリーをお届けする。


それでも、次の朝のお食事は散々だった。無理もない、シルフィの魔力があんまりにも圧倒的なので、抵抗しろと言われてもできるわけがない。


それに非常に残念ながら、ジークフリード殿下は初めてシルフィに会った時からシルフィに惚れてしまっている。長年仕えて来た私だから一目でわかったのだ。


愛おしい彼女からのチャームなら、例えレジストできたとしても、ジークフリード殿下は抵抗しないだろう。


殿下がシルフィを選んだのは百歩譲って仕方ないとしてだ


「あそぼ~」


無表情で浮遊しながら抱きついてくるあいつを躱す、つもりが、スピードが文字通り桁が違うので捕まえられた


そうだ、こいつは前から何故か私を気に入って(玩具の意味で)、それから事あること(特にジークフリード殿下が職務で離れない時)に私に構ってくるのだ


しかも元々毒舌なやつはいつも私の逆鱗をうまく撫でてきて、怒る私を見て楽しんでおる。


例え怒ってぶん殴っても、無表情でモロに受けて、ノーダメージをネタに更にからかってくる。


最後にはレンジくんを私に預けて、大満足に帰っていくのが最近の定番風景になった。


あやつは私がレンジくんにベタ惚れしているのを見抜いて、お遊びの事後処理としてレンジくんを預けてくれるのだ。それで癒して機嫌を直してくださいと言わんばかりに。


そして本当にレンジくんに癒されて毎回毎回機嫌を直される私も私で酷く無様だ。


シルフィは真っ当な吸血鬼であることを知っている。ジークフリード殿下以外に血は吸わなければ、チャームをかけることもない。


それなのに、私はいつの間に、彼女のことが嫌いではなくなった。


この後、シルフィは私一生の悪友になることを、その時の私はまだ知らない。

吸血鬼に血を吸ってもらうの、気持ちいいのは本当でしょうか。

よくわかりませんね

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