第59話 タモンの村2
そしてリガエンも同居した生活も1か月が過ぎた。
ファイガ達も相変わらず、ゴロゴロ、としていたり、塀の外に遊びに行ったり、俺に、スリスリ、としたりしている。ユキナはハネカの事を気にしているのか、いつの頃からか俺にキスしてこなくなっていたよ。
相変わらず、3人とも仲が良く楽しい生活をしている。掃除や洗濯の分担や順番も決まっているみたいだね。エルフ、ダークエルフ、魔族って、相性いいのかな。そして俺は3人に約束をしてある。それは夜中に俺の部屋に忍び込んで、ベッドに潜り込まない事。何度か3人は俺の部屋に潜り込んで来た。部屋で鉢合わせになる事もあったので、3人は毎日の順番を決めようとしていた。でも俺が、今度潜り込んで来たら、嫁にしないよ、と言ったら反対の抗議が凄かったが、もうすぐ嫁になるんだから、と泣く泣く了承してもらった。
数日後、俺は外の村の進行具合を見ようとタモンの村の跡地から出て行こうとしたら、3人も、一緒に行く、と言ってきたが、1人で行きたい旨を話して納得してもらった。
見に行くと、村の半分以上が埋まって来た。そのうちの何割かはもう普通の生活をしている。半分と言っても王都並みに広いから町だね。もう何人住んでいるか分からないな。と、独り言を言ったら、近くにいた、入口の門番が、すぐそこの建物でこの門を通る、通行人や住人を数えてますよ、と教えてくれた。何も言わないのにそんな事してるんだ、凄いな。と思っていたら、技術者の長が、人口を調べて進めて行かないといい村が出来ない、と言う事で数えているとの事。さすがだね、任せて正解、今後もよろしくね。で、聞いてみたら今、タモンの村には2000人が住んでいる。あ、町だよ、町の規模だよ。これから賑やかになるね、うんうん。と言う事は、タモンの町に変更して、俺のいる村の跡地はそのまま住所のように、タモンの村、にしようかな。ま、それは、後でいいや。
途中、俺を見かけたガハラに呼び止められ、
「ミツヒさん、障害者施設の定員があと2人で終わりです、どうしましょうか」
「じゃあ、もう一軒立ててもらうよ、ガハラ1人で大丈夫か?」
「問題ありません、よろしくお願いします」
俺は例の3人組が働いている場所に行ってお願いしたら、すぐやります、と言ってくれ、建築する人の人数を振り分けていた。ここまで大規模になると個人個人に支払いが出来ないので、今では会計場所を作ってもらい担当を作り、そこに定期的に金貨を出資している。今月も金貨1000枚を出資した。これで数か月は持つかな。もう村の中では土地を無償で提供する事で自分達の商売が成り立ち、物流が出来て利益が出始めている。だからその人達には出資する必要ないが、福祉施設や風呂などの経費とそこで働く人には利益が無いからね。
俺は帰りに森によってエレンさん達に挨拶して、花を貰い、屋敷に戻るとそのまま、少し離れた裏庭に行くと、その場所の土の上に一つ一つに花を置いて行く。そこは土が盛られただけのお墓だ。そう、父さんと母さん、そしてタモンの村人のお墓。当初、村に来ていた人達が、新しく綺麗にします、と言ってくれたけど、断った。それは、ハネカに作ってもらったお墓のままが良かったから。そして、この墓の事はまだ言いたくないから、エリセ、エレミーヌさん、リガエンには言っていない。こうしてたまに一人で来て座り込み、墓の前で会話をするように時間をつぶしている。
今日は夕暮れになるまで座り込んで、ボーッ、とお墓を眺めていた。するとここを知っているユキナが迎えに来てくれたので、スリスリされながら一緒に屋敷に帰る。屋敷に入ると、すぐにエレミーヌさんが来て涙目をした少し怖い顔で、
「ミツヒさん、なぜ私だけ、さん、なのでしょうか?」
「え? さん? なんですか?」
「私だけ、さん付けなのはなぜでしょうか?」
「あ、いや、以前からエレミーヌさんは、さん付けだったので」
「今日から、いえ、今から呼び捨てにしてください」
「そのままでも別にいいじゃないですか」
「ダメです。エリセやリガエンは呼び捨てにして私だけ……シクシク」
あー、泣き出しちゃったよ、まいったな。
「わかりました、呼び捨てにします、エレミーヌ」
「あと、敬語もやめてください。エリセやリガエンは」
「ああ、わかった、わかった。やめるよ、エレミーヌ」
「ウフフ、ありがとうございます、ミツヒさん」
嬉しそうに振り返って、パタパタ、と居間に行き、テーブルの周りに座っているエリセとリガエンに向かって、たわわな胸、を張って、
「私も、呼び捨てです。敬語もありません。ウフフ」
エリセは悔しそうに、
「グヌヌ、そうきましたか」
俺も後から居間に入って行くと、
リガエンは、泣いている。泣いている? なんで?
俺に気づいたリガエンは、走り寄り抱きついてきてキスしてきた。まあ嫁になるんだからキスぐらいは、と思ったら、そうかリガエンとはキスしたことが無かったな。
満足したのか俺から離れると2人に向いて、
「私もキスしました。これで一緒です。ウフフ」
「「 そうきましたか 」」
何事かと聞いてみたらなんて事は無い。事の発端は、3人で談笑していたらリガエンが、一緒に風呂に入った、と言い出し、エリセもエレミーヌも、私も入りました、と答え、今度はエリセが、キスをした、と言うと、エレミーヌも、私もした、と答えたけど、リガエンが、私はまだ無い、と急に泣き出した。さらに白熱したのか、泣いているリガエンにはお構いなしに、エレミーヌが、一緒に寝た、と言うと、エリセも、私も寝ました、と答え、とどめとばかりにエレミーヌが、胸を揉んでもらった、と自信たっぷりに言うと、エリセが、私はまだ小さいから揉まれない、とテーブルに突っ伏して泣き出した。しかし、すぐに泣きやみ、エリセが、なんでエレミーヌだけ、さん付け、や敬語なんでしょうね、と言うとリガエンも泣きながら、何でですかね、と突っ込んで、さらにエリセが、他人行儀みたいですねもしかしたらミツヒ様は、と言ったら今度はエレミーヌが涙目になる。そこに俺が帰って来た。と言う訳だ。
俺はため息をつきながら、
「ハァ、何やってんだか、そんなことぐらいで」
「「「 大事な事です 」」」
「でも、これでみんな一緒だよね」
リガエンが不服そうな顔で、
「私はまだ一緒に寝ていない、阻止された。胸も揉まれていない」
エリセも悲しい顔で、
「私もミツヒ様に、小さい物ですが、揉んでいただいてません」
「あのね、エレミーヌの胸を触ったことは確かだけど、倒れて来たのを支えたら偶然胸だっただけ、わざとじゃないよ、不可抗力だよ」
「そうなんですか、ミツヒ様。では仕方がありませんね」
エリセは納得したようだがリガエンは、
「一緒に寝ていない……シクシク」
あー、またリガエンも泣き出したよ。魔族だろ魔族、ビシッ、としろよ、威厳は無いのか? でも、可愛そうだな。と俺は泣いているリガエンに向かって、
「ああ、わかったよ、リガエン。今日だけ特別に1回だけね」
「本当か? やったー、これで一緒だー」
すかさずエリセとエレミーヌは、
「「 あー! ずるい! 」」
「ずるくは無いよ、事実だし。だったら意地の張り合いなんかしなければ、こんな事にはならなかったでしょ」
「「 うううぅ 」」
落ち込む2人に反して嬉しそうなリガエンが、
「ミツヒは何色が好きだ? 私は赤が好きだ」
「何色でもいいよ」
「そうか、今日が私の初めてを」
「寝るだけだよ、寝るだけ。それが嫌なら止めるよ」
了承したリガエンは、それでも嬉しそうに、準備をする、と部屋に戻って行った。
「で、これで一緒だね、いいね」
「「 はい 」」
その夜、俺は部屋で寝ようとしたら、ノックが聞こえ扉を開けると、真っ赤なランジェリーで、凄まじく色っぽいリガエンが、モジモジ、と立っていたので、
「凄いなそれ、女王に言われたのか?」
「よくわかったな、ミツヒ。殿方と寝るときは母がこうしろと。に、似合わないか?」
「い、いや、似合っているよ、綺麗だ」
すると、扉の横からエリセが、手を口の横に丸く添えるようにして、
「そこまでですからね、寝るだけですからね」
反対の横からエレミーヌが、エリセと同じ格好で、
「触ったり、揉んだりしたら反則ですよ」
何言ってんだか、とリガエンを部屋に入れて一緒に寝始めると、リガエンはとても嬉しそうに、俺に、ピタッ、と密着し、モゾモゾ、として位置が決まったのかな、と思ったら安心して爆睡し始めた。はやっ! これなら俺もすぐに寝れそうだ。
そして就寝。
ゴソゴソ……ヒソヒソ……コツコツ
ヒソヒソ……ガタガタ
だぁぁ、何やってるんだか、と扉を開けると、扉の前で涙目のエリセとエレミーヌが、俺の部屋を向く格好で座っていたので、
「何をしているんだい?」
「「 寝ずの番をしようか。と思いました 」」
そこまでするのかね、まったく。と俺はため息をついて、
「ハァ、わかったよ、入ってきていいよ、リガエンは寝ているから静かにね」
パアッ!と明るくなり嬉しそうな2人がリガエンを起こさないように、ソロソロ、と入って来て4人で就寝。
ちなみにベッドは、魔王の用意してもらった部屋に習って、ファイガやユキナも一緒に寝られるくらい大きいよ。だからゆったりと寝られるんだ。
そして本当に就寝。
翌日
次回、完結します。
火曜日の予定です。




