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第54話 アルディラ王国  「討伐」

魔族襲来の日


 その日はターナの町からルシファンの町に行こうとしたら、幼女がいるからダメです、とハネカに反対されて直接アルディラ王国に向かう事にした。うん、ドレンガさんの事だね。確かに会うと面倒臭くなりそうだし、ハネカに従うことにしたよ。そして夜にアルディラ王国に入る事になった。


 辺りが暗くなり赤い満月が昇ってくると、王国の西側の城壁から500m辺りには騎士や剣士、冒険者が集まっていた。魔族から襲来する方角も聞いていたのかな。ま、いいけどさ。俺はファイガに乗ったまま遠巻きに眺めながら王国に入るとハネカが、


【魔物の討伐は如何いたしますか? ミツヒ様】

(するよ、今回は後衛で討伐しようと思う)


 そう言いながらコンジキ亭のテラスのテーブル席を借りて座って待つ事にする。王国の中は物静かになっているね。コンジキ亭も休業なのか人の気配が無いし、多分避難しているのかな。そして俺はファイガ達を撫でながら、


(今回は王国の、一般に生活している人達、を守るだけだから、城外は騎士達に任せて、俺達は王国の門から入り込んでくる魔物を討伐するよ)

(( 畏まりました ))

【私は魔族を探ります、ミツヒ様】

(ああ、頼むよ、ハネカ)


 ハネカは嬉しそうに笑顔で俺の後ろに回り込み、首に両腕を回してくる。まあ、いっか。そして待つ事数刻。何かを察知したハネカが立ち上がり西側を向いていると、


【魔物が動き出しました、ミツヒ様】

(感知魔石はどうだ? ハネカ)

【いえ、上がっていません】

(魔石を置いて来た樹海から来たわけじゃないのか。今回は西側から攻めてくるから他にも樹海か何かがあるのかもしれないな)


 そうこう言っているうちに王国の西側の外で戦闘が始まったようだね。ドンパチドンパチ、と聞こえて来たよ。ハネカ曰く、王国側は、騎士、戦士、剣士、魔法士で約40000人で冒険者が約100人。魔物は約4000体。

 随分と集めたね、王国は。それにしても冒険者100人って、無理やり駆り出されたんだろうね、ご愁傷様。王国側10人で魔物1体と、前回と同じかな、と思っていたらハネカが、また西を向きながら、


【今回の魔物は、より強くなっているようです。ここまで大規模になると王国側が勝てるかどうかは私でもわかりません】


 ハネカの感知した魔物は、いつものような魔物の他に、エルダーリッチ、ミスリルグリズリー、ロックゴーレム、ジャイアントロックアントが1割を占めている。他にもポイズンコブラやポイズンモス、レッドスコーピオンも入っていた。

 うへっ、こりゃ厄介だよ、王国の人も大変だね。

 そして俺達は歩きだし、西側の城門に向かって行くと、城外の騒ぎは大きくなってくる。城門まで行き門を全開にして王国の中から外を見ると、500m先では、ドカンパキパキ、と大騒ぎで戦っているし、こりゃ戦争だよ、うん。

 しばらく見ていたら前回と同じように、防衛線の一部が決壊するように魔物になだれ込まれてきた。魔物はこっちにも向かって来たので俺は、


(さて、準備をしようか。王国に入って来た魔物を殲滅するようにね)

(畏まりました、ミツヒ様。殲滅します)

(畏まりました、主様、打倒して見せます)


 はいはい、わかりましたよ、と俺の右側10mにユキナ、左側10mにファイガの位置で待つとさっそくギガンテスやスケルトンジェネラル、サイクロプスが入って来た。ユキナは風爪で、シュンシュン、とファイガは爪斬で、ザッシュ、と俺は魔剣ギーマサンカで、スパッ、と倒した。そして、数分もしないうちに魔物が怒涛のごとくなだれ込んで来たよ、騎士たちがやられたのかな。でも今回の討伐は、悪いけど楽しかった。ものすごい勢いで入ってくる魔物でも1体1体と次々に倒せるのでいい鍛錬になったね。ファイガやユキナも爪斬やランス系の攻撃魔法で順番に楽しそうに嬉しそうに倒している。俺もガントレットも併用して、ズドンズドン、と倒しまくっていった。倒す事1時間くらいたった頃、魔物が少なくなってきたのか、いなくなったのか、討伐したのか王国の中に入ってこなくなった。するとハネカが、俺の倒した魔物は560体、ファイガが630体、ユキナが631体だと言う。げ、俺少ないよ、負けたよ。ユキナは、フフン、としているし、ファイガは、グヌヌ、としているし、一番少ない俺立場ないし。

そんな事やっていたら、エルダーリッチとポイズンコブラが入って来た。すかさずファイガが、ファイヤランスを、ズドドドッ! と放ち2体とも倒すと、今度は逆転したファイガが、フフン、としているとユキナが、チッ、と言ってるしさ。まいったね君達は。城外も静かになって魔物もあらかた討伐したようだ。俺達は大量に、ゴロゴロ、と落ちている魔石の中で上質の魔石だけを拾って廻った。

 何気なく城を見ると、城内でも騒ぎが起こっているようだが、ハネカは黙認している。が、急にハネカが後ろを振り向き、


【ミツヒ様、後ろに魔族です】


 気配遮断でも使ったのか、ハネカも分からなかったみたいで、俺も振り向くと、50m位先に魔族が俺を見て立っている。ギュンターだろう。咄嗟に魔族に向かうと魔族が、


「話がある」


 手を前に出したが、俺は無視して、


(ハネカ!)

【アイスランス!】


ズドドッ! チュチュイィーン!


「フンッ」とスロウソードを投げ

パリン「なっ」驚くギュンター

【ライトニング!】


バリバリバリッ!


 魔族の両手と羽がもげて倒れる。そこに俺が足でギュンターの腹を押さえ、


「で、話ってなんだ?」

「グゥ、シバン様が仲間になれと」


 ギュンターの右足を剣で、スパッ、と切り落とすと、


「ギャー!シバン様だ!俺じゃない!」

「何を馬鹿な事を言ってるんだよ」


 左足も切り落とすと、大量の血しぶきをあげながら気絶したのでハネカに、ヒールを掛けてもらい。剣を腿に突き刺し、その痛みで目が覚め、


「ギョエー! 話す!話すから止めてくれー!」

「で、シバンは何時襲撃にくるんだ?」

「ハァハァ、シバン様は襲撃には来ない。ハァハァ」

「どうしてだ」


 ギュンター曰く、シバンは来ない。どこかの樹海で大量の魔物を使役している。場所は自分にも教えてくれないが、襲撃では無く征服する為に何かをしようとしている。そして、シバンに言われてギュンターが、王国を襲撃ついでに俺に伝言を伝えに来たのだと言う。


「ハアハア、シバン様は、言っていた。魔族の仲間を倒せるくらい強くなったミツヒでは勝てない。だから、シバン様は、ミツヒとは戦わない。シバン様が、手を組めば世の中の物全てを手に入れることが出来る。ハアハア、だから仲間にならないか。と」


 俺は答えずに、ギュンターを魔剣ギーマサンカで袈裟懸けに切り、灰にした。俺の横で浮いているハネカに、


(ハネカ、その樹海って知っているか?)

【いえ、存じません、ミツヒ様。申し訳ございません、私も完ぺきではないので知らない樹海もあります】

(いや、いいんだよ、そうか、探しに行かないとダメだろうな。また情報を聞きにいかないと)


 伏せて待っていたファイガ達と歩き出したら、城の中の騒ぎがまだ続いていたらしく城門から負傷した人が逃げてきた。その後を追って出てきたのが、エルダーリッチだった。丁度俺達が歩いて行く方向だったので、


(どうするかな、ここで暴れられても困るから倒そうか)


 城の関係者らしいが、助けを求めてこられても仕方がない。と、エルダーリッチの魔法攻撃を避けて近づき、魔剣ギーマサンカで、ハッ、と切り倒し灰にした。廻りの人には感謝されたが気にする事無く城を後にする。討伐が終わった、と思っている人が、チラホラ、と出て来た時、王国の門の外から倒し損ねたキングウルフが2体入って来て、家の外に出ていた人に襲いかかろうとしたが、ユキナとファイガに瞬殺されて終了。また周囲の人に感謝されたけど気にしないで王国を後にする。

 赤い満月に照らされた道を、ビュンビュンと走りターナの町へ。ガイルの宿に行き、事前にケフィルさんには了承してもらっていたので、自分の部屋のように入るとさっそくユキナ達が、チラッチラ、と俺を見てくる。おいおい、夜中だぞ。と思ったが、蹂躙、いや討伐で腹が減ったのだろうね。んじゃ軽くだよ、と皿を出し、まずはブラックボアのステーキを盛ると、バクバク食べ始める。次にオークのタレ焼肉をドンと盛って終了。まあ満足したようだ。俺は、サクッ、と軽く風呂に入って就寝。


(おやすみ、ご苦労様、ハネカ)

【ごゆっくりお休みください、ミツヒ様】


数日後早朝

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